第3話 トラスト

文字数 4,988文字

魔王軍参謀たちは会議が終わると、おのおの私的な会話に入った。
席を即座に立つ者も居れば、その場ですぐ、会話を始める者も居る。
こうした何気ない瞬間に最もその人の性格が、というよりは性質が表れる。
重厚な木製または石造りの家具や調度品、そして完全武装の守衛のせいで広く、重苦しい雰囲気を醸し出す会議室。
しかし、議長であるドライデルの、これにて終了、という号令のすぐ後にその場に居る全員が場の空気が和らぐのを肌で感じた。
「それで、先日いただいた草稿だが・・・。」
アイヒはすぐ隣に座る旧友へと向き直り、語りかける。
「どうだったかな?」
とドライデルは、少し不安を隠せない様子だ。
「素晴らしい出来映えだ、ぜひとも私の著作に加えさせていただきたい。」
アイヒは賞賛し、笑顔を見せて情熱的に訴える。
「それはよかった、ホッとしたよ。」
彼は大きく息を吐き、そして笑顔を見せて胸をなで下ろした。
すると、思いもしない提案がアイヒの口から飛び出す。
「君を共働著作者として是非、表紙に名前を加えさせてもらいたい、印税の一部も進呈しよう。」
ご恩と奉公、とは古くから経済的活動の礎でもある、彼らの共通認識だ。
「・・・助かるよ、竜人たちは本の虫が多くてね、しかも難解な物を好むのだ。」
ドライデルは尚も自分たち竜人の文化や風習について旧友の彼でさえ知らないようなトリビアを語り、アイヒの知識欲を十二分に満足させる。
二人は旧知の仲で、先の大戦では戦友だった。
仲の良い老人同士の、たわいない会話である。
「・・・クサいねえ。」
と、イガールは手にある扇を打ち鳴らしながら他の面子のことを指して呟いた。
「ああ、確かにあの二人はニオうぜ。」
彼女に賛同するルフマンは、腕を組んでイガールと同じ方向を見つめている。
二人の目線の先にはガモーとスナギがいた。
身振りと手振りから、二人がそれなりに親しい間柄であると推測できる。
「・・・かたや泣く子も黙る魔人、かたや精鋭一族をまとめる鬼か・・・。」
扇を打ち鳴らす手を止め、冷静に彼らの分析を始めるイガール。
鳥人達は直感と観察力に優れており、野生動物の鷹と同じ印象を魔族全体に抱かせる。
「社交会のベストカップル、って訳じゃなさそうねえ、流石に。」
扇を広げ、顔を扇ぎながら少しおどけた調子ですぐ側に立つルフマンに小声で言う。
彼らは部屋の片隅でひっそりと立っている。
戦場に長らく身を置いていた彼らは、無防備な体勢は極力、取らない癖が付いてしまっているようだ。
広い部屋の片隅なら、必然的に視線の移動量が増えて他者から見つかりにくくなるのだ。
誰かから教わったのか、自然に身についたのかは実際に彼らに尋ねるしかないだろう。
人間とはかけ離れた外見だが。
「イガール、それを言っちゃあ俺たちも変わらんだろう?」
獣の外見と人間の等身を併せ持つ彼らは、自身がいかに異質に見えるのか客観的に認識している場合も多い。
「・・・それもそうだねえ?」
楽しそうに笑いながら言うイガール。
ルフマンの顔にも笑みが浮かぶ。
しかし、瞬時に彼の表情は引き締まり、獲物を見つけた直後の狼と同一の印象を抱かせる。
「・・・それとなく連中を見張ることは、出来そうか?」
彼の真意は不明だが、明らかに二人を完全に信用して何か大切な物を渡したり預けたりする様子ではない。
「あいつら二人と、その手勢だ。」
彼らには見えぬよう、小さく指さしながら彼女に言うルフマン。
それを受けてイガールもすぐに真剣な表情と声色に変わる。
「そうねえ・・・予定ではあいつら二人はすぐ現場に向かうから、アタシの弟に二人と連中の軍勢を見張らせるよ。」
獣の外見を持った彼らの兄弟仲という物は非常に単純である。
付かず離れずの仲か、絶交状態か、もしくは非常に仲が良いかのどれかである。
このことは彼らにとって常識的な事柄である。
「イガール、助かるぜ、俺じゃ臭いがキツすぎてすぐ見つかっちまう。」
自分の頭を撫でた後におどけて笑いながら言うルフマン。
それを受けてイガールも微笑みながら頷く。
匂う、と言った彼らであるが、実情は獣の匂いを纏う彼らこそ体臭はきつくなるものだ。
