第15話:初孫誕生と鞠子さんのガン宣告と死

文字数 1,853文字

 やがて2008年が終わり2009年を迎えた。
「2009年になると鞠子さんの顔色が良くない様に思え、清水は、心配した」
 2009年2月3日、SBI証券の長女、清水百合が、豪ドル円で円高になってると電話が入った。そこで1豪ドル、56円で「手数料込み57円」で20万豪ドルを1014万円で購入。

「その後、2009年4月に清水の奥さんの清水鞠子さんが、体調が悪いと入院」
「検査の結果、膵臓がんが発見された」
「転移してないかどうか慎重に検査する事になり3週間の入院で精密検査を受けた」
「すると肝臓に転移が見られ余命3ヶ月、長くても半年と宣告された」

「これを聞いた、清水薫は、その場にへたり込んだ」
「そんな馬鹿な!なんで、だよ!」 
「俺を残して、先に逝っては、駄目だと、大声で叫んだ」
「鞠子さんは、仕方ないわ、神様が、お決めになった事だろうからと泣いた」

「その後、清水は、毎日、自転車に乗って大きな病院に行き、鞠子さんのそばについた」
「5月2日、百合から松田達夫と名付けた男の子が誕生したと電話が入った」
「電話代わると鞠子さんは、涙を浮かべ、おめでとうと言い、早く顔を見せてねと言った」

「5月9日、松田健介さんと百合と生まれたばかりの達夫君が鞠子さんの病室を訪ねた」
「百合さんが、鞠子さんの顔の近くに、初孫の達夫の顔を近づけると、何て、可愛い子なのと言い会えてよかったと号泣」
「少し落ち着くと鞠子さんと達夫の2人の写真を何枚も撮った」

「もう思い残すことはないと言うと、今までと違った、神々しいくらいの笑顔を見せた」
「その後、毎日点滴注射をして、注射の後が生々しい腕を見て、苦労ばかりかけて申し訳ないと、清水が、わびた」
「すると、あなたは、私の分も長生きして、みんなの面倒を見てやってねと、やさしく言ので、清水も号泣」

「梅雨に入り雨の日もカッパを着て、毎日、清水は、鞠子さんの病室に見舞いに通った」
「そんな夫を見て、鞠子は、こんなに愛されて幸せだったわと泣いた」
「体を壊すまで家族のために一生懸命に働いてくれて、ありがとうと清水薫に告げた」
「これを聞いていた、看護婦さんまで、素晴らしい夫婦ですねといい涙ぐんだ」

「やがて梅雨が明けた7月7日、七夕の日を迎えた」
「この日、入院してる鞠子さんは、いつになく、元気で顔色も良かった」
「見舞いに行った清水が、今日は、七夕で、何か書いた短冊をつけた小さな笹のついた竹を花瓶に入れて持ってきた」

 七夕の話を清水が、語り始めた。
「七夕の夜、おりひめとひこぼしは待ちに待った再会の願いが叶う夜」
「清水が、君がガンを克服し現世で、又、幸せに暮らしていけますようにと告げた」
「たんざくに色々な願い事を書いて、笹や竹の葉に飾ってあげた」
「これを見た、鞠子は、たまらず号泣した」

「そんなに愛してくれたなんて、私、本当に幸せだったわと答えた」
「それを聞き、清水も、もらい泣きした」
「でもね、私が、もし死んでも、あなたのような心の優しい人は、きっと、助けてくれる人が現れますよ、と言ってくれた」

「私は、あなたの面倒を見れなくなるのが一番残念で悔しいと泣きながら訴えた」
「そして看護婦さんが処置のために入室し、話を聞いていると、うらやましい夫婦ですねと涙を浮かべて言ってくれた」
「なんだか興奮させちゃって、ごめんと言い、また来るからと言い。清水は、病室を出た」

「翌日の早朝、4時過ぎ、奥さんが危篤ですと病院から電話が入った」
「それを聞き、清水は、急いで自転車を飛ばして病院につき、彼女の病室に入った」
「すると虫の息で、清水を枕元に呼んで本当に幸せだったわ、ありがとうと言い意識を失った」
「その後、先生が来て、鞠子さんの様子を確認して、ご臨終ですと告げた」
「この事態に呆然実質となって、清水は、しばらく椅子に座り込み立ち上がれなくなった」

「窓を見ると空が白々明けて、あかね色に染まった」
「この頃、子供達が、来て、母の遺骸を見て、呆然としていた」
「臨終の日時は、2009年7月8日、午前4時10分であった」
 葬儀は、家族葬として、7月13日、横浜北部斎場で、質素に執り行った。そして横浜のお寺に埋葬してもらった。

 墓まりに行った時、清水は、思えば、あっけない死だったと思い起こした。この頃、
そうして2009年、鞠子さんの死という、悲しい年が、過ぎていき、2010年を迎えた。清水薫は、2年前に、最愛の妻、鞠子を亡くし悲嘆の日々を過ごし、やがて、1年がたち2年を過ぎると少しずつ、通常の生活になってきた。
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