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文字数 232文字
「ごらんよ!」
ふいに、きつねが、ふさふさのしっぽをゆらして、ささやきました。
さっきまでまっ白だった、くじゃくの王さまの尾羽が、ほら。
ほんのり、ばら色になってきたのです。
ほんとうは、王さまは、だいぶ前から目がさめていたのでした。
でも、みんなの胸が、あんまりあたたかくて、きもちよくて……
もうすこし、このまま、ねたふりをしていようかな。
していたいな、と、王さまはおもいました。
土の上では、雪だけが、しずかに、しずかに、降りつづけていました。
(おしまい)
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