しかし、再び、ルフマンの双眸は怪しい光を帯びる。
「・・・ヤバくなったら俺たちの巣窟に逃げ込みな、守ってやるぜ。」
とルフマンはイガールの肩を優しく叩きながら語りかけた。
「・・・期待させて貰うよ?」
イガールは微笑みながら、気の置けない異性に告げた。
その後、二人は別れ、イガールは弟の元へ向かい、部屋を後にする。
先ほどの内容を早速、実行に移すようだ。
ルフマンは甲高い靴音を響かせながら扉を出る彼女の背中を見送ると、ため息をついて魔人と鬼人を見据えた。
「・・・すぐここを出るのか?」
とスナギに尋ねるガモー。
オークの中でも特に体格の良いガモーは、非常に引き締まり筋肉質な体型をしているスナギと好対照といえる。
「伝令を出さねば、我が直接出向けば話が早い。」
とスナギは少し残念そうに眉をひそめてガモーに告げる。
長旅に備え、足甲の紐をきつく結び直している。
すぐ側の卓上には黒いつや消しの鞘と柄をした見事な刀が置いてある。
剣術と弓術の達人であるスナギにぴったりの装いをした刀といえ、事実最も彼女が愛用している物だ。
「・・・道中の安全は?」
静かだが、重みのこもった口調で心配するガモー。
慎重過ぎて損をすることはあまりない、と普段の彼は良く語る。
足甲の次は手甲の紐を結び直すスナギを、腕を組みじっと見つめる。
「案ずるな、ここから東国までわずか4日だ。」
紐を結び終えた彼女は歯を見せながら微笑み、ガモーの肘を叩き言う。
二人共に当てはまるが、やはり武人とは剛毅な気質をしているものである。
特に鬼の頭領を務める彼女ならなおさらだ。
「道中に人間はいやしないさ、有るのは荒涼とした氷河のみ。」
今のところ出来る支度を終え彼女は卓上の刀を手に取りながら、なおも笑顔で言う。
「そうか・・・?」
と、口ごもるガモー。
なおも不安げな様子だ。
その顔色をうかがい、小さくため息をついたあと微笑みながらスナギは柔らかい口調で彼へと尋ねる。
「どうした?そなたらしくもない。」
スナギに気を遣わせてしまい、少々申し訳なく思ったのであろう、ガモーは慌てて素直に話を始める。
「いや、ここ数日、兵士たちの間で妙な噂がたっているのだ。」
「どのような?」
と、スナギ目を丸くしながら尋ねる。
戦場に赴く直前においては、準備と待機が彼ら兵士の役目である。
特に、共に死線をくぐり抜ける戦友たちを傍らに置いてすることと言えば根も葉もない噂話や世間話である。
プロ意識に欠ける、と言ってしまえばその通りだが、彼らも家族を故郷に置いてきた青年達である。
その心情をくみ取り、ねぎらうのは優秀な指揮官に無くてはならない素質だろう。
スナギとガモー二人に関して言えば、素質は十二分にあると言える。
「・・・鬼の軍勢を指揮官に据えて、俺たちオークやゴブリンは下級兵士としてぞんざいに扱われる運命なのだ、と。」
禿げた自らの頭を撫でながら、実際に部下から受けた陳情を口にするガモー。
言うのが辛い様子ではあるが、自らと共に戦地へと赴く部下たち二つの内情を天秤に掛けて尚も語るガモー。
「俺には理解出来る、俺たちは人間に使役されていた・・・だから人語を理解し、社会性を身につけたのだ。」
いつの世も敗者の行く末は悲惨である。
戦争に負けた者たちの行く末は、特にそうである事は想像に難くない。
今より数百年ほど前、部族社会を重んじるオークやゴブリン達は、自分たちだけの言語や文化を持っていたのであろう。
しかし、より高度な社会性と武装を身に付けた人間達に見つかり、駆り出されてしまった様子。
また、人間が持ち込んだ伝染病に感染してしまい、次々と倒れた者も居るはずだ。
戦意と戦力を失った彼らを待っていたのは、終わりのない奴隷労働である。
人間より大きな体格を持ち、なおかつ人間の道具を扱えるオークの男性達。
彼らは人間がやりたがらない未開地の開墾や大量の樹木、岩石を運搬する作業に当たらされた。
行き倒れたオークも少なくはないだろう。
人間より小さな体格を持ち、手先の器用なゴブリン達は鉱山における採掘や地下道の建設にもっぱらあたっていた。
