第83話 語りえぬものについては沈黙しなければならない
文字数 901文字
こちらこそ、この作品を読むことに短くはなかったであろう時間を割いていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
さて。これを読んでいてなぜ手法がヴィトゲンシュタインなのか、未読の方にこれから説明したいと思います。
ヴィトゲンシュタインは「個人言語」はあるが「個人論理」は存在しない、と書いています。「富士山は日本で一番高い山である」は〈真〉だけど「富士山は日本で一番美しい山である」が〈偽〉である、という例えで語られることが多いのですが、前者と後者だと前者〈真〉はロジックだけど、〈偽〉の方は論理ではない、ということですね。この小説はキャラクター劇なのでキャラはそれぞれ違う考え方をします。ですが、キャラ間の考えを相対的にして、〈命題(proposition)〉を浮き彫りに出来たら良いな、という意図があります。ヴィトゲンシュタイン『論理哲学論考』の手法を選定しているとは、そういうことです。まさに正鵠を得ています。その通りです。
丁寧なレター、ありがとうございます。これからもお互い、切磋琢磨していきましょう!! 成瀬川るるせでした。