埋葬。

文字数 2,794文字

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
あぁーーーーぁーーーーーーー…。
痛ぁっ!!!
いたた…。
怪我はないかい?
大丈夫です。あ、すみません、今どけますね。
…一体何があったのかな?
ツチコさんに、首根っこ掴まれて穴めがけて放り投げられました。
何故か神楽坂くんにぶつからずに、2人揃ってどこかへ落ちていった。ってところですかね。
なるほど。
確かに地上の佇まいではないね。
どうやら僕達は地下深くへと送り飛ばされたようだ。
なんかスイッチ入っちゃってませんか?
ここはツチコさんの巣なんじゃないか?
もしかしたら彼女は、何かの動物と人間のハイブリッドなのかもしれない。
あぁ、もう全然聞こえてない。
私には巣とかよりも、漫画に出てきた強制労働施設に見えますけど。
なんかだだっ広い感じとか。
あ、ほら。トロッコとかあります。
坑道の跡地、とかじゃないでしょうか?
何か音がした!
こっちだ、スカリー!
あ、神楽坂くん!いきなり走らないでください!
わぁっ。
ほら、こけた。
…。
立てますか?
…うん。
あぁもう、泥だらけ。
怪我はないですか?
…擦りむいた。
あらら。ちょっと血が。
とりあえずティッシュあげるので拭いてください。
公園に戻れたら、水でよく洗いましょう。
ごめんね、僕いっつもこんなんばっかりで。
なんですか、らしくない。
もっとさぁ、しっかりしたいんだ。
僕って、頼りないから…。
落ち着いたら、不安がこみ上げてきた。かな?
大丈夫ですよ。ほら、帰らないと。
明日から月曜日。学校に行かないといけません。
うん。
さてさて、そしたら歩きながら考えていきましょう。
神楽坂くんも手伝ってくださいね。
わかった。
まず、ここがどこか。
これが現実なのか幻なのか。
ツチコさんは、公園の中で起こす出来事は認識を操作出来るみたいなので、私達二人揃って仲良く砂場に刺さってる可能性が一つ。こっちの方がありがたいですけどね。
多分だけど、刺さってるわけじゃないんじゃないかな。
僕も富士見さんも、こんな景色見たことなかったし。
となると、現実ですかね。
公園の真下がたまたま昔坑道だった。
砂場を掘りすぎた私達は、ツチコさんに投げ込まれた拍子にここへ落ちてしまった。
そうだとしたら、天井に穴が空いてるはずですけど。
うーん、それもなんだか違う気がする。
だいたい、地下って暗いはずだよね?
なんでここはこんなに明るいんだろ?
明かりなんて僕達持ってないし、照明もついてないのに。
あぁ、そしたら、砂場に刺さってるわけではないが、幻覚。
認識操作の一つですかね、
公園の下に坑道があって、そこに落ちてしまった。という風な現実、って認識させてるわけだね。
…回りくどくないですか?
もしかしたら、何か伝えたいのかも。
彼女の探してるっぽい何かは見つけたのに!
あ、ちなみにどんなのでした?
多分、ペンダントだと思う。
途中まで掘り起こしたんだけど、半分くらいのとこでこうなっちゃったから。
ツチコさんはペンダントを探していたんですね。
よっぽど大事なものだと。
写真が入るやつだと思う。
アニメとかでしか見たことないけど、ほんとにあるんだね…。
写真の人物は見えました?
いや、足のあたりだけしか。
二人並んで写ってた。
彼氏ですね。
何か根拠が…?
直感です。
まぁ、女の人の直感は冴えてるって言うし、今のところそれは別に議論しようが無いし。
ところでさ、ツチコさんの話って、僕が小学生の時にはもうあったんだよね。
へぇー、そんな昔からあるんですね。
そういえば麻矢さんはこっち出身じゃないんだもんね。
今年の四月に引っ越してきました。
父の転勤です。