また、これらの作業は普段、一般の人間が立ち入らない場所でのみ実施され当時、監視の兵士や政治高官でしか知り得ない事柄であった。
しかし、今はもう違う。
人間の言葉と社会性を学び、身につけた彼らはひっそりと行動を起こし、家族を伴い徐々に北へ移動した。
そして機が熟すと、自らを支配する人間たちに反乱を起こし、支配から脱却したのである。
輝かしいが、血なまぐさい過去である。
「・・・またそのような輪廻の輪が回ってくる、と?」
鬼と呼ばれる一族の歴史も似たり寄ったりではあるものの、差異が認められる。
鬼の場合、東の果てにある島国周辺の小島で暮らしていた。
いつか、巨万の富を築いた東国の人間社会に認められる時を夢見て、彼ら鬼一族は幼少期より研鑽を積み、武芸に磨きを掛けた。
しかし、東国の将軍たちはその武芸と心情を利用した。
鬼たちを待っていたのは、危険度と難易度が非常に高い暗殺や破壊工作に従事する日々である。
自分たちと異なる外見を持ち、なおかつ高い戦闘能力を持つ鬼たちならば簡単に捨て駒にする事ができる。
鬼の武芸者達に出来た事は少しでも戦闘技術を高め、わずかでも生存率を引き上げることのみであった。
いつか必ず人間達を抹殺し、その富を奪うという共通認識を持ち今日まで生き延びてきた。
復讐は既に果たされた後である。
東の島国に人間はもう住んでは居ない。
全員が追い出されたか、殺戮された。
奇妙にも、この事象は彼ら鬼一族の戦闘技術を証明する結果となった。
そして、新参者とはいえ、両手を広げて魔王軍団に迎え入れられた。
スナギの言葉に頷くガモー。
もちろん、お互いの一族が持つ暗い歴史は存じている。
しかし、スナギは明るく微笑み、ガモーの不安を払拭した。
「案ずるな、そのような事はない。」
スナギは嘘をつくのが苦手で、心底嫌っている。
人間達に散々、嘘をつかれ影に追いやられたのは他でもない鬼一族であるのだ。
彼女の口から真実のみが出でる事は、彼女が持つ刀が良く切れるのと同じくらい正直な事実である。
これは部下に対しガモーが語った事である。
「・・・本当か?」
ガモーの表情は多少、明るくなる。
続けてスナギは頷きながら報告する。
「本当だとも部下に聞けば、我ら精鋭の合同訓練は非常に上手くいっている、というそうだ。」
ルフマンとは対角線上の部屋の片隅に東国の鎧兜を纏った鬼が立っている。
彼が素早く報告をしたのであろう。
まるで中に何も入っていないかのごとく、微動だにしていない。
「休憩の合間にもお互いを高め合うような言動が見られるそうだ。」
まるで自分の自慢話をするかのように満面の笑みを浮かべて語る彼女。
「そうか・・・!」
笑みをこぼすガモー。
違う民族同士だが、根本にあるのはプロ意識と忍耐、そして友情である。
奇しくも、鬼とゴブリン、そしてオーク達は共通項が多い。
それが良い方向に作用した様子。
「ああ、そうだとも、我らは同じ境遇だ。」
ガモーの二の腕を触ると、暗い表情で彼の顔から視線を外し、語り出すスナギ。
「人間に使役され、影で生きる事を余儀なくされ、最後にはうち捨てられた存在・・・思えば、我ら二人の初対面もそうであったろう?」
最後にはガモーに視線を戻し、笑顔で彼に語りかける。
「確かに、懐かしい。」
笑みをこぼすガモー。
「さて、出立だ。」
兜を被るスナギ。
それを受け、部屋の隅に佇む鎧武者もスナギの方へと歩み寄る。
「・・・これを持って行け。」
慌てて身につけていた大きな弓と大量の矢が収まった矢筒を差し出すガモー。
「・・・これは?」
怪訝な顔で尋ねるスナギ。
ガモーの動作を受け、鎧武者も立ち止まる。
「愛用の弓矢、君なら扱えると思ってね。」
大きなガモーの両手からそれを受け取ると、お辞儀をするスナギ。
すると、ガモーは笑顔で付け加える。
「俺は棒を振り回すのが性に合っている。」
「・・・かたじけない、ありがたくいただく。」
スナギが礼を言うのに合わせ、鎧武者もお辞儀をした。
「・・・では、名残惜しいが失礼いたす。」
ガモーは旅立つ鎧武者とスナギの背中をじっと見つめていた。
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登場人物紹介

