詩小説『短編小説の恋』3分の物語。全ての大人へ。

エピソード文字数 774文字

短編小説の恋

名作は色褪せない。

過ぎ去った恋すら、
物語となって。

どんな小説だって、
霞んでしまうわ。

あなたって罪な人ね。
あなたって物書きね。

しおりを挟んだ想い出は、
そう、出逢った日。木漏れ日の下。

まだ、初々しい、瑞々しい。
哀しみなんて、まるで知らない、
無垢な少女だった。

題名も、展開も、筋書きすら、
あなたに身を任せた。

無垢な少女は色んなことを知って、
ため息の似合う大人になりました。

そう記したなら、帯にして、
表紙に巻きつける。

読み進める度に、
残りのページは痩せてしまう。

終わってしまわないでと、
残りのわずかなページ摘む、
そんな、恋だった。

もう少し読んでいたいのと、
名残惜しい、物語だった。

捲るページの先に、
想い出のあなたが飛び出す。

様々な場面で、様々な活字で。
恋をした私と共に。

読み返すことはもう出来ない。
蘇ってしまうのが怖いから。

あの台詞も、あの場面も、
泪なしでは語れない。

あんな結末なんて、
読んでいられない。

超大作にはならなかった。
短編小説の恋。

せめて、
処女作と呼ばせて。

ハッピーエンドを期待して、
読み進めるが。

雲行きは次第に怪しくなる。
描けない。書けない。

夢中になって読み続けた、
この物語は、
予想すらくつがえす、
哀しい結末待っていた。

息継ぎも忘れて、
走り続けた恋。

一生分、いや何章分もの、
恋になって消えた。
あとがきにかえて。

いつしかほこりをかぶって、
表紙も色褪せて、
ページは日焼けして、
古本の匂い漂わせて。

本棚の片隅に眠るほどの、
月日が巡っても。

哀しい時、虚しい時。
珈琲と共に寄り添って。

記憶と共に寄り添って。

どうか寄り添って。

私の物語は、あなたの小説の中に。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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