お仕事開始!

文字数 2,402文字

 私の紹介を軽くしておくね。



 私の名前は秋野。下の名前は省略します。皆秋野って呼ぶから。



 現在25歳。社会人やっています。



 職業は『人事』。外星人の皆さんに合ったお仕事を探すのが仕事です。



 そして今、銀河系人事法容認案が決まったことで私の仕事は世に広く認知されるようになりました。



 今までは人事課と間違えられたり、「それ何?」と言われたり、そもそも仕事が仕事なので色々地球政府からのサポートが必要なのに役人の人から色々白い目で見られたり………。



 正直泣きそうでした。



本当泣きそう。





 折角仕事を見つけて紹介しても役人の人から難癖付けられて結局その人は住めなかったり



 仕事柄色んな仕事の人に協力を仰いでも「胡散臭い。」と言われて門前払いされたり



 酷い時は人身売買と間違えられました



 本当に、長かった。未だ二年しかやってないけど、長かった。





 ピーピーピーピー



 腕の時計型端末が鳴る。



 『皆斗』と表示されていた。



電話だ。



 「もしもし秋野です。」



 端末に口を近づける。



 電話の相手は同僚の皆斗君だった。



 「あーはいはーい。皆斗でーす。ニュース効果で電話が大合唱でーす。阿鼻叫喚でーす。で、Sレンジマターが来たので秋野さんお願いできます?」



 後ろで電話と応対の声が聞こえて、その後気の抜けた声が聞こえた。彼はこれがスタンダードだけど、多分阿鼻叫喚は本当なんだろうな。



 そしてSレンジ………来た!!!!



 「解りました向かいます。で、どこ?」



 「そう言うと思って送っといた。」



 目の前に地図が表示される。



 コンタクト型液晶。最新技術で出来た昔のスマホみたいなの。結構便利。



 「ありがとう。行ってきます。」



 「はーい、いってらー。」



 初めてのSレンジにワクワクしながら地図の場所に向かった。









 突然ですが、人事の仕事にも区分があるんです。



 一つはランク。どれだけ仕事を紹介出来たかで決まってE~Sランクがあって、私は未だDです。だって未だ丸二年しかやってないんだもん!しょうがないでしょ!



 もう一つはレンジ。これは特殊で、職場の星からどれだけ離れた外星人の仕事を紹介出来るか?どれだけ遠くの星々と人々を知っているかを示します。



 これはライセンスを取得して認められるものでE~Sランクがあって、私はSです。



 わたしはSです。



 凄いでしょ。テスト頑張ったの!超頑張ったの!あれ本当難しかった!!!テスト勉強で何回か泣いた。テスト本番難しくて泣きそうになった!受かってめっちゃ嬉しかった!









 結局、私はランクDのSレンジ人事。



DS人事の秋野さんです。



 ただ、Sレンジの星から来る人は少なくて、正直今までそんな仕事をしたことは有りませんでした。



 だから今、私は凄い嬉しくてワクワクしています。





 ちなみに仕事は外でします。なんでかって言うと人事局の本部は立派とは言えず、正直言ってE~Bレンジの対応でいっぱいいっぱいだから。



A・Sレンジの人は居場所が有りません。(´・ω・`)



あと、もう一つ理由があってA・Sレンジともなると星の環境が違い過ぎてデスクワークでは上手く対応できない色々が有るんです。



環境が違えば人も違うんです。



データ上では『特筆すべき事無し』でも、それを書いたのが何処の星の人かによって特筆すべき事がらが違うんです。



エラ呼吸が普通の人達にとってエラ呼吸は言うまでもない事。だから特筆しないんです。



空を飛べるのが当たり前の人はそんなこと書かないんです。



 会ってみて初めてエラ呼吸だと知った。



待ち合わせ場所に立っていたら頭上から相手が飛んで来た。



 なんてことが有ります。いっぱいあります。これはまだ良い方です。凄い時はマグマが……やっぱりいいです。



兎に角、だから、Sレンジのお仕事は相手の人と待ち合わせをして話をして、時には色々実演して貰って、という事をします。



宇宙規模で共通データを作れば良いのでしょうが、あまり上手くはいきません。だって宇宙は広いから。



 と、いう訳で、A・Sレンジは現場仕事なんです。地球の常識が通用しない外星人さん相手の予想外の出来事に怯まずに、フレキシブルに、的確にアドバイスをして地球でのお仕事を導くんです。



同僚とキャッキャウフフなガールズトークを出来ないのは孤高の証。決して一人ぼっちの寂しいお仕事じゃないんです。(´TωT`)



 「人事の秋野と申します。宜しくお願いします。」



 「有り難うございます。こちらこそ宜しくお願いします。」



 待ち合わせ場所は街の中でも草木の多いエリア。そこのカフェで取り敢えず会っています。



 相手の人はシノギ星のヤルダンマさん。



身長は2mくらい。肌は小麦色で眼の色が綺麗な青色。サファイヤみたいな綺麗な眼だった。



地球人とあまり変わらないけど、強いて違う点があるとすれば腕かな?



大きなカバーですっぽり覆われて肘から先が見えない。腕の先端からは太い指が5本出ていて、肘から先が二の腕の二倍くらいに膨らんでいた。



骨折した人みたいになってるけど……怪我、じゃないんだろうな。



 それでも、礼儀正しく、先程の挨拶や一連の行動も地球人として十分通用する。



 これなら仕事を見つけるのは簡単そう。Sレンジとはいっても厄介な案件だと決めつけていたのは反省かな?
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