第10話 郷田十三(2)

文字数 575文字

○都内山手の高級ホテル、ニューコタニ
国際エージェントが話を切り出す。
あんたが元国際A級スナイパーの郷田十三さんか?
いかにもそうじやが、ワシに何の用じゃ?

ゴホゴホッ。

郷田さん、変な咳をする。
随分と老け込んだようだが?
お陰でワシも古希を迎えた。関節がコキコキいっとるわいな。

ゴホゴホッ。

国際エージェント、かなり不安になる。
チャイニーズコロリンウイルスにやられた世界の被害者団体から、C国の金平糖総書記を狙撃するよう依頼が来ている。報酬は米ドルで一千万ドルだ。
で、どんな恨み辛みなんじゃな?


武漢を早期にロックダウンしなかったため、感染した市民500万人が世界に飛び散った。ウイルスを最初に発見した医師を告発した。
で、他には?
奴自身、ハイカロリーな中華料理とスイーツの食いすぎでブクブクに肥満した。

マスクも膨張した顔面のわりにやたらと小さい。

ハッハークショイ!

いかん、何か寒気がするわい。

郷田さん、体温を計る。
おー、いかん38.7度もある。どうりで朝飯の味噌汁が何にも味がせんわけじゃ。ゴホッゴホッ。マスカキヒロシに行ってもマスクは売れ切れてないしのう。ゴホッ。
国際エージェント、マスクを郷田さんに手渡す。
はーっ、アンタチャイニーズコロリンにかかってるんじゃないの?病院に行ってPCR検査受けた方がイイっすね。
後期高齢者って、適応されるかな?
駄目だ、こりゃ。
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