プロローグ

文字数 382文字

フィリピン沖南東200kmの海面を撮影した航空写真には、楕円形で白に近い水色に変色した海面が写し出されている。
 青く輝く大海に白い絵の具をこぼしたように、楕円形の境界ははっきりしない。
写真の下の説明文には、大量のメタンガスが海上を覆いつくし、発火の危険があるため船舶と航空機は近づかないよう警告が出されているようだ。原因は調査中だが、メタンハイドレードが一部温暖化の影響で溶けだした可能性が高いと推論されている。
 ガスによって作り出された海面の気泡は既に3日以上続き、原因を調査する為フィリピンと中国の合同調査チームが現地に向かってるとの記事が 2031年7月サイエンス雑誌のワールド・ジェオグラフィックに一掲載された。
これが人類に今世紀最大の試練を与えることをだれも予想しなかった。
科学者の中には薄々事の重大さに気付いている者もいたが、この時はまだ沈黙を保った。
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登場人物紹介

浜田

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