第8話
文字数 1,033文字
慌てて扉を閉め、次の部屋のドアを開け飛び込むアルベルト。すると部屋の中央に底が丸くなった円錐形の大きな置物がある。よく見るとてっぺんに人間の頭のような物がついており、大きな「おきあがりこぼし」のようにも見えるそれは、ゆらりゆらりと左右に揺れながらこちら向きに回転を始めた。
「アルベルト………」
正面向きになったそれは、それは……間違えようもない、お父さまの顔をしていたのだ!
「ちがう、ちがう、ちがう」
恐怖に顔を引きつらせながら後ずさり、隣の部屋のドアを開ける。
部屋に置かれたベッドの上に裸の女性がうつぶせで横たわっており、その上にかがみ込むようにして男が何かしている。一瞬どきりとしたがそれはエロティックというよりは何かの治療のように見えた。
「う、う、ううう〜……う、う、う〜……」
女性は顔を伏せたまますすり泣いている。近寄って見ると男は、細い針のようなものをチクチクチクチクと繰り返し肌に刺している。
「おい、泣いてるじゃないか? いったい何をしているんだ」
男は針を持ったままこちらを見ると、ニヤリと不気味な笑みをもらし
「何って……、罰を与えているんだよ、罰を。お前にもやってやろう」
そう言うとアルベルトの目に針を突き刺そうと迫ってきた。
「や、やめろ! やめないか!」
驚いたアルベルトは部屋から走り出てまた次の部屋に入る。
「バウッ! バウッ!」
「ジョン、ジョンか?」
愛犬の姿にほっとしたアルベルトは、頭を撫でてやろうと近づいた。すると突然、そこにあるのはジョンの生首であることに気がつく。
「ジョ、ジョン! ど、どうなってるんだ」
「バウッ!」
愛犬は生首のまま吠え続ける。するとどこからか人間の男の手が伸びてきて生首のジョンを持ち上げると自分の肩の上に乗せた。瞬間、ジョンは剥製のように固まり吠えることもなく目はガラス玉のように生気を失っている。
「な、なにをするんだ!」
男は柔和な笑顔をアルベルトに向ける。春の海のように穏やかで優しそうな笑顔、それは兄ウィリアムの笑顔に相違なかった。
「兄さん、兄さんなの?」
「フフフフフフ……ハハハハハハハ……アーッハッハッハッハッ!! ヒーッヒーッヒーッヒーッ!! ギャハハハハハハッハッハッハッ」
まるで狂人のように恐ろしい笑い声が部屋中に響き渡り、アルベルトの頭は激しく痛みだす。
ウワーッハッハッハッハッギャアーッハッハッハッハッ………
ガンガンと響き渡る笑い声の中、気がついたらアルベルトは意識を失っていた。
「アルベルト………」
正面向きになったそれは、それは……間違えようもない、お父さまの顔をしていたのだ!
「ちがう、ちがう、ちがう」
恐怖に顔を引きつらせながら後ずさり、隣の部屋のドアを開ける。
部屋に置かれたベッドの上に裸の女性がうつぶせで横たわっており、その上にかがみ込むようにして男が何かしている。一瞬どきりとしたがそれはエロティックというよりは何かの治療のように見えた。
「う、う、ううう〜……う、う、う〜……」
女性は顔を伏せたまますすり泣いている。近寄って見ると男は、細い針のようなものをチクチクチクチクと繰り返し肌に刺している。
「おい、泣いてるじゃないか? いったい何をしているんだ」
男は針を持ったままこちらを見ると、ニヤリと不気味な笑みをもらし
「何って……、罰を与えているんだよ、罰を。お前にもやってやろう」
そう言うとアルベルトの目に針を突き刺そうと迫ってきた。
「や、やめろ! やめないか!」
驚いたアルベルトは部屋から走り出てまた次の部屋に入る。
「バウッ! バウッ!」
「ジョン、ジョンか?」
愛犬の姿にほっとしたアルベルトは、頭を撫でてやろうと近づいた。すると突然、そこにあるのはジョンの生首であることに気がつく。
「ジョ、ジョン! ど、どうなってるんだ」
「バウッ!」
愛犬は生首のまま吠え続ける。するとどこからか人間の男の手が伸びてきて生首のジョンを持ち上げると自分の肩の上に乗せた。瞬間、ジョンは剥製のように固まり吠えることもなく目はガラス玉のように生気を失っている。
「な、なにをするんだ!」
男は柔和な笑顔をアルベルトに向ける。春の海のように穏やかで優しそうな笑顔、それは兄ウィリアムの笑顔に相違なかった。
「兄さん、兄さんなの?」
「フフフフフフ……ハハハハハハハ……アーッハッハッハッハッ!! ヒーッヒーッヒーッヒーッ!! ギャハハハハハハッハッハッハッ」
まるで狂人のように恐ろしい笑い声が部屋中に響き渡り、アルベルトの頭は激しく痛みだす。
ウワーッハッハッハッハッギャアーッハッハッハッハッ………
ガンガンと響き渡る笑い声の中、気がついたらアルベルトは意識を失っていた。