第4話 (1)

文字数 3,812文字

 

 魔法士と戦士についての基本的なことや、その他エルの家族、兄やその妻についてなど、他愛もない話をしてから、デットは陽が落ちきる前にエルを馬車で家に戻した。
 夕刻、夜間営業である“穴熊”を、開店後すぐの時間に訪れた。歩み始めたエルの行く手に早く光を照らしてやりたいと思ったのだ。“穴熊”の店主は長卓席に座ったデットに好意の酒を注ぎつつ、デットの問いに答えてくれた。
「この町には、さまざまな実力の術者がいるが、最上級が望みだろうな」
「その通りだ」
「一人、俺が知る中で一番と思う者がいる。とはいっても、魔法力のかけらもない俺が言うことは信用ならないかもしれないが。最近引退した知り合いの術者の弟子にあたる。町一番といわれていた師匠本人が自分を超えたと言っているのだから、間違いはなかろう」
 デットはありがたく拝聴した。店主がひとたび気に入った者にはいろいろと便宜をはかってくれるという噂は本当らしい。それゆえにここに出入りする戦士が多いのだろうとうなずけた。
「いまここにいるが、会うか?」
 なんと都合のよいことか。願ってもなかった。
「頼む」
 すぐに店主は店の奥へと姿を消した。デットは意外に思った。店はまだ開店したばかりで客足はまばらだが、その術者が客として来ているのだと思ったからだ。
 やがて奥へと通じる木戸から店主は現れた。店主の大柄な体に隠れるほど小柄な人物と一緒だった。デットはそれでもその者が術者であるとは思わなかった。
 術者とは、五精霊すべてと契約を交わし、なおかつ、それぞれの異なる精霊から引き出す力が均等になるように修行を重ね、精霊の本質の力を引き出せるようになった者のことだ。
 術者の最も重要な仕事が、精霊の召喚になる。五精霊からのそれぞれ五つの要素が均等でなければ、力の均衡は崩れ、召喚術として作用しない。精霊召喚が難なくこなせるようになるまでの一般的な修行期間は、並の者なら十年はかかると言われている。召喚術はただ水や炎を出すのとはわけが違う。精霊の力の本質が分からねば精霊の気を引く術を作り上げることはできない。並の術者からさらに経験を重ねてからようやく“腕のいい”術者といわれる。若くても三十代、そのあたりでやっと一人前の術者になれるものだが。
 店主と共に現れたのは、まだ年若い青年だった。少年といっても通じるかもしれない。もしかしたら身長はエルと大差ないくらい。小柄で華奢な彼は、とても町一番の術者とは思えない外見だった。
 真っ直ぐな黒い髪は艶やかに肩まで伸び、その顔は同年代の女性よりも年上の男のほうによくもてるのではないかと思うくらいの美形。多く見積もっても、二十歳くらいにしか見えない。それであるのに、青年から感じる気の波形は確かに力ある精霊使いのものだ。
 青年は店主に促され、デットの隣の席に座った。デットがさらに驚いたのは、席に座る青年はずっと目を閉じたままだったからだ。それなのに、なんでもないように、目が見えている者のようにすんなりと席についた。
 デットが唖然としていると、目をつむったままの青年はにやりと笑った。女と見紛う美形の青年に似合う表情ではないが、より魅力的になるのが不思議だ。
「あんたがデットか。じじいから最近よく出る名前だ」
 ここ数年ではなかったくらいにデットは困惑した。ここまで外見と印象と言葉遣いが噛み合わない者も珍しい。
「精霊の召喚をしたいらしいが、あんたのどこにそんな必要があるんだ? これ以上はないってくらいに“気”が強い。精霊を相当使いこなしてるだろ」
「あー…俺じゃなくてだな」
「そうだろう? あんたじゃない」
 青年は目を開く。
 透き通るような薄い金の瞳が現れた途端に感じた気の波動は、デットがこれまでに逢った力ある術者に劣らないものだった。青年の瞳は目の前のデットではなく、人の真髄を見通すかのようなものだ。
「そう、あんたのわけがない。五精霊の力、すべて揃ってる」
 デットはこの青年がこの町一番の術者といわれるのを理解した。
 ようやく困惑から立ち直り、青年に笑いかける。
「友人に精霊の契約をさせたい」
「わかった。いつがいい?」
 青年はデットを“視る”ことに満足したのか目を閉じた。また途端に青年から発せられる気が薄まった。
「早いうちに」
「俺ならいつでもいいさ。どうせ仕事らしい仕事もべつにしてないし」
 この青年なら術者として引く手数多だろうに。デットの疑問が分かったように青年は先に答える。
「俺は、あのじじいの孫でな」
