ワイパーの音に湯気

エピソード文字数 609文字

ワイパーの音に湯気

鍵っ子だった少女と。
土曜日の三時間授業と。
ひんやりした部屋と。

食べるカップ焼きそばと。
ソースの酸っぱい香りと。
煙の向こうのあの番組と。

ワイパーの音に湯気。
朝から降り続いてる雨。
そんな恋だった。

雨の匂いに熱。
薄暗い教室。
そんな彼だった。

生温い風。
コンビニの灯りに群がる虫。
ざらざら、駐車場、座り込む。
ただ子供のようにあなたの話を聞いていた。

煙草の煙が浮かんだ。
ゆらゆらゆら浮かんだ。

煙草の煙が消えてった。
ゆらゆらゆら消えてった。

ワイパーの音に湯気。
朝から降り続いてる雨。
そんな恋だった。

雨の匂いに熱。
薄暗い教室。
そんな彼だった。

深夜のファミレス。
冷たいソファー。
甘い油の匂いを吸い込んだ。

薄暗い街が仕方なく朝を迎い入れる。まだ着替えてない私は、昨日の私。
良い女は明日も過去形にはならない。
ただ、彼女のその後は誰も知らない。

ワイパーの音に湯気。
朝から降り続いてる感じ。
そんな恋だった。

雨の匂いに熱。
薄暗い教室。
そんな彼だった。

トラックの運ちゃん、作業服に小銭。
マイルドセブン、雨に溶ける。
アパートを出てったパパを思い出す。

煙草の煙が浮かんだ。
ゆらゆらゆら浮かんだ。

煙草の煙が消えてった。
ゆらゆらゆら消えてった。

雨は嫌いじゃないが、好きになれない。
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