モヤモヤ
文字数 1,283文字
また奏のところに通うようになって,最初はよかった。赤ちゃんを可愛がってくれたし,私にとって,良い気分転換になった。
しかし,いつからか,そうではなくなった。奏は,いつ会っても変わらないが,歌子の私との接し方をとても冷たく感じるようになった。「こんにちは。」と「じゃあね。」の挨拶を除いて,私と全く話さずに,ずっとタブレットの画面を見て,語学の勉強をしている時もあった。
そして,話しても,気になるような発言が多かった。「私は,いろんな人に時間をとられるのが,いやなの。先が短いのに。私の成長に繋がるとか,そういう人じゃないと。」と奏に熱く語る時があって,不愉快な気分になった。酔っ払っている歌子と電話で話した時に,私に言った言葉とは,全く同じだからだった。やっぱり,その時の電話で歌子が言ったことは,本音だったのでは?とまた気になり出し,胸がそわそわするようになった。
それから,新しく町に来られた中国語教師について,「母親のように慕ってくれる。」とわざわざ私に話したことも気になってやまなかった。前は,私について言っていたことをわざわざ私の前で,別の人についていうのを聞くと,嫌味にしか聞こえなかった。それに,「娘みたいに思っている。」という歌子が昔,私によくかけてくれた言葉は,やはり心を込めた発言ではなく,仲良くなるために若い外国人みんなに言っている言葉なのでは?とも,疑い始め,気分を悪くせずにはいられなかった。
しかし,歌子とこれまで,散々ぶつかって来て一度も収穫を得たことがないから,彼女とトラブるのは,もう懲り懲りで,気分を悪くしても,何も言わずに,我慢した。
ただ,週一回奏のお家に通うことは,気晴らしのつもりで通い始めたはずなのに,期待とは裏腹に,余計な悩みの種を生み出すきっかけになってしまっていたので,奏にも,歌子にも,何も言わずに行かなくなった。
行かなくても,連絡が来ることはないと思っていたのだが,すぐに来た。奏ではなく,歌子からだった。
「今から休憩だけど…。」
子供はまだ幼くて長い時間人に付き合うのは無理だったから,私がいつも二人の休憩時間を目掛けて、奏の自宅に通っていた。休憩時間なのに,私が来ないから,不思議に思っただろう。
私は,適当な言い訳をつけて,今日は,行けないことを伝えた。
しかし,メールをもらった以上,何も言わずに通わなくなるのは,難しそうだと思いはじめた。何かを言うのが嫌だから,次の週は行くことにした。
二週間ぶりに奏のお家に着いてみると,歌子と奏の会話が聞こえてしまった。奏が歌子に言ったのだ。
「唐は,あなたの係だ。」
私は,歌子の係だって!?どういうことだ!?どうやら,今日も私が来ないのではないかと二人で話していたようで,歌子が私の顔を見るなり,ホッとしたように言った。
「なんだ!?連絡をくれないんだから心配したよ!」
その日は,普通に過ごしたが,このまま嫌な気分で通い続けるわけにも,何も言わずに通わなくなるわけにもいかないと思った。自分に余計なストレスはかけたくないとはいえ,奏と歌子に対して恩知らずな態度は取りたくなかった。
しかし,いつからか,そうではなくなった。奏は,いつ会っても変わらないが,歌子の私との接し方をとても冷たく感じるようになった。「こんにちは。」と「じゃあね。」の挨拶を除いて,私と全く話さずに,ずっとタブレットの画面を見て,語学の勉強をしている時もあった。
そして,話しても,気になるような発言が多かった。「私は,いろんな人に時間をとられるのが,いやなの。先が短いのに。私の成長に繋がるとか,そういう人じゃないと。」と奏に熱く語る時があって,不愉快な気分になった。酔っ払っている歌子と電話で話した時に,私に言った言葉とは,全く同じだからだった。やっぱり,その時の電話で歌子が言ったことは,本音だったのでは?とまた気になり出し,胸がそわそわするようになった。
それから,新しく町に来られた中国語教師について,「母親のように慕ってくれる。」とわざわざ私に話したことも気になってやまなかった。前は,私について言っていたことをわざわざ私の前で,別の人についていうのを聞くと,嫌味にしか聞こえなかった。それに,「娘みたいに思っている。」という歌子が昔,私によくかけてくれた言葉は,やはり心を込めた発言ではなく,仲良くなるために若い外国人みんなに言っている言葉なのでは?とも,疑い始め,気分を悪くせずにはいられなかった。
しかし,歌子とこれまで,散々ぶつかって来て一度も収穫を得たことがないから,彼女とトラブるのは,もう懲り懲りで,気分を悪くしても,何も言わずに,我慢した。
ただ,週一回奏のお家に通うことは,気晴らしのつもりで通い始めたはずなのに,期待とは裏腹に,余計な悩みの種を生み出すきっかけになってしまっていたので,奏にも,歌子にも,何も言わずに行かなくなった。
行かなくても,連絡が来ることはないと思っていたのだが,すぐに来た。奏ではなく,歌子からだった。
「今から休憩だけど…。」
子供はまだ幼くて長い時間人に付き合うのは無理だったから,私がいつも二人の休憩時間を目掛けて、奏の自宅に通っていた。休憩時間なのに,私が来ないから,不思議に思っただろう。
私は,適当な言い訳をつけて,今日は,行けないことを伝えた。
しかし,メールをもらった以上,何も言わずに通わなくなるのは,難しそうだと思いはじめた。何かを言うのが嫌だから,次の週は行くことにした。
二週間ぶりに奏のお家に着いてみると,歌子と奏の会話が聞こえてしまった。奏が歌子に言ったのだ。
「唐は,あなたの係だ。」
私は,歌子の係だって!?どういうことだ!?どうやら,今日も私が来ないのではないかと二人で話していたようで,歌子が私の顔を見るなり,ホッとしたように言った。
「なんだ!?連絡をくれないんだから心配したよ!」
その日は,普通に過ごしたが,このまま嫌な気分で通い続けるわけにも,何も言わずに通わなくなるわけにもいかないと思った。自分に余計なストレスはかけたくないとはいえ,奏と歌子に対して恩知らずな態度は取りたくなかった。