二十四 義妹

文字数 481文字

 一週間後、九月二十九日、水曜、午後。
 佐枝と芳川の乗ったタクシーが札幌にある大学病院に着いた。
 佐枝と芳川はエレベーターに乗って、精神病棟がある五階で降りた。
「こっちだ・・・。私の母と、入院している義妹の父が再婚した・・・」
 佐枝は母の再婚を説明しながら、芳川を先導して通路を病棟の奥へ進んだ。そして、入院患者名に『木村佐枝』の名がある病室の、開いたままになっているドアをノックして室内に入った。病室内に、ベッドに横たわる患者とそれを見守る母親らしい人がいた。

「母さん。具合はどう?」
「このところいいわ。だいぶ回復したみたい」
「お義姉ちゃん。ありがとう。五人分、消えたよ。もう少しで元気になれる・・・」
「うん。紹介する。守だ。結婚した。いろいろ助けてもらってる」
 佐枝は義妹の木村佐枝の手を握って、気持ちを伝えた。
「あたし、わかったよ。いっしょに奴らを消してくれてるって・・・」
 義妹の佐枝は、これまでに感じていた事を佐枝に伝えた。
 芳川に二人の会話はよく聞えなかったが、なぜか、会話の内容は理解できた。芳川は、佐枝たちの会話を言葉ではなく、心で理解していた。
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