第13話 郷田十三(3)

文字数 642文字

都内の高級ホテル、ニュー小谷の一室で。

郷田さんに仕事の依頼をする、国際エージェント。

あんたが、あの伝説の国際A級スナイパーの

郷田十三さんか。

いかにも、ワシが郷田じゃ。

コン、コン、グヘヘっ。

気持ち悪い咳をする郷田さん。
体調が良くないようだが、

さっそく仕事の話をさせてもらおう。

...今回のコロナ騒動で、C国のトップ•シュークリーム総書記を暗殺してくれと全世界から依頼が来ている。

報酬は、米ドルで1000万ドル。

..どうだ、受けてくれるか。

実戦からは、久しく遠ざかっておるからのう、

勘を取り戻す為に、漫喫でウォーゲームやるから漫喫代ちょうだい。

ゴホッ、ヘークショイ!

漫喫代?
そ、そうじゃ。

若い頃に年金かけて来なかったから、

今はもう生活保護なんじゃ...

ゴホッ。

なんか、情けないなぁ。
そう、馬鹿にしたもんじゃなあわいな。

最近まで、駅で自転車を整理するバイトをしておったのが、

コロナ禍の時短で切られたんじゃ。

...ちょっと、体温を測らせてくれ。
電子体温計を郷田の額に当てるエージェント。
Pppppppp!
うっ、ヤバイ!

38.5度もある。

コロナじゃないのか。

マスクしろよー。

飛沫を恐れ、郷田の背後にまわるエージェント。
あー、わしの背後には回らんでくれ。

背後に回られると背後霊と勘違いして、

あの世に逝きそうになり、失禁してしまうんじゃ。

ジョジョジョー

(湯気の立つ室内)

マスクしろーっ!

紙オムツしろーっ!

即刻受診してPCR検査しろーっ!

(ダメだ、こりゃ)

バタムっ!
部屋を出てゆく、国際エージェント。
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