出会い
文字数 1,257文字
ユナはカナタに寄り添いながら、深い眠りのなかで昔のことを思い出していた。
ユナはゼノの実の子ではなかった。遠くの戦地から追われ、ゲノと国境を越えてシラコ国にやってきた。反戦のレジスタンス指導者だった彼女の父親が捕まった。幼い彼女は追われる身となった。父の右腕として戦ってきたゲノは彼女をつれて逃げてきた。ゼノは彼らを匿うため、戦士として腕が立つゲノを彼の師団の直属に入れた。そして、ユナは自分の娘とし、自分で身が守れるようにと戦い方を教えた。生まれながらにしての才能もあったのだろう。彼女はサーベルの腕を上げていき、手合わせでは国随一といわれるほどに育った。
近衛が実際に戦闘に加わることはほとんどない。そんな彼女を兵士達は『不殺のサーベルタイガー』と呼んだ。
そんな折、シラコ国に突然現れたサタドゥールがドラゴン復活の予言をした。国王はなぜか彼の言葉を鵜呑みにし、近衛師団に『器』探しを命じた。そして、第一師団長であるゼノがその任にあたることになった。かれは信頼できる直属の部下たちに手分けして探すように指示をした後、自身もユナとゲノを連れ、シラコ国に伝わる古い伝説を頼りに『器』と呼ばれる動物たちを探した。
『器』を守る種族には、その体に印となる模様があり、『器』には魂を示す玉の模様があるという。森に住む人々の中に額に赤アザを持つ一族がおり、『器』には目のような模様があると教えられた。彼らはまず、人の『器』を探すことにした。
森に住む人々は用心深い。危険を感じた彼らは各地の森に散らばった。巧みに草木や岩穴に隠れ、いくつかの住処を移動しながら暮らした。森の中では馬も使えない。ユナたちは歩いて探すしかなかった。
たまに運良く彼らに出会うこともあった。しかし印のある存在には出会うことはなかった。やがて、『器』が見つからないことに業を煮やした王から、隠れ続ける『器』を守る一族を反逆者とする殺害命令が出た。ユナたちは信じられなかった。誰よりも民のことを優先してきた国王が、民を、それも一族丸ごと抹殺しようというのだ。それはまるで誰かに操られているかのような豹変振りだった。
ゼノは命令を無視した。それにより反逆者としての汚名を受けるとも、守ることを使命とする近衛が人殺しの真似はできないと言った。
人の『器』は植物の声を聞く。一族は巧みに難を逃れていた。国王は激怒し、ついには国中の大きな森に火を掛けた。ユナたちはいくつかの森で人々を救おうとした。
「わしらは森と共生する民だ。森がなくなれば生きていけない。忠告はありがたいが、森と運命を共にする。皆に森の加護があらんことを。」
逃げる者はいなかった。そんな中、ゼノは強烈な悪寒を感じた。多くの動物と、数多の植物の悲痛な叫びにも似たものを感じた。数日後、国境の森で大規模な殺戮があったことが伝わる。ユナたちはその森に急いだ。しかし、そこは焼けただれた木々や家屋と大量の死体が累々と転がっている死の森だった。そこでカナタに会った。
ユナはゼノの実の子ではなかった。遠くの戦地から追われ、ゲノと国境を越えてシラコ国にやってきた。反戦のレジスタンス指導者だった彼女の父親が捕まった。幼い彼女は追われる身となった。父の右腕として戦ってきたゲノは彼女をつれて逃げてきた。ゼノは彼らを匿うため、戦士として腕が立つゲノを彼の師団の直属に入れた。そして、ユナは自分の娘とし、自分で身が守れるようにと戦い方を教えた。生まれながらにしての才能もあったのだろう。彼女はサーベルの腕を上げていき、手合わせでは国随一といわれるほどに育った。
近衛が実際に戦闘に加わることはほとんどない。そんな彼女を兵士達は『不殺のサーベルタイガー』と呼んだ。
そんな折、シラコ国に突然現れたサタドゥールがドラゴン復活の予言をした。国王はなぜか彼の言葉を鵜呑みにし、近衛師団に『器』探しを命じた。そして、第一師団長であるゼノがその任にあたることになった。かれは信頼できる直属の部下たちに手分けして探すように指示をした後、自身もユナとゲノを連れ、シラコ国に伝わる古い伝説を頼りに『器』と呼ばれる動物たちを探した。
『器』を守る種族には、その体に印となる模様があり、『器』には魂を示す玉の模様があるという。森に住む人々の中に額に赤アザを持つ一族がおり、『器』には目のような模様があると教えられた。彼らはまず、人の『器』を探すことにした。
森に住む人々は用心深い。危険を感じた彼らは各地の森に散らばった。巧みに草木や岩穴に隠れ、いくつかの住処を移動しながら暮らした。森の中では馬も使えない。ユナたちは歩いて探すしかなかった。
たまに運良く彼らに出会うこともあった。しかし印のある存在には出会うことはなかった。やがて、『器』が見つからないことに業を煮やした王から、隠れ続ける『器』を守る一族を反逆者とする殺害命令が出た。ユナたちは信じられなかった。誰よりも民のことを優先してきた国王が、民を、それも一族丸ごと抹殺しようというのだ。それはまるで誰かに操られているかのような豹変振りだった。
ゼノは命令を無視した。それにより反逆者としての汚名を受けるとも、守ることを使命とする近衛が人殺しの真似はできないと言った。
人の『器』は植物の声を聞く。一族は巧みに難を逃れていた。国王は激怒し、ついには国中の大きな森に火を掛けた。ユナたちはいくつかの森で人々を救おうとした。
「わしらは森と共生する民だ。森がなくなれば生きていけない。忠告はありがたいが、森と運命を共にする。皆に森の加護があらんことを。」
逃げる者はいなかった。そんな中、ゼノは強烈な悪寒を感じた。多くの動物と、数多の植物の悲痛な叫びにも似たものを感じた。数日後、国境の森で大規模な殺戮があったことが伝わる。ユナたちはその森に急いだ。しかし、そこは焼けただれた木々や家屋と大量の死体が累々と転がっている死の森だった。そこでカナタに会った。