3、厳男子流まんがのつくりかた
文字数 3,327文字
厳男子先生。最終日もよろしくお願いいたします。
厳男子先生は漫画を描くときのプロットなどは、どうされているんでしょうか?
いきなりネームですね。
あと数年前に漫画家の知り合いからスティーブン・キングの小説の書き方の本を勧められて読んで、キングが「プロットなんていらねー!」って言ってたのでこのやり方でいいんだなと確信が持てました(笑)
『書くことについて』というタイトルの本なんですが少し中身を引用してみます。
状況をしっかり設定すればプロットは無用の長物となる。
ストーリーとプロットは全く別物。
プロットが生まれるのとストーリーが自然に生まれるのは相矛盾すること。
ストーリーは地中に埋もれた化石のように探し当てるべきものだ。
プロットは化石を掘り出す削岩機のような馬鹿でかい道具だ。
削岩機は粗暴で無個性で反創造的である。
プロットは優れた作家の最後の手段であり、凡庸な作家の最初のよりどころだ。
プロット頼みの作品には作為的でわざとらしい感じがかならず付きまとっている。
こんなことが書いてありました。
…………
プロットをやらなかったから自分は全然連載決まらなかったのか…。
まあキングの意見なんて参考程度に聞いておくのがちょうどいいですかね(笑)
結局、「ムラサキ」の場合だと、ネームから書き始めて、着地させる際にどういう感じで頭の中でバランスとっている感じなんでしょうか? 説明しづらい話だとは思うのですが。
カンフー映画で敵を倒してすぐに「終劇」みたいやつがすごく好きなんで。
まあ、カンフー映画の敵を倒して去っていくシーンでそのまま「終劇」っていうのは、私も好きなので、そこはわかるんですけれども。
ただ、ちょっと思うのは、「ここで終わればキリがいいな」という感じで終わらせることができるのはWeb媒体だからというところも強くありそうな気がします。
そういう時代に上手くマッチできた、タイミングのよさというのは確かにあるのかもしれませんね。
………
………だから紙の雑誌では連載できなかったのか……
+……いえいえ事実ですからいいんですよ……
……ああそういえば去年「終わらないひと」という番組でドワンゴの川上量生さんが宮崎駿さんにキレられるというのが話題になりましたが、川上さんが書いた『ぼくがジブリで考えたこと』という本に描いてある内容が少し勇気をもらえる内容だったので引用します。
物語という点で、パターンの陳腐化を防ぐ方法があります。それは 作者自身もストーリーの展開が分からないまま書く というものです。
~中略~
宮崎監督の特徴は、ある程度の絵コンテがたまると、もう作品の制作を始めてしまうことです。同時進行なのです。 ですから、制作が始まったとき、まだ絵コンテは完成していないのです。脚本ももともとありませんから、ストーリーが最後にどうなるか、スタッフも誰も分からないまま作品をつくることになるのです。
~中略~
最初はゆったりとした時間の流れで映画はスタートします。次第にストーリーが進行して話もあちこちに広がっていき、いろいろな謎も深まっていきます。しかし、それらのお話も謎も、ほとんど 収拾 がつかないまま映画の残り時間が減っていくのです。どうなるんだろうと思っていると、最後の三〇分ぐらいから突然に時間の流れが速くなります。そして広がったお話がクライマックスに向けて 怒濤 のような勢いで、つぎつぎと解決されていくのです。 この構成がストーリーの向かう先がまったく読めないという緊張感を生み出しているのだと鈴木さんは言います。 たとえば『ハウルの動く城』では、どんどんお話があっちこっちに飛んでいきおもしろくはなっているのだけど、これ最後どうするつもりだろうと心配になった鈴木さんは、制作の途中でなんども宮崎監督に尋ねたそうです。
「これ、ちゃんと終わりますかね?」 宮崎監督は自信ありげに
「大丈夫だ」と答えていたそうです。 ところが、絵コンテもだんだんと完成し、あと残り三〇分を残すばかりとなったときに、宮崎監督が鈴木さんのところにやってきたそうです。
「鈴木さん、どうしよう。お話が終わらない」
巨匠でもこういう行き当たりばったりの体当たりをしてるんだと思うと希望が持てました。この本は本当に面白いのでオススメです。漫画にも応用できる考え方がすごく多いと思います。
さて、色々お話を聞いてまいりましたが、そろそろいいお時間ですので、最後にこの座談会の感想と宣伝などありましたら、お願いいたします。
そして海のものとも山のものともどこの馬の骨ともわからない自分をお招きいただいた森脇先生に感謝を!
なにかしらみなさまの役にたてたりヒントになったりできたなら幸いです。
最後にLINEマンガにて『ムラサキ』連載中です!よろしくお願いします!
『ムラサキ』続きも楽しみにしております。頑張ってください。
今回はありがとうございました。
第七回「かみんの部屋 漫画家座談会」は5月中旬ごろ開催予定です。
気になる次回のゲストは
未定です!
決まり次第、またツイッターなどで告知いたしますので、お待ちください。
それでは、今回はこの辺で。
ご覧になっていただいた皆様、質問を下さった皆様、長丁場にお付き合いいただき、ほんとうにありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。
森脇かみんでした。