 と、離れてなにか作業をしている店主に向けて顎をしゃくる。見えていないはずなのによく場所がわかるものだ。
「箱入り娘、ならぬ、箱入り孫なのさ。この目のせいでちっとも表に出しちゃもらえねえ。退屈を持て余してたとこだ」
 可愛らしい外見に似合わぬ無頼な口調。デットはひそかに苦笑する。
「目が見えないのか」
「そう、生まれたときから、まったくな。代わりに精霊の力を借りてるから不自由はないけど」
 店主がこの孫を外に出さないのは見えぬ目のせいだけではないだろう。これだけ個性の強い美青年はなかなかいるまい。一人で外を歩けば、相応な危険が身に降りかかるだろう。このナカタカは戦士や流れ者も多くいるため町の組織が治安について徹底的に権力で取り締まっているが、それでも無法な輩は存在する。目の見えない本人は自分の容姿について気にかけていないのだろうか。
「俺はデットだ。おまえは?」
「イグニシアス。で、いつがいい?」
 外見に似合わないのは、名前もだった。そのとても雄々しい名は誰が付けたのだろう。
「明日でもいいか?」
「いいだろう」
 イグニシアスはデットに興味があるようで、話を続けてくる。
「あんた、歳はいくつなの? 大抵は気でわかるのに、あんたはまったくわかんねえ」
 デットは面白くなって訊いた。
「どんな感じだ?」
「だから、全然、見当もつかない。声からすると、二十代から三十代かな」
「そんなもんだ。そういうおまえも相当だぞ。十代にしか見えないが」
 青年は顔を器用に歪めた。
「そんな子供じゃねえ。もう二十二だ」
 デットはさらに苦笑する。この青年がどんな外見だろうと、素直な態度は十分子供じみている。エルとは正反対だ。二人を会わせてみたら面白いことになるのではないかと思った。
 イグニシアスはすぐに表情をあらため、片頬を上げて笑ってみせる。
「俺は、高いよ?」
 報酬のことだ。本人の“価値”としてではなく、身売りのように聞こえるので言葉に気をつけるよう忠告すべきだろうか。
「だろうな」
 デットが気遣わずに話せる者は多くはない。にやりと笑い返す。
「友人はこれからカドルになる予定だ。本人はそのつもりでいる。よろしく頼む」
 真剣味を帯びたデットの口調に、イグニシアスは神妙にうなずいた。
「そうだな、早いほうがいいなら、明日の夜明け前に来られないか? その時間は静かで力を拡散させやすい」
「ここでいいのか?」
「場所はどこでもいいんだ、ほんとは。けど、じじいにここから出しちゃもらえないんでね。住居のほうの出入口が店の反対側にある。そこに夜明けの一刻前にでも」
「承知した」
 美青年は高さのある椅子からひょいと飛び降りると、目をつむったまま軽やかな足取りで奥へと続く木戸へ向かった。その間、他の客から好奇の目で見られていることに気づいたかどうか。
 いや、すべて知っているかもしれない。彼の印象は随分と奇抜だが、中身は食えないと見た。しかもたちが悪そうな悪戯小僧が住んでいそうだ。その気になれば自身の本心を隠すこともできるのだろう。
 エルは反対に、無表情なのに内面がわかりやすい。あれは複雑な育ちのはずなのにとんだ素直っ子だ。どうしてああも真っ直ぐなのだか、首を捻るくらいに。
 まったくもって正反対の二人だった。別の意味で明日が楽しみになった。
 交わした約束が夜明け前であるため、今夜のうちにエルを自分の宿に連れてきておいたほうがいいだろうと判断したデットは、店主に謝礼の声をかけ、店を出た。
 エルの家を目指す。途中の貸し馬車屋でいつも馬車を借りているが、今夜は時間がある。エルの家までのんびりと散歩をするつもりだった。
 外は暗くなってきていた。繁華街は遠く、その喧騒をわずかに感じつつ、歩むたびに静かになるその空気を心地よく思いながら、デットは悠然と歩いていた。
 しばらく経って、歩き続けるデットの口元が薄く笑み作る。
 陽が落ち、街灯もなくなった、ひと気のない暗い一角だった。
 デットの目の前に、数人の人影が現れた。
 戦士と魔法士の気配を感じ取った。影から放たれる殺気が、歩みをとめたデットの全身に突き刺さる。
 魔法士らしき人物が言葉を発する。精霊使いにしか聞き取れない、精霊の言葉だ。その言葉によってデットとその者たちの間に辺りを照らすような炎が浮かび上がった。
 六人の男たちの姿が映し出された。
「なにか用か?」
 いたってのんびりと話しかける。男たちが隠さず殺気を放っているので、あえて挑発めいた口調になった。
「死ね」
 簡潔に目的を告げた男に見覚えがあった。
 “穴熊”でエルの腕に怪我を負わせた男だった。

