25 トライブvsリオン
文字数 2,554文字
リオンは、ライトニングセイバーをトライブに向けたまま、一歩、また一歩と近づいてくる。
トライブも、いよいよアルフェイオスを構え、今にも立ち向かってきそうなリオンに剣先を向けた。
ライトニングセイバーがうなりを上げて、トライブの持つアルフェイオスを叩きつける。リオンは最初からフルパワーだ。
激しい衝撃が、トライブの手と腕に伝わる。
だが、トライブは右足に力を入れ、リオンの一撃に食い下がる。
そして、懸命にライトニングセイバーを弾き返し、すかさずアルフェイオスをライトニングセイバーの剣身に叩きつけた。
トライブは、次々とアルフェイオスをリオンの剣に叩きつけ、リオンのパワーを押さえつけにかかる。だが、リオンも攻撃を受けてはアルフェイオスを弾き返し、その手に入れる力を強める。
スピードはトライブが優勢だが、剣を叩きつけるパワーはリオンの方に分があった。
実力と実力のぶつかり合いだ。
トライブが最初にリオンと剣を交えることになったとき、決着はつかなかった。
どちらが強い剣士かを決めることができなかった。
だからこそ、トライブの気持ちは次第に湧き上がる。
「かつての」ソードマスター、リオンに負けたくないと。
トライブは、アルフェイオスをリオンから軽く引き離し、力を溜めて一気にライトニングセイバーを叩きつけた。
リオンの左足が、わずかに下がる。
それでも、リオンの手に滾るパワーは弱まることを知らない。
流されたライトニングセイバーの向きを立て直し、今度はアルフェイオスをぐいぐいと押していく。
突然、リオンの目がぱっと大きくなった。
ライトニングセイバーが白く輝くのが、トライブの目に飛び込んだ。
バトルが均衡している状態から、リオンは必殺技で勝負に出たのだ。
一気に決められてしまう。
トライブにとっては、予想外のたたみかけ方だった。
わずか2秒。
リオンのパワーと本気が、トライブの真上からアルフェイオスを強く叩きつけた。
トライブの剣から、これまでのダメージをはるかに上回る衝撃が右手に溢れ出す。
重心が一気に後ろに傾き、トライブは思わず一瞬目を閉じた。
その間にも、容赦なく白く輝くリオンの剣が、アルフェイオスを叩きつける。
トライブは、何とか手の力だけは緩めないようにするも、攻撃のスピードがリオンの勢いに呑まれてしまい、反撃の糸口が掴めない。
「クィーン・オブ・ソード」の表情に、わずかな焦りの色が映る。
だが、それは同時に、女王が桁違いのパワーを見せる前触れでもあった。
体勢を立て直したトライブは、白く輝くライトニングセイバーをアルフェイオスで強く叩きつけ、ついに勢いを止めた。
一瞬だけ力が弱くなりかける、リオンの手。
その瞬間を、トライブは見逃さない。
これまで何度となく強敵を撃破した、「剣の女王」の感覚が冴える。
トライブの激しい一撃が、ライトニングセイバーを一気に押し戻す。
ライトニングセイバーの放っていた白い輝きが、その瞬間に消えた。
リオンも何とかトライブの攻撃を止めるが、序盤で見せたパワーが少しずつ弱くなっているように、トライブには感じた。
逆に、トライブはここで剣に込めるパワーを一気に上げていく。
相手の攻撃が弱まったとき、その力を一気に解き放つ。
トライブの見せるパワーコントロールが、リオンをも追い詰めた。
そして、トライブは全身のパワーを一気にアルフェイオスに集中させた。
トライブは、魂から発するようかのに力強く叫び、アルフェイオスを一気に振り下ろす。
「クィーン・オブ・ソード」と呼ばれるに十分すぎるほどのパワーが、いまリオンの剣に向けて解き放たれた。
激しい音とともに、リオンの手からライトニングセイバーが弾かれ、床に落ちていく。
一度、二度とバウンドし、ライトニングセイバーはテラスの反対側まで突き飛ばされた。
決着は、ついた。
トライブは、やや荒い息を吐き出しながらも、かすかに笑ってみせた。
そして、一呼吸置いてリオンに尋ねた。
リオンは、軽く笑った。
そして、ポケットに移し替えたリライト・ブレードの欠片に、軽く目をやり、すぐにトライブに視線を戻した。
その時、二人の剣士の耳に、聞き覚えのある声が響いた。
運命は変えられないわ。
私が、その全てを握っているもの。