第1話 サスマタの退廃〜なぜ暴漢を阻止できないのか

文字数 894文字

 
 サスマタという暴漢対処用品がある。即ち、学校等にサバイバルナイフなど比較的刀身の長い刃物を持った暴漢が押し入った場合にこれを制御する道具である。

 しかし、今市販されているサスマタは暴漢を制御するには不十分で、どうも所轄の警官が到着するまで児童が危険にされされるのが現状である。

 元来、このサスマタは八丁堀の同心が岡っ引と組んで下手人を取り抑えるのに使っていたものだった。

 では、江戸時代のサスマタと現代のサスマタとどう違うのだろうか。現代のサスマタは、肝心のY地型の部分がアルミ製などでノッペリしているのに対し、江戸時代のサスマタは重量のある鉄製で刃がついていたり、菱がついていたというから殺傷率が段違いなのである。

 考えてみて欲しい。もし、刃や菱のついたサスマタでふとももを抑えられたらどうなるか。下手に動けば、それがふとももを抉るので大量出血につながるだろうし、腹なら尚更であろう。

 このサスマタで前後から挟む、更に左右から挟めば制御は完璧だろう。これに、棒づくしといって間合いの遠い棒で突けば必勝である。

 この棒でつくのも手だけで突くジャブみたいな突き方と腰を入れて突く所謂直突と二つある。

さらに、梯子を暴漢に被せ、自由を奪ったという記録も江戸時代にはあるから先人の知恵には驚きだ。

では、何故この威力抜群な世界にも誇るべきクラシック型のサスマタが廃れてしまったのか。
それは、これが悪人の手に渡れば犯罪が容易になるからだ。このサスマタで女性を押さえつければ婦女暴行は容易であろうし、コンビニ強盗も二人1組でやれば可能だ。いきおい、もし市販となれば一本づつシリアルナンバーを打ち、許可制にして警察が管理するという日本刀と同じような扱いになるだろう。
 
うーむ、やっぱり難しいなあ。刃物を持った暴漢の突進を止めるのは。昔の武家社会のように脇差しを帯びて街を歩いていれば、現代では警官に職務質問されるだろうし。用務員のおじさんが剣道の有段者で木刀をもって対処すれば話は別だろうが、剣道の有段者ほど学校の用務員にはなりたがらないし。
 (拙文)
 
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