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登場人物紹介

エル


(ネタバレ注意、第2話あたり。)


砂漠地の憩いの町ナカタカに暮らす少年。主人公の一人。

身重の姉(兄の嫁さん)と暮らしていたが、兄の敵討ちと兄の子の成長を見守ることの選択に思い悩む。

幼き頃より働いていたため礼儀作法が身についていて、誰に対しても丁寧に接するが、無礼な者に対しては冷ややかに対応できる。外見は縦に伸びていて大人びて見えるが、まだ十一歳。陰を負った美少年。構いたい周囲の大人たちだが、少年の心情を気遣い、そっと見守っている。自分が人目を引いているとは思ってもいない天然素直で馬鹿正直な子。

明るい金に近い薄茶の髪、薄く透き通った翠の瞳。

(アイコン画像はイメージ通りではないけど、これが近いかな。もうちょい美少年にしたい。)

デット


(ネタバレ注意)


エルを助けた青年。自称魔法士としているが、剣の腕も持っている。主人公の一人。

砂漠地の憩いの町ナカタカで観光がてら休暇をとっていたときにエルと出逢う。いろいろな表情を見せるし誰とでも親しくなれるが、人の心情を読むことにも長けているため無難な人付き合いにあえてしている。


(デットからの目線で書いていることが多いので、外見はまだ話の中で表記していないが)

無造作に伸びた赤銅色の髪に、薄い琥珀の瞳。体格のよい他の戦士たちよりもさらに長身で、ほどほどの筋力を持ち、しなやかな動きをする。そんな外見でも人に溶け込んで目立たぬようにすることもできる。外見は二十代後半ほど。(どのあたりの話で彼の外見について組み込もうか…)


(アイコン画像は、本当にイメージに合うものがなくて、強いてあげるならって程度です。髪色と瞳色は脳内補正してください。服装は地味です。本人は目立ちたくないので)

ミーサッハ


(ネタバレ注意。第2話から)


エルの兄シリューズの妻。傭兵にして風精を持つ弓使いのカドル。シリューズの子を身篭っており、いまは身を潜めて出産を待っている。年齢不詳な雰囲気の美女。実年齢は三十を超えている。

濃茶の長髪、深い蒼の瞳。女の身で傭兵であるのは並大抵のことではなく、厳しい修行と壮絶な過去を経てのものであり、まだ経験不足のエルでさえそれを察することができている。


(このアイコン画像はだいぶイメージに近い。色味はいつも通り脳内補正を)

“穴熊”の主人


(ネタバレ注意)


砂漠地の憩いの町ナカタカにある食事処の主人。もういい年齢であるが、かつて戦士であった体躯はいまだ維持し続けている。全盛期よりは筋量は落ちたが、そこらの並の戦士は片手でちょいくらいはできる。

いまは白髪だが、若い頃は黒髪に茶の瞳。昔から寡黙で当時は高嶺の花的に女たちから密かに思われていたが自身はモテていたとは気付いていないくらいに朴念仁、それが歳を経ても変わらないのでいまも若い女性からも熱視線を浴びているが、自身にはいまも無頓着なイケオジ。奥さんには先立たれている。

