第44話 ミステリー「不死」の病

文字数 1,893文字

今私は「死に際まで幸せな人生」をテーマに先人達の著書を読んでいます。
哲学、心理学、文学、医学、科学等色々な分野の著名人の著書を読んでいます。
いちいち書店や古本屋で探すのも面倒なので、ネットオフで「老人」で検索しました。
100冊くらい購入しました。すでに読み終えた本は80冊近くになっています。
あと20冊くらい残っていますが、もういいかなって言う心境です。
どの著書も真理は一つです。死は怖くない。安心して過ごしなさいという事です。
それから、見えない力はあるというのも共通していました。
「老死」が究極の幸せというのが共通した考え方です。

それはそれでいいのですが、ちょっと変なことが頭に浮かんできました。
私は本を読みすぎて気がおかしくなったのかもしれません。
ミステリー小説のような恐ろしい日常が浮かんできました。

人間に「死」というものがないとすればどんな人生になるでしょう。
「不死」という病気があったらどういうことになるのかと思いました。
果てしなく続く毎日。永遠に続く人生。死の不安がない人生。
朝起きて仕事をして、夕食を食べて寝る。喜怒哀楽が毎日繰り返される。
終わることのない人生。何万年、何億年も地球と一緒に存在する人生。

人間の一生は最後には死を迎えてハッピーエンドとなります。
できれば幸せに生きたい。死を迎えるまでは健康な体で楽しい人生にしたいと努力をしています。
そのために創意工夫して、一生懸命働いて生活を維持します。家族を守ります。
人間関係を円滑にするために、トラブルのない日常を考えます。
病気にならないように食べ物に気を使い。少し我慢して小食にします。
健康のために運動したり、規則正しく生活し充分な睡眠に気を付けます。
ボケないように学習や趣味で頭の健康にも注意します。
最終目的は元気で長生き、終わる時は眠るようにが希望です。
そういう日常の中で「幸せな人生」を求めていました。

もし、何をしても死なない病気にかかったらどうでしょう。
何も食べなくても水と空気で生きている。
健康に気を付けなくても生きている。
殴られても刺されても、毒を盛られても、生き埋めにされても死ぬことはない。
もし自殺しようとして崖から海に飛び込んでも死ぬことはない。
交通事故で大怪我をしても不自由な体のまま永遠に生きている。
煙草をいくら吸っても、大酒を飲んでも死ぬようなことはない。
死刑になっても、心臓は動いている。
火事で大やけどしても死なない。
コロナに感染した人は永遠に死ぬことはない。

地球に人が溢れかえり、どこでも喧噪ばっかりの世の中になっている。
こんな世界になったら、究極の幸せは「死」なのかもしれません。
「不死」は死刑より重い刑罰になるかもしれません。
考えてだけでも恐ろしくなってきました。
ただのミステリーです。妄想です。思い付きです。
考えたくもない重病です。こんな病気が発生しないように望みます。

「不老不死」は究極の幸せではなく最大の不幸に思えます。
やはり通常の平凡な人生がいい。
多少は悩みやトラブルがあってもいい。
お金は生活に困らない程度でいい。
酒やたばこは今まで通りでいい。
生活も今までのままでいい。

「生と死」等、全て事柄は「プラスとマイナスの対極」でできています。
この対極の事象があるから、変化があり有難みがあるような気がします。
だから、全て自分の身に起きる事柄はすべて必然だと考えられます。

この「対極の現象」が人生の面白さを作っているという気がしてきました。
(生と死)
(幸せと不幸)
(不安と安心)
(希望と失望)
(貧しいと豊か)
(好きと嫌い)
(成功と失敗)
(善と悪)
(正しいと間違い)
(優れると劣る)
(偶然と必然)
(嬉しいと悲しい)
(楽しいと苦しい)
(男と女)等すべて両極があります。
病気になれば健康のありがたさがわかります。
悩みがあるから、楽しさがあり幸せな気分になります。
これらが人生の変化や楽しさを作っているのです。
永久に健康で幸せなら、何も考える事はありません。
学習も必要ありません。向上心や人間性の成長も空しいものに思えます。
悩みがあるからそれを解決した後の幸せがあります。

まだまだ人生は長いです。
今まで通りに、喜んだり悲しんだり、泣いたり笑ったりして過ごします。
あまり深く考えないほうが楽しい人生を送れそうです。

「不死」の病いを想像して、あれこれ妄想しているうちに気持ちに変化が起きました。
不思議なことに「死の不安」がなくなってきました。

早く死んでみたいなとは思いませんが、「老死」はありがたいものだなと思います。
この話は、変人と言われて尊敬されている? 私だけですから参考にしないように。
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