ホシ

文字数 892文字

とにかく、また現場に戻って付近の聞き込みだな……。
あっ! お芋さん!
をつけんなって!
何でですか?
……いや、いい。
お芋さん……俺、思い出したっす!
何をだ。
俺、あの女のアリバイ、証言できるかもしんないっす!
あ?
(お前が証言って、意味わかってんのか?)
あの女って、どんな女だ? まさか今のお店のオバちゃんの事じゃねーだろうな。
ハハッ! まさか……あり得ないっすよ!
(お前の場合、あり得るからな)
じゃあ、誰だよ、女って。
ホシっすよ、決まってるでしょう?
決まってるかどーかは知らねえが……
(だったとしたら、お前、犯行時刻に現場にいて状況に関わってるってことにならねえか?)
ホシの女、俺の彼女なんスよ!
ぶっ……
(何てこと言いだしやがる!)
マジかよ、お前……冗談……
こんな事、冗談で言えないっスよ! ド忘れしちゃってたんすよ。思い出しちまったんです!
(軽いんだよ、ノリが! 思い出しちまったじゃねーだろ!)
それでどうした?
お芋さんもいましたよね、あの夜、今日はレズのカップルと乱交だって俺のこと誘ってくれて。
(ああ、俺は若いのの面倒見がいいからな)
それで、ホラ、あんな事になっちゃって……
(なっちゃったな)
でもまあ、俺たちの責任じゃないっすよね!
そうだな。
でも思い出しちまったっすから!
どーするつもりだ?
自供します。それで解決でしょう?
そうだな。お前、初めてなんじゃないか? 捜査で手柄立てるの。
そーすか? よく憶えてないっす!
……。
(まあいい)
よし、行くぞ。
どこへっすか?
現場だよ、車、乗れって。
現場ってどこっすか?
いいから、まず乗れ。
わかったっす!
俺たちは走り出す。そして走り続ける。

少しの間だけ、そうしていればいい。
いつまでも。
芋づるデカ ~To say Long Good bye is to die a little.~  Fin
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短編集『タンバリンでできたオーロラ』芋づるデカ


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登場人物紹介

芋山鶴お。

人呼んで「芋づるデカ」。

如月ピアノ。

新米の相棒。

警察手帳。



星だピカ子。



オバちゃん。



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