第27話 戦わない冒険者、チーム7不思議

文字数 3,405文字


それはさておいて、
日常からの脱出は面白いものである。
で、
我々男どもの日常、というか、身分というか、立場と言うか、、そういったものは不動の異世界ニートである。
神田は「おれはダゲー魔法の研究をやっている!」と自称しているが、
「「許さん!!おまえも仲間だ。」」
山田、神田、俺は結束があの岩より硬いのだ!
おい神田、その大岩を、ダゲー魔法で一瞬で砂山にしてしまうのではないよ、、、


で、
なんも考えつかなかったのでギルドに行く。

「最近、俺らがやらなきゃならないような不人気案件減ってね?」
「だねぇ?なんでだろう?掃除とかやり尽くしたから?修理しつくしたから???んー、、」
「あれじゃないかな?」 と神田があごをしゃくって指し示す

子どもたちが居る。
場所に馴染んで見えるのは、ココに慣れていること。つまり登録者達。
「危険ではない、他の者達がやりたくない、という仕事を彼らがこなすようになったんじゃないかな」

「あたりだ。」
後ろからそっと近寄ってたらしく、いきなり俺と山田の襟首を掴んで持ち上げた。
「確保♪」
じょうだんだwと言いながら降ろすガンコー。
「「げほげほっげほっつ、、」」
冗談にしては、、田舎の冒険者上がりじじぃの冗談ってのは、、、

「おまえら見てて思ったんだ、孤児達や貧民窟の子たちにやらせてみちゃどーかな?ってな」
なぜに俺らを見て、そう思ったんだ??

孤児院の子らは素直だったが、貧民窟の子らは最初ちょっと嫌がってな、良いように利用されるんじゃないか?とか思った様子で。
で、
「七不思議の奴らがいるんだぜ?うちのギルド。って言ったら一発だったなーwwww」
どういう効果なんだよこの世界の7不思議、、

理解不可能なので何も言えない俺達。

「今日はなんだ?どーした?どうせ暇なんだろう?」
なぜバレた?

「孫いる世代になって、勘が冴え冴えじゃないすか、ギルマス、、」
渋柿でも食ったんスカ? 一本返し!!♪

「まぁ、上にあがって茶でも飲んでけ」
誘われるままに、どーせ暇ですよ我々は、、と付いて行った。
「お菓子などもあればさらに結構!!で、ごわす!」 山田不変!



「さて、おまえら最近討伐とか行ってるか?」
「「「・・・・・・・」」」
「つーか、俺ら討伐ってやったことある?」
「・・・んー、つのうしや、一角イノシシ?どうなの?」
「その程度は”狩り”だろ?」

「「「そもそも討伐したことないっす!!」」」
・・・

「それもそうか、、、まぁ、やらんでいい危険なことはしない方がいいし、、、」んーーーと悩む?ギルマス。

「で、とりあえず喋ってみては?」神田が促す

「だな。 馬似、までとは言わんが、、というか、、」

「煮え切らないなー、孫できたんでボケた?」山田
「ボケとらんわ!!孫もまだいないわ!!千葉のじじぃといっしょにすんな!!」

「ホンコン、という珍しい魔獣が出てなぁ、、」
「「「狐?」」」
「よくわかったなぁ!!」
・・・・・・・・

18本もの尻尾がある狐の魔物だそうだ。
尻尾がありすぎ、よく絡まるそうだ。邪魔なだけ?
今回は、からまりすぎてどーしょーもなくなったホンコンが暴れまくって、森が荒れてしまっている、とのこと。
ホンコンはめったに暴れないが、強さは半端ない、と言われているらしい。
分別では一応今の所魔獣なのだが、希少種だし、生態がほぼ全くわかっていないし、基本的には益獣系なので、「討伐禁止」種となっている。とのこと。
ホンコンは捕獲もほとんどされたこと無く、ほとんど情報は無い、とのこと。だから生態すらわかってない。

「なので、危険かもしれないけど、どうなんだろう?」ギルマス
「「聞くなよ」」

「調査には誰か行ったんですか?」

「それがなー、調査すらろくにできていないんだ、、瞬間移動かなんかしらんが、消えるし、、、」
「ほう!」 神田、目が輝いているぞ?
神田が俺らを見る、口の端がひくついてるぞ?いいよ、もう、やってもいいよ、、みたいな目を返す。

「やります! 先に調査依頼のみください。その結果によって、どうするか?決めましょう」神田

「おー、おまえらならどうにかしてくれるだろう!!」
「裏付けのない期待をされても困りますが、まぁ、いいでしょう、弾んでくださいね?!」
と神田が沖田ばりの折衝をその後して、なかなかおいしい指名依頼となった。




「女子たち、いくー?狐だよ?一人尻尾3つはあるんだよ?」
「んー、ここんとこちょっと忙しいから、、」
どれだけ幼児服つくれば気が済むのだろうか?

