第7話 え?そこに住んでるの?

文字数 2,300文字

帰宅部の俺は帰ろうと立ち上がると冬月さんに話しかけられた。
龍一は家どこ?どっち方面に帰んの?
俺?俺は学校の近くだから、歩いて20分くらいかな?北方面って言えばいいのかな?
私、ここら辺全然わかんねぇんだけど、同じ北側方面?途中までついて行っていい?
ちょっとお願い風に言う冬月さんは可愛らしかった…
全然いいですよ。てか、冬月さん一人じゃ、いつまた変な男の絡まれるかわかんないから、危ないでしょ。家の近くまで送るからさ。
ストーカーすんなよ。
(家の近くって言ったよね?やさしさで言ったのに…一人で帰ろうかな…(笑))
しないよ。別に冬月さんの家に行きたいわけじゃないし。


俺は早く帰って家で横になりながらUチューブ見たいんだよ。

Uチューブってなんだよ?
それは帰りながら説明するよ。
冬月さんと一緒に靴箱までいく間にいろんな人にジロジロ見られた…


冬月さんは転校初日から、有名人で美人だから、みんな振り返る…


俺はあいつ誰って必ず言われてる…

冬月さんと一緒に外に出ると、指をさして方角があってるかだけ確認をして歩き始めた。
冬月さんは道を覚えるのは苦手?
苦手ではないけど、なんか東京と違って、木とか多し、田舎風の家並んで、なんか覚えづれーんだよこの街。
そうだね。例えば学校からまっすぐ今北側に歩いてるんだけど、右側に公園があるとか電柱にここは何処の何番地なんてかいてあったりするとこもあるから、二人で、見ながら帰ろうか。
わかった。で、Uチューブってなんだよ?
Uチューブっていうのは冬月さんはスマホ持ってるよね?スマホでも、テレビでも、パソコンやタブレットでもみれる、色んな映像とか配信されてるようなやつ?


音楽も聞けたり、まぁみたいもの見れるみたいな。

龍一はそれで何見てんだよ?


エッチなやつとか?何でもみれるんだよな?

ふ、普通に色々その時みたいもの見てるよ。


Uチューブは変なの見れないよ(汗)

じゃあいつエッチなの見てんだよ?
(そんなの答えないだろ普通(汗))
見ないわけじゃないけど、Uチューブではないから(汗)


あ、ここ目印なるから覚えてて。あとは冬月さんスマホある?


ナビを歩きで出すと、スマホが地図代わりになって道を教えてくれるから。


俺ので見せるね。

スマホを出して、自分の家の住所を打って、道案内を出して冬月さんに見せると、すぐ隣に冬月さんが来て、見ている…


(近い…いい匂いがする…)

へぇーキモい…あ!これスゲーじゃん!ん?龍一の家出してんだよな?


私、ここの隣のアパートなんだけど?

ごめん…え?隣のアパート?!
俺の住む一軒家の隣には確かにアパートがある…
そう。今龍一のスマホに出てる行き先のこの隣にあるアパートの龍一の家側の端っこに私住んでる。


でも、私一人なんだ…

え?何で?だって高校生で一人暮らしって大変じゃない?
親が両方いた頃は白石 千春って龍一には教えたよな?


親が離婚して冬月 千春も知ってるよな?


お母さんは小さな芸能事務所の社長してるから、東京じゃないと無理みたいで、私だけ部屋借りてもらって仙台に来た。


龍一だから信用して話した。

安心して。俺は誰にも言わないから。


でも、何で仙台?

私も記憶ねーから、わかんねーけどさ、お母さんの話だと、昔住んでたことがあんだってさ。


私が小さい頃らしい。失くした記憶思い出すきっかけになんじゃねって意味と、気分転換らしい?

白石 千春が仙台にいたことがあるなんて初めて知ったよ。


でも、隣のアパートに住んでるなら、朝も覚えるまで一緒に登校する?


愛もいるし。

愛って私の反対の隣にいるやつ?
(そうだけど、やつって言うなよ…)
そうだけど。愛も、もともと小学校の途中から転校してきたんだ。


愛なら同じ転校生の冬月さんの気持ちわかってくれるんじゃないかな?


友達になるチャンスだしさ。


愛も近所でさ、アパート側は冬月さん、その反対方向に3軒くらい先に愛の家があるんだ。

へぇー。幼馴染的な感じ?


じゃあ、連絡先交換しね?転校してきて、龍一がお友達第一号。

はいよ。お友達だと思ってくれるなら、もう少し俺にも優しくしてくれな(笑)
優しく?甘えんなよ。


体育の時、応援してやっただろ。なのに全然ダメダメだし。


でも、私は笑ってねーからな。一生懸命やってるやつ笑うなんて、失礼だろ。

あ、そういうことね。お友達第一号だと思って応援してくれたわけか(笑)


知ってるよ。みんな笑ってた。愛ですらちょっと笑ってた…


でも、冬月さんだけは笑わないでくれたのわかってたよ。ありがとう。


そう言えば、冬月さんめちゃくちゃ運動神経いいんだね。

白石 千春の頃は名門校で、スポーツ万能でアイドル。完璧だったらしい。


でも、私はそんなの覚えてねーし(笑)


東京にいると、私のこと知ってるやつは完璧求めてくるから、嫌だった。


今日、嫌なこともあったけど、龍一に出会えてよかった。


色々面倒見てくれてありがとう。

そして歩きながら、仙台に来た冬月さんの友達認定第一号となった俺は連絡先を交換した。


無事に冬月さんを見送ると隣の自分の家に入った。


自分の部屋に行く頃にスマホが鳴ったので、見てみると、冬月さんから、スタンプでメッセージが1つ送られてきていた…


明日もよろしくねって可愛らしいスタンプだった。


俺もよろしくってスタンプを送り返した。


愛以外に普通に喋れた女子は冬月さんが初めてだ。


隣にいるから困ったことあったら、いつでも頼ってきていいからなってその後、ふと送った。


冬月さんからの返事はすぐに来て、ありがとうっていうスタンプと家知ったからってストーカーすんなよって文章だった…


(友達第一号じゃなかったのかよ…隣に住んでてストーカーも何もないだろ(笑))


そう思った。

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登場人物紹介

上田 龍一(うえだ りゅういち)

城西高等学校2年生

成績、スポーツ、容姿全てが平均的男子。同級生で同じ高校で同じクラスの坂木 愛(さかき あい)に恋をしている。

冬月 千春(ふゆつき ちはる)龍一のクラスへの転校生。

両親離婚前は白石 千春(しらいし ちはる)

元アイドル。そして記憶を失くしている。

坂木 愛(さかき あい)城西高等学校2年生。龍一と同じクラス。


目立つタイプではなく、あんまり人の輪に入ることが得意ではないが、容姿が良いため男子から密かに人気がある。

酒井 真美(さかい まみ)。龍一のクラスメイトで、愛の親友。

佐藤 明(さとう あきら)。龍一のクラスメイトで親友。

神谷 俊(かみや しゅん)。龍一と同じクラスで学年一のモテ男。性格もイケメン。

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