お母さん! ゴーレムの家は可愛らしい!

文字数 1,760文字

 ___ホワイトシーフ王国バルコニー___

 ◆ ◆ ◆

 ゆっくりと山から降りてくる冷たい風がシルフの白い頬を紅色に染める。
 白いバスローブに身を包み、シルフは片肘をバルコニーの手摺の上につき、暗く先の見えない雪山の方向を物静かに目を向ける。
 
「あいつ本当にムカつくわね! 夜風に当たれば多少はこのイライラが収まると思っていたけど余計にイラつくわ! しかも、お母様の事を言うなんて!」

 その落ち着いた雰囲気からは想像も出来ないほどにシルフは汚い言葉を並べ、感情を爆発。

「シルフ様?  大丈夫ですか?」

 このように感情を揺さぶられるシルフを見るのは初めてなのか、馬の姿をしたシルフの執事セバスは部屋の中からバルコニーにいるシルフに声をかける。

「大丈夫じゃない」

「早くお休みになられたほうがよろしいですよ」

「... ...そうだけど、むかつく」
 
 どうやら、激昂するシルフの感情は収まらないようだ。
 言葉の端々から花島に向けての憎悪の感情が読み取れる。

「しかし、あの男はあの雪原で何をしていたのでしょうか? 確かに汚い格好でしたが見たことがない身なりをしている風にも見えました。もしかしたら彼は___」

「セバス?  憶測でモノを考え過ぎ」

 含みを持たす発言をするセバスにシルフは食い気味で苦言を呈す。

「教典などを読んでも”救世主様”の事は書かれていますし... ...」

 長年シルフに付き添ってきたセバスであれば、シルフが今、何を思っているのか予想する事は容易だろう。
 しかし、セバスはシルフの気持ちを理解した上で話を続けている。

「その如何にも救世主様を望んでる感やめてくれる?  何かあるたびに救世主様!  救世主様! 腹が立つわ!!!」

 握り拳を作り、バルコニーの手摺をバン! と叩く。その行為は饒舌(じょうぜつ)にものを語るセバスを止めるのに打って付けの手段だった。

「も・申し訳ございません... ...」

 これ以上、シルフを怒らせれば怒りの矛先が自身に向かってくる事を察知し、謝罪の言葉を並べた後、セバスは口をつぐんだ。
 自身の行った行為をやり過ぎたと感じたのか、シルフは突然、話題を変えた。

「あなた獣臭いわよ」

「え!?  シルフ様が馬に変えたんですよね!?」

「あー。そうだっけ? 元々、馬面だったから気付かなかったわ」

「そんな~! あんまりですよ~! でも、私も馬面という事に認識はあったので他の動物にされるよりはマシでした!」

「... ...」

 シルフは内心『こいつ気持ち悪いな』と長年連れ添った執事を軽蔑したが、『このまま、獣臭いのは嫌だな』と思い、指を気怠そうにパチンと鳴らす。
 トリッキーな音も光もなく、まるで、映像を編集するかのように馬だったセバスは白髪のダンディなおじ様に姿を変える。
 黒いタキシードに黒い革靴。脇に差した長物を除けばまるでベテランのホテルマンのような風貌をしている。

「おー! 戻りました! ありがとうございます!」

「... ...」

 歳の割には可愛い反応をするセバスを横目にシルフは再び、肘を手摺の上に置き、雪山の方向にジッと目を向ける。




 ____ゴーレムの巣 洞窟内部___


 ◆ ◆ ◆


 ゴーレムに抱えられ、コウモリが洞窟内を飛び、鍾乳洞のように岩の隙間から垂れ、小さな水溜りを沢山作っている洞窟内部はまるで竜王の巣のようだ。

 洞窟の奥に目を向けると点のような光が微かに見え、『あー。あの光の場所で俺は死ぬんだな。光に包まれて死ぬなんて美しいではないか... ...』と死を待つ貴族のような心境であった。


 すこし歩くと光の正体が小さな家だということが分かった。シルバ〇アファミリーのような可愛らしい家だ。『あれ? なんか、イメージと違うし、この玄関ドアゴーレム入らないんじゃない? どこの世界にも欠陥住宅ってあるんだな... ...』と悪い不動産屋に騙されたお客さんを見るような目でゴーレムを見る。

 ___ガチャ!

 ドアノブを回す音がし、開かれる小さなドア。
 俺の全身は再び、硬直した。
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登場人物紹介

