第22話 本当に恋愛マスターなの?

文字数 1,968文字

夕飯はファーストフードのお店に入った。


女子達は色々料理の写真をスマホで喜びながら撮っている。

冬月さんが愛に言った。
愛さん。そこの席にちょっと座ってみて。
冬月さんに言われた通り、愛が席に座る。
龍一はそこ。
言われた通り、俺が座ると愛と俺は隣になる。
じゃあ、二人共笑って。あ、ちょっとおさまらないから、もっと寄って。


はいもっと寄って。

愛とめちゃくちゃ近い距離となり、冬月さんは写真を撮ると、俺と愛に送ってよこした。


lovelyとか文字付きで…

(冬月さん…あからさまだよ…それはダメだよ…)
その後も、終始夕飯中にあからさまな感じで俺と愛に何かさせようとする冬月さん…


神谷、明、酒井さんは完全に苦笑いだった…

夕飯を食べ終えると、ホラー系に行こうということになった。


お化け屋敷みたいなホラー系のアトラクションへ並ぶ。

ここでも冬月さんは奇怪な行動に出た…
今日の班行動のアトラクションのペアは愛と神谷、俺と冬月さん、明と酒井さんと決まっているはずなのに、しきりに愛と交換しようとしていた…


もちろん、そんなことをしようとすれば酒井さんもずるいと騒ぎ出すわけで…

冬月さん、ずるいよ。私ともじゃあ交換しようよ〜?
ん?酒井さんと交換?


いいよ〜。

勝手なペアチェンジが行われて、酒井さんと神谷、愛と俺、冬月さんと明のペアになった…
(有り難いけど冬月さん…これじゃあ、あからさますぎだよ…)
酒井さんは神谷に一生懸命並んで待ってる間に話しかけている。


明と冬月さんはお互いぎこちないけど、話をしている。


俺は愛に話かけた。

その、なんか、ペアなっちゃったけど、よろしくね(笑)


そういや、愛は昔から怖がりだから、このアトラクション大丈夫なのか?

私の方こそよろしくね(笑)冬月さん、急にどうしたんだろうね?


なんか暴走してる?(笑)


まぁ、相変わらず怖がりだよ…


でも、龍一君が一緒だから、大丈夫だよ(笑)

そ、そうか。
冬月さんの行動はあからさまだったけど、このアトラクションで怖がりな愛とペアになれたのは、冬月さんに感謝したほうがいいかもしれない。


なんて思ったのは中に入るまでだった…

中に入ると、薄暗くいかにもな雰囲気…


ちょっと歩くと、愛はビビって俺にしがみついてきた…


(冬月さん…ありがとう…)


そう思いながら進む。

ちょっと進むとまた驚かすような場面で、半べそになった愛が言った。
その、怖いから、手をつないでもらえないかな?
(なんて、いい提案なんだ。吊り橋効果ってやつも期待できるかもしれない。)
全然いいよ。
そして、俺達は手をつないで、歩き出してちょっとすると、後ろが騒がしい感じがしたと思ったら、冬月さんが、奇声をあげながらダッシュで現れて、俺と愛が絆いだ手に突っ込むと、繋いでいた手がほどけた…


そして、無我夢中なのか、愛を掴むと、そのまま愛を連れて走り去ってしまった…

呆然とした俺は、我に戻る…
(冬月さん…感謝してたのに…いい所で現れてぶち壊していなくなったし…自称恋愛マスターなんだよね?今、めっちゃいいとこだったよね…?)
そんなふうに思っていると、トボトボと明が現れた…
おう。龍一じゃん…冬月さん疾走してこなかった?(笑)
疾走も何も、いい所で、ぶち壊されて、しかも何故か知らないけど、愛を連れていなくなったよ…(笑)
そうか…


一緒に行く?(笑)

なんで、大阪まで来て、明と一緒にまわらなきゃないんだろうな…(笑)
それはこっちも同じだろ(笑)


冬月さん、怖いの苦手だったみたいだな…


結構叫びながら、暴れてたよ(笑)

そうか…(笑)


もう酒井さんと神谷も追い越して、先に出口いたりしてな(笑)

龍一と坂木さんをやたら、くっつけようと頑張ってたのに、ぶち壊していくなんて、冬月さんすげーよな(笑)
冬月さん、自称恋愛マスターらしいからね(笑)


多分、モテるから自分は恋愛マスターみたく勘違いしてるだけだと思うけどさ(汗)

冬月さんってさ、記憶失う前もあんな感じだったのかな?(笑)


白石 千春のイメージとちょっと違うよな(笑)

どうなんだろうね(笑)


俺も前のことは知らないけど、明の言う、イメージ違うってのはわかるな(笑)

俺達男二人が出口に二人で出ると、酒井さんに笑われた…
二人共お疲れ様(笑)


二人の時間は楽しかったかな?(笑)

男二人で、楽しかったと思う?(笑)
酒井さん、バカにしてるよね?(笑)
じゃあ次行こうか(笑)
酒井さんはそう言うと歩き出した…
じゃあ、時間もそろそろなくなってきたから、お土産屋さんでも見に行こうか?


副班長の冬月さんが結構お疲れのようだし(笑)

神谷がそう言うので、冬月さんを見ると、結構疲れていそうだった。
でも、こちらに歩いてきて言った。
すまん。怖くてテンパった(笑)
いいけど、大丈夫?(笑)
走ったから少し疲れた(笑)
そして俺達はお土産屋さんで買い物をして2日目の修学旅行を終えた。
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登場人物紹介

上田 龍一(うえだ りゅういち)

城西高等学校2年生

成績、スポーツ、容姿全てが平均的男子。同級生で同じ高校で同じクラスの坂木 愛(さかき あい)に恋をしている。

冬月 千春(ふゆつき ちはる)龍一のクラスへの転校生。

両親離婚前は白石 千春(しらいし ちはる)

元アイドル。そして記憶を失くしている。

坂木 愛(さかき あい)城西高等学校2年生。龍一と同じクラス。


目立つタイプではなく、あんまり人の輪に入ることが得意ではないが、容姿が良いため男子から密かに人気がある。

酒井 真美(さかい まみ)。龍一のクラスメイトで、愛の親友。

佐藤 明(さとう あきら)。龍一のクラスメイトで親友。

神谷 俊(かみや しゅん)。龍一と同じクラスで学年一のモテ男。性格もイケメン。

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