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文字数 315文字



乾いた街が叫んでいるのに
降らせ方を忘れた空は
引くことも動くことも忘れ
何日も青い色を思い出せない
待ち侘びた夏は過ぎ去り
望まない夏が手ぐすね引いて
見えない笑みをこぼしている
いつも通りはどんな顔だったのか
もう随分前に忘れたけれど
ひたすら前を向いて
歩いていく先にあるのが
誰もが望む町並みだといいのに
少しずつ不自由が当たり前になって
疲れた顔の大人はさらに疲れはて
笑顔の人だけ笑顔のまま
不平等が少しずつ人を病む
皆の望む平等は
同じ高さの踏み台なのか
同じ身長になることなのか
その混同は鏡の裏表
個性のなくなる世の中に
個性を求めて彷徨っている
終わりのない迷路の中で
僕はいつのまにか地図を無くした
交わらない迷路の中で
僕は助けを求めて
灰色の空をただ眺める
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