破滅の始まり

文字数 885文字

 それから暫く、アランはマクシムと共に仕事をこなしていた。時に家畜が暴れることもあったが、二人であれば簡単に取り押さえられる程度のものであった。そんな中、アランはニコライから呼び出され、仕事を終えた後でその指示に従った。すると、ニコライは笑みを浮かべながら彼を待ち受けており、アランは失礼のない様に挨拶をする。
 
「お疲れ様、アラン君。今日は、追加のお仕事について話したいんだ」
 ニコライは、そう伝えると目を細めた。
「君にまた、雌の餌やりをしてもらいたくてね」
 そう伝えると、ニコライはアランの目を真っ直ぐに見る。
 
「個体番号が変わるだけで、やることに変わりはない。今はまだ準備期間だけど、引き受けてくれるかな?」
 アランはニコライの頼みを聞き入れ、返答を聞いた者は笑みを浮かべる。その後、アランは以前と同じ様なやり取りをし、諸々の準備が整った日から仕事は追加された。
 
 仕事をすべきフロアに降りたアランは、以前やった流れを思い出しながら餌を用意し部屋を探した。そして、A-094と書かれたプレートを見付けると立ち止まり、予め指定された通りの手順でドアを開ける。

 そうして、アランは餌を乗せたトレイを持って部屋に入った。そして、彼はそこに居た者の容姿を見るなり目を見開く。
 
「リ……っ」
 不意に言葉を漏らしたアランは、それを遮る様に唇を噛んだ。その言葉が聞こえたのか、部屋に居た女性はベッドの上からアランを見た。アランは、餌を乗せたトレイをベッドに置くと女性から目を反らす。彼は、そうしたまま餌が入った容器が空になるのを待った。

 それから暫くして、アランは退室の準備をすると軽くなったトレイを持ち上げた。そして、女性の顔を見ぬよう目線を反らしながら部屋を出る。
 
 アランは、トレイを返した後でマクシムと合流した。その時、彼は落ち着きを取り戻しており、何時もと変わらない様子で仕事をこなしていく。しかし、女性のことが気になっていたのか、アランは休憩時間になると浮かない顔になった。とは言え、アランが気持ちを口に出すことはなく、マクシムが表情の変化について問うことも無かった。
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登場人物紹介

アラン


ガチムチ脳筋系の兄貴キャラ。
それでいて上の指示には従順な体育会系な為に社畜と化す。

純真な心が残っている為、それで苦しむが、何が大切かを決めて他を切り捨てる覚悟はある。

ニコライ的には、瞳孔が翠で良い体格の(おっちゃんなもっとデカなるでな)理想的な茶トラ人間バージョン。
なので気にいられてる。

ニコライ・フォヴィッチ


裏社会で商売している組織のボス。
ロシアンブルーを愛する。

猫好きをこじらせている。
とにかく猫が好き。
話しながら密かにモフる位に猫が好き。
昔はサイベリアンをモフっては抜け毛で毛玉を育てていた系猫好き。
重症な猫好き。
手遅れな猫好き。
猫には優しい。
猫には甘い。
そんな、ボス。

アール


ニコライの側近。
眼鏡でエルとは瓜二つ。
服も支給品の同じスーツなので、見分けは右にある黒子。

ニコライ的にはタキシード模様の猫その1。
黒い毛並みを維持する為の投資は厭わない。

エル


ニコライの側近。
眼鏡でエルとは瓜二つ。
服も支給品の同じスーツなので、見分けは左にある黒子。

ニコライ的にはタキシード模様の猫その2。
黒い毛並みを維持する為の投資は厭わない。

青猫
ニコライの愛猫。
専用の部屋を持つ部下より好待遇なお猫様。
ロシアンブルーだからあまり鳴かない。
そこが気に入られる理由。
専属獣医も居る謎待遇のお猫様。

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