奥さんと一緒にこのナカタカで食事処を開店、初めは戦士の斡旋所なんかしていなかったが、彼を慕う戦士が増え、彼らに短期の寝床や居場所を提供していたら自然と人脈が増え続け、現在にいたる。町の元締め(たち)の知り合い、というよりは彼も町の秩序の一端にある。


(アイコン画像は、まあまあイメージに近いんでは。この話では名前は出ませんが、この人が主人公のスピンオフあり。奥さんとの馴れ初め話。この作者で珍しい恋愛モノ。どこかで書こうと思ってます。いまの主人公たちより設定が多い…)

イグニシアス


(ネタバレ注意。第4話から)


ナカタカ“穴熊”店主の実の孫。肩まで伸びた真っ直ぐな黒髪、薄く透き通った金の瞳。

20歳前の女性に見える、中身も名も雄々しいべらんめえ口調の美男子。22歳。

ナカタカで一番といわれるほどの実力の術者。術者=五精霊すべての守護を受けているということ。

生まれながら全盲。代わりに精霊の力を借りているので健常者と変わらないくらいに行動できている。

これから先ずっとエルやデットのそばにいてくれる頼もしい味方。準主役。


(ちょっといいアイコンがないので、女の子アイコンから無理やり持ってきてみた。まあ、いいでしょう。シリーズ内登場人物上の最高の美少女、の顔を持っている人。そしてあの中身。だからこそ魅力的な人物。当初より出番が増えた一人。)

シリューズ


(ネタバレ注意)


傭兵として活躍していた戦士。故人。孤児だったエルを引き取り育ててくれた人。

物語中、一番中身が男前で、一番いろんな人に慕われ、一番その死を惜しまれ、この話では登場しないのに一番存在感がある。それほどの人物だった。エルの大切な誇れる兄。

愛しき妻より歳下。ミーサッハは姉さん女房。正式に夫婦となるまで、シリューズは一途にミーサッハを想い続けた。


(容姿はこの話では出てこないのでシルエットのみ。たぶんアイコンに合うものはない、どうしよう。この人を主人公として一本の話が書けるくらい波乱万丈な人生を送った。)





ネタバレ追記


終盤10話にようやく容姿判明。

銀の短髪、青の瞳。レイグラントよりは少し低いが長身の部類。しなやかな筋力を持つ俊敏な傭兵だった。本当に体格だけならデットと似ている。男前っていうよりイケメーンなイイ男。もちろんモテモテだったけど少年時代から一途な人だったんで、たくさんの人を誠実な態度で袖にしてきた。

“地雷”のビルトラン


(ネタバレ注意)


現フォルッツェリオ国家兵団長。レイグラントの側近の一人。貴族私兵・国王近衛部隊含む、フォルッツェリオ国軍務トップ。大半を戦場で過ごしてきた百戦錬磨の元傭兵。傭兵の鑑とうたわれる傭兵組合重鎮。各国が最も欲した戦士の一人。

刈り込まれた黒髪、沈みゆく陽に灼かれた大地の色の瞳。四十代、独身。頰に古傷あり。若い頃には相棒がいたが、戦場で失う。以降真に息の合う者とは出会えず、一人で多数の傷を負いながら戦い抜いてきた。

実直、堅実、誠意の人。部下や仲間に大変慕われている。女性には強くは出られないが、仲間は別で戦士の一人として厳しくできる。

ナカタカ“穴熊”主人とは昔馴染み。師と慕っている。

シリューズを失ったミーサッハを自ら探し迎えにくる。エルの存在は知らなかった。



(アイコンは、イメージに近いものがなく、強いて使うならってとこ。もっとガチムチな速さも持つ大柄な戦士。色味は脳内補完を。弱点はニースの顔。好みドンピシャ。お堅い戦士も、イグニシアスの悪戯の前では哀れただの男。)

レイグラント


(ネタバレ注意)


エルが兄の敵だと思っている人物。新興国フォルッツェリオ国の英雄王。数年前までは“傭兵”にしてカドル “迅風”のレイグラントとして名を馳せていた。歴代“傭兵”の中でも最高クラスの戦士の一人。

肩に届くほどの自然な量感の濃金髪。澄み切った空のような青の瞳。長身で鍛え上げられた体躯の屈強な戦士で、誰が見ても整った容貌の精悍な男前。まだ二十代。

己の信念に反する者には冷酷だが、根本は天然なところもある。公言はしていないが、現代の“風精王” (風の神)の守護を受けているといわれている。


(アイコンは全く合うものがないのでシルエットのみ。シルエットさえも合うものがない… 世界中のイケメン俳優さんのいいとこ取りな超絶イケメンと思ってくだされば!)

