観察日誌:2043年9月7日

文字数 385文字

 実験が開始して、これで二週間が経った。
 現在はビッグバン後に最初期宇宙が誕生するかのテストを行っている段階であり、過程で言うならばマラソンのスタート地点で合図の空砲がきちんと鳴るかどうかを確認しているといった所だ。
 ビッグバンが起きた原因については未だ不明であるが、一説には四次元以上の空間に存在するエネルギーが暴走をし、その余波が下層空間に影響が出たのではないかと言われている。
 我々が行っている箱庭的宇宙のビッグバンは単純にシミュレート上で爆発を起こすだけだが、その規模や種類によって後の宇宙に様々な影響が出てしまうようだ。
 最初期宇宙の形さえ出来てしまえば、後は我々の宇宙と似るように設定を変えるだけだが、この始まりが中々上手くいかない。
 家作りも土台が大切であり、一番時間がかかる場所と言う。まだ始まったばかりなのだ、ゆっくりと確実に仕上げていこう。
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登場人物紹介

戸隠顕子(とがくれ けいこ):実験室の室長。十年かけてこのプロジェクトの発足を成功させた。

内有布袋(ないある ほてい):戸隠顕子の後輩。有機スーパーコンピューターGBP(Glitter Black Polyhedron)を所持する企業からの外部協力者。

伊豊貞衣(いほう てい):内有布袋の彼女。研究室のメンバー。

野倉舞(のぐら まい):研究室のメンバー。内有と伊豊と同郷。

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