どこかに行くの?
文字数 791文字
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あの日、兄貴は倒れていたおれを見つけてから友人に連絡をし、代わりに竹宮詩織にコンタクトをとってもらったらしい。詳しい様子は教えてもらっていないが、竹宮詩織はおれたちの話を聞き入れてくれたようだった。次の日、夜のニュースでは脱法ハーブを吸っていたのは竹宮祥子ではなく、助手席にいた男で、「ハートビート」というハーブを吸っていたということが報道された。
事件から三日後、東京都内のホテルから出てきた滑川は警察に逮捕された。誰にも匿ってもらえず、一人で逃亡生活を送っていたようだ。
おれは、ほっと胸を撫ぜおろし、今回の事件の情報をまとめた。
逃亡し、逮捕された滑川という男は脱法ハーブのブローカーだったということ、「ハートビート」は気合の入った新商品だったけどこのザマだったということを強調し、脱法ハーブと言えども、もう普通の麻薬と同じで、規模は縮小していくだろうという誘導を狙った。
サイトを更新し、ノートパソコンを閉じる。
「どこかに行くの?」
朝、リビングで食パンを食べていたら、真紀恵母さんは目を丸くしていた。よそ行きの服を持っていないから、おれはとりあえず高校の制服を着てみている。
「夏休みじゃないの?」
「ただの散歩だよ」
真紀恵母さんは、「ふぅん」と言い、何か訊ねたそうな顔をしておれのことを見ていたが、それ以上訊ねてはこなかった。帰ってきたら、どこまで行けたのか話をすることにしよう。
食事を済ませ、身支度をし、「いってきます」と言って、玄関から外に出る。
熱い日差しを浴びながら、今日はどこまで行けるだろうか。
第4話おわり
参考文献
『危険ドラッグ 半グレの闇稼業』溝口敦 角川新書
『代理ミュンヒハウゼン症候群』南部さおり アスキー新書
あの日、兄貴は倒れていたおれを見つけてから友人に連絡をし、代わりに竹宮詩織にコンタクトをとってもらったらしい。詳しい様子は教えてもらっていないが、竹宮詩織はおれたちの話を聞き入れてくれたようだった。次の日、夜のニュースでは脱法ハーブを吸っていたのは竹宮祥子ではなく、助手席にいた男で、「ハートビート」というハーブを吸っていたということが報道された。
事件から三日後、東京都内のホテルから出てきた滑川は警察に逮捕された。誰にも匿ってもらえず、一人で逃亡生活を送っていたようだ。
おれは、ほっと胸を撫ぜおろし、今回の事件の情報をまとめた。
逃亡し、逮捕された滑川という男は脱法ハーブのブローカーだったということ、「ハートビート」は気合の入った新商品だったけどこのザマだったということを強調し、脱法ハーブと言えども、もう普通の麻薬と同じで、規模は縮小していくだろうという誘導を狙った。
サイトを更新し、ノートパソコンを閉じる。
「どこかに行くの?」
朝、リビングで食パンを食べていたら、真紀恵母さんは目を丸くしていた。よそ行きの服を持っていないから、おれはとりあえず高校の制服を着てみている。
「夏休みじゃないの?」
「ただの散歩だよ」
真紀恵母さんは、「ふぅん」と言い、何か訊ねたそうな顔をしておれのことを見ていたが、それ以上訊ねてはこなかった。帰ってきたら、どこまで行けたのか話をすることにしよう。
食事を済ませ、身支度をし、「いってきます」と言って、玄関から外に出る。
熱い日差しを浴びながら、今日はどこまで行けるだろうか。
第4話おわり
参考文献
『危険ドラッグ 半グレの闇稼業』溝口敦 角川新書
『代理ミュンヒハウゼン症候群』南部さおり アスキー新書