人間と海魔
文字数 2,134文字
ロギアはメインマストの下にあった麻袋を手にした。何やら瓶詰めらしき物がたくさん入っている。
サクラは船べりから丸い板を手に取って、一緒に置かれていた棒を差し込んでいく。それで小さなテーブルができあがった。
サクラが街の奥を指さした。
家が建ち並ぶ向こうに、高い城壁が構えている。
うむ、そうだな。
例えばさっきのガルザルチなどは背中の針を焼いて粉にすると薬にできる。ガラマザは腹に真珠を作るし、魚人の水かきなども道具の素材になる。大型海魔の鱗や皮は貴族が装飾品として高く買ってくれることもあるのだぞ。
話が途切れ、しばらく食事だけが淡々と進んだ。
ロギアは鶏肉をガツガツ噛みちぎって食べ、サクラはフォークで細かく分けて食べている。
さっきの戦いを思い出して憂鬱になる。
無謀に突っ込み、あとは震えているしかできなかった。
昔から姉の背中に隠れてばかり。
今も同じだ。
姉がロギアに変わっただけ。
ロギアが明るい声を出した。
そこに気遣いを感じて、ラオは嬉しく思った。