九章 今岡単独パート
文字数 2,049文字
ふんふんっ!
……うん、どなたじゃな?
入ります!
ふんふんっ!
おおっ、カレン先生か。
どうなされましたかの?
これか?
これは日課のスクワットじゃよ。
すばらしい筋肉は、日々のたゆまぬトレーニングから作られるからのう。
すいません……。
うっとうしいんで、話しているときぐらい、
じっとしていただいてもかまいませんか?
え~~、じゃない!
いい加減にしないと、そのへんに転がっているダンベルやら鉄アレイやら、
全部捨てますよ!
……しかたないのう。
では、ちと座って話そうかの。
カレン先生、そこのイスへどうぞ。
で、話とは?
はい、そのことですが、
私の教職を解いていただきたいのです!
やはり私には向いていません!
しかし私は見ての通り、
極度の対人恐怖症!
これでは教えられるものも
教えられないではないですか!
かもしれんがのう……。
しかし、カレン先生はそれ以外は本当に優秀、
風魔法は現役トップクラスで、
性格だって、比較的うちではまともなほう。
なので、いま辞められては困るのじゃよ……。
そうはおっしゃいましても、
これでは生徒のためにもなりません!
うむ。
……であれば、なおさら辞めてもらうわけにはいかぬのう。
それはじゃな。
カレン先生が誰より生徒のことを想っておるからじゃよ。
…………!!!!
生徒を想う心、
それがなにより教師には大事なのじゃ。
それを誰より強く持つ先生に辞められたとあっては
もうここで教える者など誰もいまいて……。
………………。
わかりました……。
では、最後に一つだけお聞きしてもいいですか?
うん?
なにかの?
学園長はさっきから何に
座っておられるのですか?
空気イスじゃよ。
じっとしておっても、
これならいつでもどこでも筋トレができるからのう。
(……この人自身が、生徒のことより
(自分の筋肉のことしか考えてないんじゃないのか?
ん?
盗み聞きしてた先輩から教えてもらっただけだよ。
だーかーらー、
なんでそんなにコミュの範囲広いのよ!
ちょっとおかしいんじゃないの!
学園長さァがそいまで研鑽をたゆまんとは、
おいも負けとれんでごわすな!
戦ばもともと正気でやるもんじゃなか。
そんぐらいで丁度よかではなかか?
そういえばあんた、以前私の心、読んだことあったわよね?
あれ、どうやったの?
あ~、あれじゃないかな。
召喚士と召喚獣はお互いの考えが通じるって、
なにかの本で読んだことあるんだけど。
もしかしたら、ナオミもやろうと思えばできるんじゃない?
そっか。
じゃあ、ちょっとやってみようかな。
止めちょいたほうがよかよ。
今さら止められますかって。
う~~ん……。
こうかな?
ひぃっ……!?
おいは薩摩兵子(さつまへご)じゃ。
寝てん覚めてん、戦の手柄のこつしか頭ん無かぞ。
そう。
じゃあ、おやすみ。
しれっと、