第2話

文字数 334文字

「だっさいだ!
だっさい!!」


祐樹が叫びながら飛び出し、瓶をむしり取った。

枕元の湯飲みを引き寄せ、注ぐとグイと煽る。



「うーん……旨い!

水のようにクセが無い。

これが本物の銘酒だ!」


祐樹の目尻から雫が零れ落ちる。

小さく震える手で再び瓶を傾ける。



「これって、ダッサイって読むの?」と野暮なことは言わず、

微笑を浮かべ夫を見つめた。



「ああ、五臓六腑に染み渡る。

目の前の霧が晴れたように爽やかな気分だ」


「良かった。
どうせならリビングで飲まない?」


「そうだな、食欲も出て来た。

玲香、肴を用意してくれるか?

仕上げは茶漬けで良い」


アマテラス祐樹の神は、遂に羽毛の岩戸を開いた。



「すぐ、用意するわね」

とりあえずホッと胸を撫で下ろす。


名水を入れた銘酒の瓶を持って、
私はキッチンへと向かった。








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