第04話(4)

文字数 648文字

 リーフィ村に、セシルが帰って来た。
 久々にシュヴァルツ王国に帰ってきたが、既に街はノールオリゾン国のものだった。
 セシルはその事に危機感を抱いた。このままでは、形勢逆転など不可能だろう。
 家に帰ってくるや、家は荒らされていた。
 そして、家に残していた妻――アリスは魂が抜かれたような状態だった。
「私の神様は死にました」
 セシルがアリスは話しかけるや、アリスはその事しか告げない。
 よほど、ショックな事があったのだろうか――セシルは魂の宿らない妻を抱きしめる事しか出来なかった。





 数日後、セシルが知った事だが、神子が自分の妻を寝取ったというのだ。
 その事実を聞いた、セシルは天使教に怒りを覚えた。そして、妻に何も出来ない自分に怒りを覚えた。
 ツツジの集落を襲撃するための報告を、ウィルにしたセシルはこうも告げた。
「アリスは、辛い思いをした。私は何も出来ない自分が悔しくて仕方ないのです。今すぐにでも、己の剣で、天使教を滅ぼしたい。妻を傷付けた天使教を……」
「どうやら、天使教とノールオリゾン国が繋がりを持とうとしていたのですね」
 ウィルは冷静に、冷静に分析をした。
 神子・ユウは己の意思だけで、情報を収集したとは思えない。神子の上には教皇がいる。
 恐らく、ノールオリゾン国に信仰を広めようとした、セラビムの策だろう。
 これは、天使教を信仰しているエレン姫に対しての冒涜であり、反逆である。
 ならば、天使教を滅ぼすしかないのか――ウィルは、そう決断した。
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登場人物紹介

エレン・ディル(16)

シュヴァルツ王国第二皇女の少女。

性格はほのぼの穏やかだが、王女としてのプライドはある。

フェイを心の底から信頼している。

亡国となったシュヴァルツ王国を再建する為に、奮闘する。

フェイ・ローレンス(17)

エレン姫に仕える護衛騎士。

クールで一匹狼だが、面倒見が良い。

エレンの事が好き。

エレンの夢の為に、フェイもまた奔走する。

セレナ・エーデル

ニコラが作った機械人形。

通称・仮初めの姫。

たどたどしく喋るのが印象的。

アレックとニコラを親のように感じている。

アレック・リトナー(20)

おちゃらけている謎の剣士。

セレナとニコラを連れて、旅をしている。

昔はセレナ姫の護衛騎士だった。

セレナ姫と瓜二つのセレナに特別な感情を抱いている。

ニコラ・オルセン(19)

腕の立つ技師。

部乱暴なしゃべり方で心は熱い。

アレックとはなんやかんやで仲が良い。

機械人形・セレナの親的存在。

香月七瀬(16)

ツツジの集落に住んでいた香月家の少女。

今は家出して、ダニエルの元にいる。

明るく元気な性格。

ダニエルの事を少々気になっている様子。

ダニエル・フォン・マクスウェル(25)

若き青紫男爵家領主。

シュヴァルツ王国を再建する為に奔走する。

物腰柔らかで爽やかな性格。

七瀬の事をなんやかんやで信頼している。

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