【主人公】
「名前」花島つとむ 「略称」花島
「年齢」27 「星座」おうし座
「性別」男
「種族」ヒト科ヒト属E.sapiens
「身長」175cm
「体重」85kg
「出身」日本
「髪の色・髪型・目の色」黒・短髪・黒
「視力・色力」1.5 問題なし
「メガネの着用」なし
「利き腕」右
「声質」高い
「手術経験・虫歯」高校生の時に蓄膿症の手術、部活動での左腕骨折・なし
「現在患っている病」なし
「鼻や目の形」鼻:大きく団子っ鼻 目:二重
「身体的特徴・乳房・足・ほくろ」寸胴型・年齢の割には腹が出ており、見た目は30代半ば
「前科」高校生の際に自転車泥棒
「賞・資格」漢検3級・普通自動車免許・宅地建物取引士・保育士
「学歴」高卒
「幼児青年期の精神的体験」生まれてすぐに父親が失踪し、母親が女手一つで育て上げる
「恋人・恋愛観・結婚観」なし・好きになった人が好き・お互いがある程度の年齢に達したらするようなもの。
「尊敬する人」中学の時に部活で世話になった先輩・スティーブンスピルバーグ
「恨んでいる人」父親
「将来の夢」特になし
「恐怖」大柄な態度を取る人と大きな声
「性格の特徴・口癖・くせ」性格:物事に対して常に否定的・初対面の人とすぐに打ち解ける事が出来る 口癖:「まあ... ...」
「人間関係・態度」良好。誰に対しても分け隔てなく接する
「トラブル関係」特になし
****性格****
「明るい方か」明るい
「ユーモア・暴力性」あり・あり
「活動・社交家か」YES
「知的か」知的ではないが物覚えは良い
「清潔か」NO
「表現力」適度
「弱点・悩み」頼まれごとを断れない
「異常性格・性癖」美少女に罵られたり、暴力を振られると性的興奮を覚えるが不細工にやられると嫌悪感を剝き出しにする
「変わっている所」異世界に来たというのに馴染むのが早い
****趣味****
「音楽」洋楽とJ-ROCKしか聞かない。最近までHIP-HOPは敵だと認識していた
               中でもチバユウスケを至高のお方と崇めている
「新聞」読まない
「娯楽」アニメ鑑賞と罠作り
「雑誌」読まない
「映画」グリーンマイル・東京物語
「創作」しない
「好きな色・嫌いな色」好き:緑・青・オレンジ 嫌い:こげ茶・赤
「好きな食べ物・嫌いな食べ物」好き:肉類 嫌い:魚類
「好きな香り・嫌いな香り」好き:杉や檜・女の子のシャンプー 嫌い:香水全般
****衣食住****
「インテリア・ファッション」大抵UNIQLO
「土地」日本
「ひいきの店またはメーカー」UNIQLO
「愛用品」Gパン
****習慣****
「こだわっている所」特になし
「意味のない所」特になし
「好きな言葉」虎穴に入らずんば虎子を得ず
「首飾り」なし
「ピアス」付けてはいないが『大丈夫おじさん』から貰った物がある
「指輪」なし
「タバコ」吸わない
「麻薬」吸わない
****その他****
「酒類」飲めない
「超能力」あり
「霊感」なし
「占い」信じる
「言葉なまり」なし
「野性的勘」なし
「職業」不動産屋
「ペット・植物」猫好き・植物は栽培していない
「特技・技」自身に対して使われた能力を取得可


