第4話

文字数 1,615文字

ダイニングに着くと、クリスティーンはその脇に飾られている写真の存在に気がついた。
その写真は南国であったり、ローマであったり、おおよそ海外の写真が多かった。
「よくご家族で海外に行かれるんですか?」
クリスティーンはそう尋ねた。
「ええ、毎年どこか場所を決めて海外に行こうって妻と結婚前に約束しまして。。。この子達も連れて出かけるので、おおよそ夏休みか冬休みの時期に出かけております」
クリスティーンは軽く数回うなづいた。
「なるほど。。。少し近くで写真を見せていただいてもよろしいですか?」
メアリーの姉の旦那さんは優しく笑みを浮かべた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
クリスティーンは後ろで手を組みながらその写真を一枚一枚見ていく。
大人たちは軽い世間話をその間に始める。
クリスティーンは写真に映った見たこともない数々の遺跡や絶景に心を奪われながら、まるで美術館にいるように鑑賞していく。
すると写真立ての奥に何か白い異様なものがあることにクリスティーンは気づいた。
クリスティーンは写真立てをどけて見ると、奥の方に一枚の紙があることに気がついた。
それを引っ張り出してみると、空港職員の求人案内だった。
「何か発見したのクリスティーン?」
クリスティーンの母はすかさずそう尋ねた。
クリスティーンはなんと言ったら良いかわからず、無言でその紙を見せた。
「まあ、空港の求人募集?この中の誰が転職なんてしようと思うのかしら?」
メイドはそう話すと執事の方を見た。
執事はびっくりした顔をして首を横に振る。
そんな嫌な空気が流れる中、メアリーの姉の息子の長男の子の方が口を開いた。
「あ、確かママがその紙見てたと思う・・・」
メアリーの姉の旦那はすかさず追求する・
「それは本当かい?」
「うん、ママ、『一度でいいから空港で働いてみたい』って言ってたよ」
すると、メアリーも瞬時に口を開いた。
「あ、お姉ちゃんは昔、キャビンアテンダントになりたいって言っていたわ」
「すぐにキャビンアテンダントの求人を調べてみよう!」
メアリーの旦那さんは急いでスマートフォンを取り出し検索し始めた。
その間クリスティーンもスマートフォンを無言でいじっていた。
数十分後。
「だめだ・・・直近でキャビンアテンダントの募集は見当たらないし、外国も含めると多すぎて絞りきれない・・・」
メアリーの姉の旦那さんは髪の毛をくしゃくしゃにしながらそう叫んだ。
みるみる子供たちの表情も曇っていく。
一同静まり帰ったその時、クリスティーンが口を開いた。
「そんなこともないと思いますよ」
クリスティーンは明るい表情でそう言った。
「何かわかったのかい?」
メアリーの姉の旦那さんはそう答えた。
「お名前がわからないのですが・・・」
クリスティーンはメイドさんに手のひらを見せた。
「私はアレクサンドラです」
メイドはゆっくりお辞儀をした
「失礼しました。アレクサンドラさん。何かご存知なのではないですか?」
アレクサンドラは視線を逸らした。
「と申しますと?」
クリスティーンはにっこりと笑みを浮かべた。
それからクリスティーンは子供たちの方をみた。
「ねえ、君たちも何か隠してない?」
子供たちは『ぎくっ』とした顔をして、急いで首を横に振った。
明らかに嘘をついていることは誰もがわかった。
そして、クリスティーンはスマートフォンでヒースロー空港の時刻表をアレクサンドラに見せた。
アレクサンドラはため息をついて口を開いた。
「旦那様、そろそろ連絡が入ると思います」
メアリーの姉の旦那さんは激昂して立ち上がった。
「アレクサンドラ、君は何を隠しているんだ!」
その時、ワッツアップの通知音が鳴り響いた。
メアリーの姉の旦那さんはそれをみると
「Soon I will arrive at Edinburg airport. Please pick up me.」
という文字が見えた。
エジンバラ空港にいるそうだ。すぐに行こう。
一同はエジンバラ空港に向かうことにした。

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