第4話

文字数 463文字

「あなた、何?」雪子は率直に訊ねた。それは、端的に言えばマウス(ハツカネズミ)の姿をしていた。外見上は、実験動物としてごく普通に飼育されているマウスそのものだった。毛は白く、人間の手のひらにすっぽり入るほど小さい。4本の前指に5本の後趾、鼻の周りに伸びているヒゲも、一般的なマウスの特徴とする合致していた。尻尾は細長く、体長の半分ほどを占めている。間違いなくマウスだ。しかし、見た目はともかく、それはただのマウスで無い事は明らかだった。
というのも、それは後肢だけで立ち、二足歩行をしていたのだ。その様子は、まるで人間が中に入っている着ぐるみのようだった。雪子が思わず『あなた』と呼び掛けたのも、それが動物というよりは人格を持った何かであるかの様に感じたからだ。
「俺か?」マウスの姿をしたそれは、人の言葉で答えた。マウスを飼育していると、確かにそれらがチューチューと鳴く声を聴くことがある。目の前の何かの声も間違いなく、マウスの甲高い鳴き声と同じだった。
「俺は『隙間の神』さ」それは、偉そうに腕を組んで、堂々と名乗った。
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