3匹のバカたちは、さっそうと狐モフりに行くのだった。一人あたま尻尾6本になった!!




「ちちちちちっ、狐ちゃーん、コンちゃーん、ほうら!ごはんだよー」
油揚げである!こっちにもあるのである!千葉家に行って調達してきたのだ!!

神田のダゲーサーチは流石で、一発で発見。更にダゲー保護で逃げないようにしている。ダゲー初級どころか中級までこなしまくりの神田だ。どこまでいくのか?

さて、そんな便利な神田を使えば俺らは努力なしでここまでこれちゃうのである!!
山田は転移で厨二国から油揚げ調達してきたし、、(山田は千葉家担当)
俺だけ、また全く役に立っていないのである!!どーでもいいや、もう、、

油揚げに目を輝かし、よだれを垂らし始めるお狐ちゃん!
でも、、、
「折角のモフ☆モフが!!きれいな尻尾ちゃんたちがっ!!単なる毛玉にっつ!!!あああーーーーっつ!!」
泣き崩れる神田と山田。俺もまじりたくって仕方がないが、お狐ちゃんを釣らねばならないのだ!
少しくらいは役にたったってとこ見せておきたいし、、、

2mくらいの体の数倍はあるでっかい毛玉を後ろにひきずり、狐は油揚げにかぶりついた。
またたびクッキーに塗れるミケ達みたい、、目が逝っているよ?

その間に、山田と神田を促し、尻尾の絡まりを解きほぐしはじめる。
油揚げは樽3つもらってきたから、少々ながびいでも余裕あるだろうとふんでいるが、、
なんか、週子母が、王都中の油揚げを買い占めさせたらしい、1時間ほどでw 山田神への献上品w

3時間ほどかかって、、ほんとはもっと早くできたんだろうけど、、モフりながらだからー
まだ目を逝かせたままのお狐ちゃんは、残り樽半分ほどにまみれていた。
あー、折角美しいしモフ☆モフな毛並が、、、、

俺らは洗浄液を出し、大量のお湯で汚れた毛並を洗った。頭と前足のみは、無意識にだろうが、やらせてくれなかったからできなかったけど。

「げっふぃーー!!」 満足そうなでっかいゲップ溜息ですねモフ弧(もふこ)ちゃん

「はっ!!」 やっと俺らに気付いてんのwww

「いや、今更でしょ?あれだけのお供えは俺らが差し上げたのよ?で、毛玉も全部ほぐし、更に油まみれホコリまみれだった毛並を、本来の美しくももっふもっふの毛並に戻したのも俺らよ?もう数時間も一緒にいたんだよ?知らなかった?ねぇ?」
呆然とした狐も、案外可愛いものだなー、モフ種は、どんなでもかわいいけどな!!

「・・・ありがとうコン、、コンどばかりは参ってたコン、、しかもコンなに毛艶をよくしてくれたコン。  褒美を与えたいコン。なにかあるコン?」

ひそひそひそひそ 会議中である。

「んほんっ、では代表で私が。”うちの子(狐)”になってくださいっつ!!」俺
「うち、もう化け猫が一人いるけど、それでも大丈夫なら!!」神田
「うち広いし、俺が油揚げ調達できるからっつ!」
特に最後の山田の押しの効果絶大だった様子である。代表必要なかったよな?


調査どころじゃなかったね♪
全く知られていなかった生態も、すぐ解明だね!

そのまま報告にギルマスのところにうちの狐(こ)連れて行った。

「7不思議の地位は不動のものになったな!」と太鼓判おさないでいいから!
そこの子どもたち、そんなキラキラした目でみない!!!目が潰れるよ、山田をそんな目でみたらっ!!!


「戦わない冒険者、チーム7不思議」と、勝手に言われ始めたのはそれから。







「そう言えば、おれら、討伐やったことあったなー」 山田
「え?いつよ?」 俺
「臭犬のとき」
「「あっ!!」」 神田、俺

「あの時は臭犬のインパクトのみ記憶に残って、ゴブリンなんか制服のお金のおまけだったし、なぁ?」神田
「ああ、臭犬>制服のお金>ゴブリン=どーでもいい程、だったなー」俺
「うん、討伐ってレベルじゃなく、拾い物の邪魔な小石をどかした、みたいなー」山田

だなー。


ちなみに「馬似」は「食材採取」にあたるそうな。
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