サミュエル·ドゥーベ:60代の男性。西の大国、ウィンストを30年以上も統治した元国王。前王(ぜんおう)という肩書を与えられ、王宮で引退生活をしていた。しかし、魔王軍の宣戦を受けて最後の旅に出る。政治的駆け引き、作戦立案、各種の法律等に卓越した知識を持つ。また、徒手格闘、盾と剣を用いた剣術も得意な元気な爺様。好きな食べ物は妻の手料理、嫌いな物は生野菜。猟犬フリードの飼い主でもある。

フリード:5歳の猟犬。戦闘と追跡の訓練を受けている。また、魔族を嗅ぎ分ける事が出来る。性格は大人しく、聞き分けが良い。吠えて返事をするクセがある。

好きな食べ物は鹿の生肉、嫌いな食べ物は生野菜。

メリンダ·ドゥーベ:60代の女性。サミュエルの妻。元々、貴族の3女だったため自らお家騒動から身を引く形で14歳の時に修道院に入った。しかし、野戦病院と化した先の大戦中の修道院で「慈悲深き神」の存在に疑問を抱くように。

そんな中、当時から英雄ともてはやされていたサミュエルに出会い、彼を手当てするうちに恋に落ち、駆け落ち同然で修道院を後にした。優しいが気丈な性格。好きな食べ物は、カテリーナの作るお菓子ならなんでも。嫌いな食べ物は塩辛い料理全般。実は乗馬が得意。

ミカエル·ドゥーベ:30代前半。現役のウィンスト国王。小さい頃から英才教育を受けた、「王になるべくして王に」なった人物。冷静沈着な性格だが、冷血な人物ともとれる。愛情や親切さが無い訳ではなく、単に生真面目なだけである。

好きな食べ物は、甘いお菓子。嫌いな食べ物は塩辛い料理全般(母親に似たようだ)実は鎧を着込んでの馬上槍試合で無敵の強さを誇る、文武両道の人物。

カテリーナ·ドゥーベ:30代前半。ウィンスト隣国、セラームのお姫様(国王の娘)