フレンジア


(ネタバレ注意。第10話から)


フォルッツェリオ国王レイグラントが拠点にしている政務府最上階に住う少女。彼女がそこに住んでいると知っているのは政務府に出入りする者の中でも国家の重要人物のみ。普段その姿を表に現すことは少ないが、職務とあらばところ構わず外へと飛び出していく。

こののちの次章の主役の一人。旧アスリロザ最後の王女。

(彼女の設定はてんこ盛りに長い。これでも割愛したほう。)

侍女として王城内に勤めていた母が国王に手をつけられて生まれた庶子。母は彼女を出産前に国王の愛妾の一人として末席に迎えられたが、彼女を産んでしばらくして死去した。当時のアスリロザ王城内は絶対王政による王家史上主義の妄執に蝕まれ陰謀渦巻く巣窟となっており、王妃もしくは筆頭愛妾の思惑で隠されたと噂されている。彼女自身も生まれてからずっとそういった害意の中で過ごしており、身分は王女の一人とされているが、母の身分の低さが理由で王族のみならず貴族たちからも王女とは認められておらず、アスリロザ国内には彼女の居場所はなかった。幼少のころに異母兄の一人に片足の踵を剣で斬られており、いまもその影響で正常に走ることはできない。当時に丁寧な治療を施されていれば完治もしたはずだが、魔法士を呼ばれることなく外科的処置もないままほとんど放置状態で外傷の治療だけ侍女の手でされたのみだった。のちにシリューズとレイグラント二人にその境遇から救い出される。

赤みがかった金色の髪に碧色の瞳。容姿はとくに優れて美少女というほどではなく一見普通の女の子だが、不幸な生い立ちにもかかわらず前向きな性格で、シリューズレイグラントに救われてから感情豊かになったことで、人間味あふれる魅力が表情に現れて可愛らしい印象になる。エルと対面しときは十代半ば。


(アイコンは雰囲気が一番近いものから。政務府から外に出るときはすっぴんポニーテールの少年の格好になる。表向きアスリロザ国王直系子は血統を断つため処刑されているので、いまのフレンジアは亡国王女ではなく、レイグラントの一客人として政務府内で暮らしているが、待遇は完全にお姫様。)

ユッカンティシアナン


(ネタバレ注意。第11話から)


フォルッツェリオ国家兵団参謀長という地位にいる、レイグラントの側近の一人。冷静沈着・慇懃無礼とは彼の代名詞。

世界で五本の指に入るだろう実力の術者としての顔のほうが名高い。知識が豊富で、その頭脳によりフォルッツェリオ国では軍務において参謀役や、外務においての諜報役を担っている。時代背景や人格が違っていれば一国の宰相もできただろう本人は、淡々と、飄々と、胡散臭く世を渡っていたいので、めんどくさい役職には就きたくなかったが、他に適度な人材もいないの仕方なくいまの役職を拝命した。

柔らかい髪質の茶髪、同じような色合いの茶眼。中肉中背で一見優男風だが、本人は気質を抑えてはいないので、普通の容姿なのに個性の強い内面が表に出ているので、異様さがかえって目立つ。長ったらしい名前ですぐに覚えてもらえないため、いろんな名で呼ばれているので、多様な顔を持っているような印象がある。それを生かして対話し人間観察することで情報収集を行なう。

遅まきながら本編終盤に登場。本人は地味に行動しているようでも、どんな場面でもいいところを掻っ攫っていくタイプ。次章フォルッツェリオ建国編では活躍というか暗躍する人。

この章では登場させる気はなかったが、話の展開上と、引き締めの部分で、出したほうがいいと判断、書き直し時に登場させました。


(アイコンはモブタイプでも合いそうなものがないので無理矢理。まあいいか。)

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