プロット

文字数 1,129文字

【起】
 主人公の中学二年生、辻本実希はこの数週間、なぞの現象におびえていた。学校の生徒たちが、つぎつぎと放心状態に変わっていくからだ。
 そして、一つ年下の妹も、被害をこうむった。勉強ができて、おしゃべりが好きだったのに、塾にも通わず、ほとんど話さなくなり、夜になるとなにかにおびえだす。
 実希が心配してたずねると、妹はふるえた声で、うち明けた。
「このまえの夜、だれかに首すじをかまれたの……」

【承】
 その後、妹が襲撃者の似顔絵を描いたとき、実希はおどろいた。
 学年一のイケメンかつ博学多才なクラスメイト、神谷修人とよく似ていたのだ。
 はじめは妹の話を信じられなかった。しかし、神谷の言動を観察するうちに、彼が吸血鬼かもしれないとうたがうようになる。
 実希は決心した。なんとしてでも神谷の正体をつかんで、被害にあった生徒たちが元にもどる方法をききださなければ。
 神谷にはアリバイがあった。生徒たちがおそわれた時刻に、塾の自習室で勉強していたのだ。
 実希は神谷のアリバイをたしかめるために、彼が通っている塾や吸血鬼について調べはじめる。いっぽう、神谷はさまざまな手段をつかって、実希のうたがいから逃れようとする。
 やがて、「実希が神谷を探っている」といううわさが校内で広まった。そのせいで、実希は周りからストーカーだと思われてしまう。
 多くの非難をあびても、彼女はくじけなかった。その後、神谷のアリバイトリックがわかり、彼が犯人である証拠を見つけた。

【転】
 実希は神谷を呼びだして、何者なのか、なにをしようとしているのか、といつめた。
 神谷は口を閉ざしていたが、やがて、じぶんの正体について話しはじめる。
「ぼくは吸血鬼だけど、問題のあるやつしかねらわない。血といっしょに、負の感情も吸いとっているんだ」
 妹のどこが問題児なのよ! と実希は腹をたてた。
 が、神谷の話には、思いあたることがあった。おそわれた生徒のなかには、万引きやいじめなどの問題を起こしているやつが多かったからだ。
 でも、妹がなにかひどいことをするとは、とても思えない。
 妹をうたがうことのできない実希に、神谷はこういった。
「妹さんが元にもどったら、また悪いことをかんがえるかもしれない。その前に彼女を助けられるのは、きみだけだ」

【結】
 実希は、妹への見方を変えてみた。その後、おそろしい真実にたどりつく。
 妹は、神谷に負の感情を吸われる直前まで、自宅に火をつけようとしていた。名門高校に合格させるため、むりやり教育を押しつける両親にがまんならなかったのだ。
 実希は、両親と妹のわだかまりを解きほぐそうとした。
 両親は妹の気持ちを知って、反省する。そして、家族はだんだんと絆を取りもどしていった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み