産まれた時からミカエルと結婚する事が決まっていた。しかし、男女の幼なじみとして親交を深めるうちに、政略結婚と恋愛を兼ねてしまう事になった。

華奢な体格で、小さい頃は病気がちだったが、ミカエルが外に連れ出して遊ぶうちに身体は丈夫になったようだ。

好きな食べ物は、セラームの茶菓子、嫌いな食べ物は生焼けのステーキ。実は刺繍が得意で、いつか個展を開きたいと考えている。

ヒルダ:魔王軍の総大将。人間の寿命に直すと、十代後半の女子。父サンゲルは何者かに暗殺され、母エルザは幼いときサミュエルとの一騎打ちで敗れ殺害された悲運な人物。そのため、サミュエルと人類全体に対して底しれぬ憎悪を抱いている。可憐な外見だが、服装も地味で恋愛には一切興味が無い冷酷非情な人物

好きな食べ物はサソリの唐揚げ、嫌いな食べ物は薬味の効いた料理。火を扱う魔法が得意で小さい頃は母親に対して度々、火を使うイタズラを仕掛けていた

デガータ(メイドのメグ):妖艶な美女だが、性格は生い立ちの事もあり「堅物」そのもの。とにかく真面目で職務最優先である。そのため、冗談や笑い話が通じない。ヒルダを姉として母として支える事が生き甲斐となっているため、自身の事は二の次である。外見の共通点が非常に多いため、どうやら魔王一族の親戚なようだが、詳細は不明。好きな食べ物はビーフジャーキ、嫌いな食べ物は生魚。実は料理全般が得意でプロ級。ヒルダを喜ばせるためではなく、毒薬調合の合間に上達したようだ。

エルンスト:2mちょうどくらいの身長をした巨漢。戦争孤児のため、名字と自分の年齢がわからない(生年月日が不詳)

砂漠の国カラリム帝国出身の20代後半男性。双剣の使い手で大道芸の達人という二面性のある肩書を持つ。

が、本人は至って真面目で動物にも優しい人物。卓越した戦闘能力以外では、動物の解体&皮のなめし、木工や鉄工にも詳しい。これは産まれ住んだ地域が関係しているようだ。

ナンス:20代半ばの(元)盗賊団のリーダー。女性にしてはやや身長が高い。

明るく元気だが、少しマヌケな性格。

面倒見が良く家庭的なため、半ば義賊だった盗賊団で引き取った孤児たちの面倒を良く見ていた。手先と身のこなしはプロの盗人らしく卓越している。

旅のメンツのムードメーカー。

ファルニール:エルフの女性。柔和な印象を与える美女だが、エルフ随一の弓の使い手で鷹のような視力を誇る。

森から出た事があまり無いので、何でもかんでも「自己流&エルフ流」にしてしまう。物言いのハッキリした気の強い人物。実はブルンニルに惚れたのは彼女のほう。恥ずかしいので周囲には伏せているが、彼と家族にはバレている。

ブルンニル:エルフの鍛冶屋&大剣の使い手。ファルニールの旦那さん。温厚な性格で周囲に流されやすい。職人らしくDIY精神の塊で大剣とその留め具に留まらず様々な武器、防具を自作しファルニールと旅に出た。彼女の弓矢も彼の手製である。実は弟が居る。兄弟二人で鍛冶屋を経営しているようだ。

アイヒ:痩身の老人。魔王軍と姫の調整役。かなり以前、前魔王、そしてその妃エルザの補佐も長年、務めていた勤勉な人物。常に冷静で声を荒げたりすることはない。貴族出身で社交の場でも存在感がある人物。休暇はもっぱら執筆にいそしむ生活をしている。近年の著作は、「竜人族における飛竜の運用及び調教方法について」魔王軍士官学校のテキストに採用される予定である。ドライデルとは旧知の仲。