【ヒロイン】
「名前」シルフ 「略称」シルフ・王
「年齢」17 「星座」おうし座
「性別」女
「種族」ヒト科ヒト属E.sapiens
「身長」170cm
「体重」50kg
「出身」ホワイトシーフ王国
「髪の色・髪型・目の色」金・ストレートロング・水色
「視力・色力」1.5 問題なし
「メガネの着用」なし
「利き腕」左
「声質」低い
「手術経験・虫歯」12歳の時に瀕死の状態となるが一命を取り留める
「現在患っている病」精神疾患
「鼻や目の形」鼻:小さい 目:二重で切れ目
「身体的特徴・乳房・足・ほくろ」八頭身・大きい、見た目は20代半ば
「前科」なし
「賞・資格」なし
「学歴」幼少期は学校に通わずに専任の講師がいた
「幼児青年期の精神的体験」10歳の時に父と母が死亡し、10歳にしてホワイトシーフ王国の王となる
「恋人・恋愛観・結婚観」なし・父親のような年上の人に甘えたい・なし
「尊敬する人」父親・母親・セバス
「恨んでいる人」父親・母親
「将来の夢」特になし
「恐怖」身近な人の死
「性格の特徴・口癖・くせ」性格:物事に対して常に否定的・傲慢 口癖:「だから何?」「~でもないのだけれど」
「人間関係・態度」親しい友人などがいない・初対面の人に対しては攻撃的
「トラブル関係」特になし
****性格****
「明るい方か」いいえ
「ユーモア・暴力性」なし・あり
「活動・社交家か」活動:YES 社交家:NO
「知的か」自宅にある書物の内容は大体頭に入っている
「清潔か」かなり
「表現力」適度
「弱点・悩み」直ぐに人を罵倒したがる
「異常性格・性癖」いつも苛立っている・美少女に性的興奮を覚える
「変わっている所」王として人前に出る時は性格を偽っている。大きく魅せている
****趣味****
「音楽」ヴァイオリンを弾ける
「新聞」
「娯楽」なし
「雑誌」
「映画」
「創作」しない
「好きな色・嫌いな色」好き:白 嫌い:黒
「好きな食べ物・嫌いな食べ物」好き:野菜・魚類 嫌い:肉類
「好きな香り・嫌いな香り」好き:花 嫌い:臭い香り全般
****衣食住****
「インテリア・ファッション」大抵ドレスを着用。ただ、本人は大人っぽい服装よりも子供っぽい服装を好んでいる
「土地」ホワイトシーフ王国
「ひいきの店またはメーカー」なし。シルフの服は城のメイド長の手作り
「愛用品」なし
****習慣****
「こだわっている所」王としての品位
「意味のない所」なし
「好きな言葉」
「首飾り」あり
「指輪」なし
「タバコ」吸わない
「麻薬」吸わない
****その他****
「酒類」飲めない
「超能力」あり
「霊感」なし
「占い」信じない
「イメージカラー」白
「言葉なまり」なし
「野性的勘」あり
「職業」ホワイトシーフ王国当主
「ペット・植物」小さくて可愛いものは全般的に好き
「特技・技」治癒魔法・防御系魔法


【キャラクター①】
「名前」シュタイナー・レイン 「略称」ゴーレム幼女
「年齢」??? 「星座」カニ座
「性別」女
「種族」???
「身長」130cm
「体重」30kg
「出身」聖リトラレル王国
「髪の色・髪型・目の色」金・ストレートロング・金色
「視力・色力」1.5 問題なし
「メガネの着用」なし
「利き腕」左
「声質」高い
「手術経験・虫歯」あり
「現在患っている病」精神疾患
「鼻や目の形」鼻:小さい 目:大きい
「身体的特徴・乳房・足・ほくろ」幼児体型・小さい・見た目は9歳児
「前科」なし
「賞・資格」なし
「学歴」貧乏だったので学校には通わずに教会で読み書きを教わる
「幼児青年期の精神的体験」10歳で既に国で一番強いと言われている魔導士よりも魔力が大きく、神童と呼ばれる。貴族ではない平民の子だった為に存在はひた隠しにされていた
「恋人・恋愛観・結婚観」なし・なし・なし
「尊敬する人」ヴァ二アル・クック
「恨んでいる人」幼少期に関わった人物全員
「将来の夢」特になし
「恐怖」孤独
「性格の特徴・口癖・くせ」性格:わがまま・傲慢 口癖:「みそ」
「人間関係・態度」花島以外に対しては優しい
「トラブル関係」数百年前にあった大戦で数千人の人と2つの国を滅ぼし、魔導士界隈では【最悪】と呼ばれている
****性格****
「明るい方か」YES
「ユーモア・暴力性」あり・あり
「活動・社交家か」活動:YES 社交家:NO
「知的か」NO
「清潔か」それなり
「表現力」適度
「弱点・悩み」なし
「異常性格・性癖」変なものを可愛いと感じる
「変わっている所」
****趣味****
「音楽」なし
「新聞」
「娯楽」なし
「雑誌」
「映画」
「創作」しない
「好きな色・嫌いな色」好き:白 嫌い:白以外
「好きな食べ物・嫌いな食べ物」好き:肉類 嫌い:なし
「好きな香り・嫌いな香り」好き:なし 嫌い:体臭
****衣食住****
「インテリア・ファッション」大抵ドレスを着用で服にこだわりはない
「土地」
「ひいきの店またはメーカー」なし
「愛用品」ちぃちゃんの普段着(特一級魔具)
****習慣****
「こだわっている所」依頼された事はキチンとこなす
「意味のない所」なし
「好きな言葉」働かざる者食うべからず
「首飾り」なし
「指輪」なし
「タバコ」吸わない
「麻薬」吸わない
****その他****
「酒類」飲めない
「超能力」あり
「霊感」あり
「占い」信じない
「イメージカラー」白・黄色
「言葉なまり」~みそ
「野性的勘」あり
「職業」なし
「ペット・植物」ネコっぽい生き物は大体好き、それ以外は食糧として見る
「特技・技」魔法全般・石化能力

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