雪女

文字数 557文字

 私は山道を歩いている。
 山の中は、森々としていて、不気味なほど静かだ。
 しばらくすると、河童が現れて、
「この先に、オマエが想像する以上に不細工で顔色の悪い雪女がいるから、気を付けな」
 と忠告し、何処かへ消えた。
 雪国でもないのに、雪女がいるわけない、と歩いていると、目の前に白い着物を着た顔色の悪い不細工な年増の女が現れた。
「お前は何をしに、この道を登っている。これから先は、危険だから登っては行けない」
 と不細工な女が言う。
「野イチゴを取りに行きます」
 と言うと、
「この先の野イチゴには、毒が入っているから、採らない方が良い」
 と顔色の悪い女が教えてくれた。
「じゃあ、アケビを採るから、別にいいです」
 と言うと、
「アケビを種ごと食べると、便秘になるから、食べない方が良い」
 と年増が言う。
「じゃあ、山芋を掘るからいいです」
 と言うと、
「あんな鼻水みたいなものは、気持ち悪いから、食べてはいけない」
 とブスが言うので、
「じゃあ、山菜を採ります」
 と言うと、
「お前は、本当にしつこい子だね」
 と顔色の悪い不細工な年増の女は気分を害して、私に息を吐きかけてきた。
 女の息はとても冷たく、タバコ臭かったので、
「くさっ!」
 と私は大きな声で言った。
 すると女が腹を立てて、やがて猛吹雪になり、私はそのまま凍ってしまった。

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