ドライデル:竜人族と竜人で構成された軍のトップ。知恵と経験を重んじる性格で筋違いの推論や的外れな批判などには即座に反論する正義感の強い人物。

普段から本の虫で、知識欲が強い。これはエリート竜人全体的に当てはまる傾向である。休暇は愛用の飛竜の世話や騎乗しての空中散歩をしている。同じ空を飛ぶ鳥人には仲間意識があるようだ。

ルフマン:獣人族の男性。部族社会の彼らにおいて満場一致でリーダーに選ばれた実力と幸運を併せ持つ男。獣人においては小柄な方で昔から頭の回転が早い事を活かしてきたようだ。顔に大きな傷跡がある。喧嘩ばかりする彼ららしいと言えばらしい特徴。彼の故郷には妻と小さい娘が帰りを待っている。今回の戦争は家族を養うためでもあるのだ。

イガール:鳥人族の実質トップの女性。一族で最も速く飛べる翼を持ちよく回る舌と頭脳をした才女。弟のアガムと二人三脚で頂点にのし上がったようだ。奸計や相手の裏をかくのが得意だが、善悪の判断はハッキリしている、喰えない性格

特に実子や所帯は持っておらず、婚期を逃すまいと休暇はそういった活動で忙しいようだ。もっとも、彼女の眼鏡にかなうのは彼女の実の弟くらいの様子。

アガム:鳥人族の男性でイガールの弟。

彼女とは違い、彼は根っからの武闘派で昔から姉を守るべく武芸を磨き、知恵を付けた苦労人。他人を突き放す印象を受ける姉とは違い、柔らかい物腰をした皮肉屋。実質的に実働部隊のリーダーを今回は務めている。

休暇は姉につきあわされて荷物持ちや書類作成の手伝いをさせられている。

もっとも、独りで暇なときはひたすら稽古をしているようだが。

ガモー:屈強なオークの男性。真面目で実直な性格で、普段は無口である。

根っからの軍人気質で、部隊の仲間を大切にし、共に過ごす事に喜びを感じているが、陳情も聞く懐の深さもあるようだ。つんつるてんの魔王軍将校の制服を着ているが、これは彼がオークの中でも特に巨体であるためと、わざわざ特注して作らせる事に煩わしさを感じたため。

スナギ:東の果てにある島国に住む鬼一族の頭領。要は忍者をしている彼らの中でも特に腕が立ち、家柄も優れた人物。

武人らしく竹を割った様な豪胆な性格。机上で作戦を練るのはもちろん、現場で指揮を執るのも得意な戦上手。時々、抜けた発言をするのは常に真面目でふざけることがないせい。

休暇は武具の手入れを妹と一緒にするのが日課だ。

魔王サンゲル:物語開始時点から40年前に何者かに暗殺された。知力に優れた人物で周りの意見も良く聞くため頼りにされていたようだ。エルザとは相思相愛で体育会系の彼女を知恵で支えていた様子

読書が趣味。純文学など難解な本を好んだようだ。

魔王妃エルザ:ヒルダの母親。サミュエルとの一騎打ちで敗れ殺害される。夫の死後、引き継いだ公務で領地を飛び回る生活をしていたが、ヒルダの前では明るく優しい母親だったようだ。魔王一族で並ぶ者が居ない剣豪で、これは彼女の家系が陸軍人トップを代々輩出することと関係している

彼女自身も結婚前は陸軍人だったが、社交界で魔王サンゲルからダンスを申し込まれ快諾した事が運命を決めた

沼地の魔女マルゲッタ:妖艶な雰囲気を漂わす中年女性。

エルフと人間の混血で、非常に高い魔力と長い寿命を持つ。

魔法そのものについての造詣も深い

物腰は柔らかく口調も丁寧だが、自分の意志はハッキリと伝える性格。

これは彼ら魔法使いの辿った歴史が関係している

腰に剣を帯びているが、飾りではなく剣技も得意。

もっとも、人の立ち入らない沼地では枝木の剪定にもっぱら使用するようだ

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