(二)-14

文字数 317文字

 もう一人の武雄は、三年間同じクラスにはならなかった。地元の高校に行ったという噂を聞いたことがあった。
 いずれにせよ、その後幸か不幸か、武雄という男子とは私は縁がなかった。だからコイツがそれを知っているというのは謎だった。
 それに私のことを知っていそうな人は、この大学に入ってからは見当たらない。同じ高校で一緒になった子は何人かいたけど、なぜか他の子はみんな理系なのでキャンパスが別だった。私だけ別になってしまったのだ。
 そんなことを考えていると、彼は「いや、何でもない」と掴んでいた私の手首を離した。
 その後、私はみんなとは合流せず、そのまま家に帰った。彼はカラオケに行ったみたいだった。友人に手を出していなければいいけど。

(続く)
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