第44話 コテージにて②
文字数 691文字
(……これは、予期してなかったな……)
「処女をやめたいので協力して下さい」と頭を下げる真理子に、正語 は目を丸くした。
あらぬ方向から飛んできた直球に戸惑った。
さあどうする。
どう言えば相手を傷つけずに、この場を収められる。
無論嫌いではない。
好ましいと思える相手からの誘いなら、時間と体力が許す限り応じてきた。
だがそれは男に限る。
女は経験がなかった。
今まで女からの誘いはうまくかわしてきた。
食指が動かないのだからしょうがない。
正語がかける言葉を探していると、真理子が顔を上げた。
「……お願いです……私、絶対に誰にも言いませんから!」
胸の前で手を組み肩を震わせる女の、左目だけを正語は見ていた。
青灰色の目が熱を帯びて潤んでいる。
——あいつ もこんな目で、誰かを見ることがあるのだろうか。
そう思った瞬間。
なんだかいけそうな気がしてきた。
「シャツを脱いで」
「はい?」
「するんでしょ。脱いでよ」
真理子はそろそろとTシャツを脱いだ。
脱いだシャツで胸を隠し、下を向く。
正語は自分のシャツのボタンを外しながら、真理子の顎に手をかけて顔を上げさせた。
「俺を見て」
真理子は目を開けたが、すぐにまた目を閉じて顔を背けた。
「……恥ずかしいよ」
「頼む。その方が……」
——興奮するから。
「……いいから……」
真理子は言われるまま目を開けた。
まっすぐに正語を見る。
「絶対に目を閉じないで、俺だけを見てて」
「はい」と真理子は正語を見たままうなずいた。
真理子を引き寄せてベッドに導きながら、正語はチラリと思う。
こんなんじゃ俺はあの蛙女の絵をオカズに出来るんじゃないか、と。
「処女をやめたいので協力して下さい」と頭を下げる真理子に、
あらぬ方向から飛んできた直球に戸惑った。
さあどうする。
どう言えば相手を傷つけずに、この場を収められる。
無論嫌いではない。
好ましいと思える相手からの誘いなら、時間と体力が許す限り応じてきた。
だがそれは男に限る。
女は経験がなかった。
今まで女からの誘いはうまくかわしてきた。
食指が動かないのだからしょうがない。
正語がかける言葉を探していると、真理子が顔を上げた。
「……お願いです……私、絶対に誰にも言いませんから!」
胸の前で手を組み肩を震わせる女の、左目だけを正語は見ていた。
青灰色の目が熱を帯びて潤んでいる。
——
そう思った瞬間。
なんだかいけそうな気がしてきた。
「シャツを脱いで」
「はい?」
「するんでしょ。脱いでよ」
真理子はそろそろとTシャツを脱いだ。
脱いだシャツで胸を隠し、下を向く。
正語は自分のシャツのボタンを外しながら、真理子の顎に手をかけて顔を上げさせた。
「俺を見て」
真理子は目を開けたが、すぐにまた目を閉じて顔を背けた。
「……恥ずかしいよ」
「頼む。その方が……」
——興奮するから。
「……いいから……」
真理子は言われるまま目を開けた。
まっすぐに正語を見る。
「絶対に目を閉じないで、俺だけを見てて」
「はい」と真理子は正語を見たままうなずいた。
真理子を引き寄せてベッドに導きながら、正語はチラリと思う。
こんなんじゃ俺はあの蛙女の絵をオカズに出来るんじゃないか、と。