え、じゃあまだうちの学校来て三ヶ月とかしか経ってないの?
そうですよ。
あ、それでツチコさんがどうしたって話ですか?
あぁ、そうだった。
小学3年生くらいの時に僕は聞いたけど、もっと前からありそうな感じがするんだ。
最低でも、えーと、1、2、3…7年前には居たことになるよね。
7年間も砂場に現れて、砂場に近寄る人を埋めて、砂場に埋まった何かを探している。
都市伝説のわりにはやたら出現してますよね。なんか、いろいろおかしくないですか?
うん、どうにも腑に落ちないことが多いんだよね。
だから僕は、本物じゃないんじゃないかなって思うんだ。
それに、本当に被害にあった人間なんて、今回の富士見と僕が初めてなくらいなんだ。
他はガセネタだったり、作り話だったり。
まぁ真偽は確かめようもないんだけど、僕は少なくとも実際に体験したわけだし。
現れたのは、ごく最近ってことですか?
でも不思議な力を持ってるのは事実ですよね。
人間ではない何か、なのは確か。
うーん!なんかもう訳わかんなくなってきました!
本物に成り代わった何かがいるんだ。
僕が思うに、宇宙人。
ぶっ飛んじゃってますけど面白そうですね!
聞かせてください。
人間の身体に乗り移って侵略、みたいなSFって良くあるでしょ?
彼等は地球へやって来て、侵略するための手筈を整えてる段階だとして。
各地に散らばって、こっそりと作戦を進めたい。だけど、異星人の技術の何かしらを堂々とやるのは、多分すごく目立つ。
そしたら、おかしなことをしていても誰も気にしない存在になればいい。
奇怪なエピソードの塊みたいな都市伝説は、まさにうってつけ。
それなら、あちこちでいろんなことしてても問題ないですもんね。
都市伝説なんて、それこそ地方ごとに星の数ほどありますから。
どうかな?
なかなか面白いです!
私は好きですね!
ただ、ツチコさんに成り代わって、彼等は今何をしてるんでしょう?
それがここなんじゃないかな?
宇宙人達の秘密基地とか?
地下秘密基地。地下なのに何故か明るいのも、宇宙人の持つオーバーテクノロジーなのかも。
じゃあ、ペンダントは…?
…うん。
…面白い発想だったと思いますよ。
家に帰ったら開き治って小説書くよ。
出来たら見せてくださいね。
ただ、ちょっと回りくど過ぎなので、もうちょっと簡潔にした方がいいですね。
…ん?なんか聞こえない?
足音?
ほんとですね。あれ、こっちに向かってきますね。前から。
と、とりあえず隠れよう…!
こんにちはー!どなたかいらっしゃるんですよねー!
ま、麻矢さん!
こんにちはー。こんばんはかしら?
人に会えて安心しました。
私達ここに迷い込んでしまって。
あらら、それは大変ね。
学生さんかしら?
高校生です。恵西高校に通ってます。
私、麻矢と言います。
あと、神楽坂くん、大丈夫だから出てきてください。
…どうも。
物陰から覗いている彼が、神楽坂です。
麻矢さんと神楽坂くんね。
私は桜田っていうの。
ところで、二人ともどこからここに?
公園の砂場を掘っていたら、深く掘りすぎたみたいで落っこちてしまいました。
信じられないと思いますけど、私達も信じられません。
どこかに出口とか、ないでしょうか?
それなんだけどね。
私もいつの間にか迷い込んじゃって、もうずーっとさまよっているの。
参ったな、本格的に出られそうにないぞ…。
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登場人物紹介

麻矢由香里

恵西高校の2年3組
超常現象は肯定派。

神楽坂浩二

恵西高校の1年1組。
超常現象は肯定派。

ツチコさん(?)。


公園の砂場に現れる女、という都市伝説。

地下に現れた謎の女性。
桜田と名乗っている。

魚田先生。

FBI部の一応顧問。興味が無いので最低限しか部のために働かない。

木浦
1年1組の図書委員

板垣。

1年1組。FBI部の幽霊部員その1

羽鳥。

1年1組。FBI部の幽霊部員その2

坂井。

1年1組。FBI部の幽霊部員その3

蔦凪百合子さん。

フラワーショップ蔦凪の店長さん。

おばさん。

いろんなおばさん。(使い回し)

モブ学生。

モブの学生

狐山博人。

3年3組。入部希望者、

マスター

喫茶『エル』のマスター。

少年。

とある場所で発見された少年。

少年。

とある場所で発見された少年。

麻矢由香里?

神楽坂浩一。

神楽坂浩二の兄。

恵西高校の三年生。

探偵部の部長…?

西園寺・ドラグノフ・桜子

2年3組の転入生。

モブ女子

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