第ニ話 ステータス

文字数 4,174文字

時坂 優 年齢 17歳 性別 男性 
レベル:1  職業:執行者
魔力:500/500
筋力:500
防御力:10
素早さ:1000

優は自身のステータスを見て唖然とした。
他のステータスに比べて防御力が低すぎたからだ。
またゲームとは違い、 ステータスに体力は表示はされなかった。
これはこの世界がゲームではなく紛れもない現実であることをよりいっそう際だたせた。

「どうやら皆確認できたようだな。 まず、 ステータスカードの表面について説明しよう。 名前は確認する必要はないとして、 始めにレベルについて説明しよう。 この世界の人間の最高レベルは、 100レベルである。 ちなみにこのレベルに到達した人間は、 はるか昔に一人いたのみじゃ。 次にこの世界の一般人の平均ステータスだが平均10の者が大半である。 しかし汝らの場合は勇者召喚の儀式で呼ばれたいわゆる異世界人。 そのの為ステータスが一般人に比べて圧倒的に高いはずじゃ。 また職業についてだがその人に最も適性が高いものが自動的に今の職業になっているはずじゃ。 ちなみに一度決まった職業は基本的に一生変えることできん。 また職業ごとにそれぞれ特別なスキルを覚えることができるのじゃがそれについては個別に調べておくのがよいじゃろう」

優は王の話を聞き、 自身の防御力の低さに絶望していた。
何せ優の防御力は一般人と同じなのである。
こんなステータスでは攻撃力の高いモンスターの攻撃を一撃でもくらってしまったら一撃死は免れない。
ただ素早さが速かったのはせめてもの救いであると言えた。

「次にスキルについて説明しようと思う。 ステータスカードの裏を見てくれ。 そこに汝らが今持っているスキルが乗っているはずだ」

優は王に言われたとおり、 自身のスキルカードの裏を見た。
そこには、アクティブスキルパッシブスキルと二つの項目が書いてあった。

<アクティブスキル>
創造魔術
刻印魔術
アクセル
スモーク
<パッシブスキル>
観察眼
時魔法適正
闇魔法適正

「皆スキルは確認できたか? そこに書いてあるのは、 今汝らが持っているスキルじゃ。 これについても先ほどと同じく異世界人である汝らは最初から強いスキルを持っているはずじゃ。 スキルについて詳しく知りたいのならステータスカードの上に書かれているスキルの名前を指で触ればもっと詳しく知ることが可能じゃ」

優は自身のスキル画面に書かれている魔術と魔法の違いについて気にはなったのだが、 今はとりあえず王に言われた確認方法を実践するため、 創造魔術を指で触ってみた。
すると脳内に無機質な声が響き、 スキルの情報が流れてきた。

(創造魔術とは自分がイメージした武器や防具が、作れる魔術です。 作成するときは頭に作るものをイメージしながら、 口でクリエイトと言ってください。 ただしその物体を作っている物質などある程度のイメージがないとクリエイトできないので注意してください。 また作成武器に応じ、 自分の寿命が減ります。 自身の寿命が残り何年についてかは知ることはできません。 そのため作る武器や防具のレベルが高すぎると自分の寿命がなくなり死亡しますのでその点について注意して使用してください)

優はこれを聞き、 このスキルはもろ刃の剣だと感じていた。
そのためこのスキルは多用せず、 非常時以外は使用しないようにしようと決めた。
また今の情報により、 魔術と魔法の違いについてもおおよそ予想を立てることができた。
魔法とは自身の魔力を使って使うものであり、 魔術とは自身の寿命を対価に使用するものだと優はひとまず結論づけた。
それから優は自身の考えを検証するため、 他のスキルも確認しようとしたのだが、 王にはまだ話の続きがあるらしく、 その作業を後回しにせざるを得なかった。

「皆の者どうやら確認の仕方はわかったようだな。 まだ見ていないスキルもあり、 気になると思うじゃろうが今はどうかワシの話を聞いてほしい。 汝らには明日からこの城で一か月間戦闘訓練やこの世界の現状について学んでもらおうと思っておる。 そして訓練した一か月後、 この城の裏手にあるダンジョンで力試しをしてもらおうと思う」
「あのダンジョンって何ですか?」
「それについてはわしらも詳しく理解しておらんのじゃ。 ただダンジョンはわしらが生まれるはるか昔からあったのじゃ」
「そうなんですか」
「話を戻すぞ。 ダンジョンの構造には塔型と迷宮型がある。 ダンジョンの構造が違う理由についてじゃがそれは、 ダンジョンの奥地にはダンジョン主と呼ばれる存在がいるのじゃが、 そのダンジョン主が塔型と迷宮型で違うからである。 塔型のダンジョン主は天使。 迷宮型のダンジョン主は悪魔と言われておる。 ちなみに裏手にあるダンジョンは迷宮型じゃ。 またダンジョンには適正レベルがある。 この世界に存在する中で最も高いダンジョンの適正レベルは100である。 因みに裏のダンジョンの適正レベルは30。 このレベルは異世界人である汝らからしたらわずか一か月で到達レベルじゃ。 さてここで一番重要なことを伝えるぞ。 ダンジョンには人間では決して到達できないレベルの武器や防具がある。 仮にそれを力試しや冒険に出た後、 個人でダンジョンに入り手に入れた場合は汝らのものにしてもらっても構わない」

王がそう言うと優を覗いたクラスの男子は歓喜の声を上げた。
王はそんな男子達の様子に少々顔をしかめた、 大きく咳払いをした。

「ゴホン。 さてワシからの話は以上だ。 汝たちも今日は疲れたであろう。 そのため今日はここで解散とする。 訓練など詳しい日程はメイドや召使などを汝らに一人一人つけるので、 そやつらから自分の部屋に案内してもらった後に聞くがよい。 それと自分の案内をしたメイドや召使はそなたたちの奴隷として登録してあるため、 どう使おうが汝らの好きにするがよい」

そう言うと王と騎士たちは退出したのだが、 部屋の中には先ほど優が話していた謎の美少女シアの姿があった。

「皆様方これからご自身と部屋となる場所について案内しようと思います。 それと私はこの国の第二王女ユリシア・アーククラフトと言います。 私も皆様方の魔王討伐の旅に同行しようと思っていますので、 どうかよろしくお願いします」

シアはそう言うと笑顔で、 可愛らしくお辞儀をした。
シアのこの仕草にクラスの大半の男子は見惚れていたのだが、 優だけは違いシアが見せたこの表情を作り物のように感じていた。

シアの挨拶が終わるとメイドや執事達はそれぞれの部屋への案内をし始めた。
メイドや執事は全員美男美女で構成されていた。
このことについて優は王が自分たちを利用するためにそうしたのだとすぐに見抜いた。
そんなことを顔には一切出さず、 優が案内される番になったのだが、 そこにはメイドではなく王女であるシアが立っていた。

「なんでお前が俺の前にいるんだ? 普通ここは俺の案内係のメイドが来るはずだろう。 それなのになぜ王女であるお前が来るんだよ。 まさかお前が俺の担当メイドだとでもいうのか?」
「あら、優様よくわかりましたね」
「いやいやおかしいだろ! なんで王女がメイドをやろうとしてんだよ!」
「それは私が優様のメイドをやりたいとお父様にお願いしたからです」
「それでもおかしいだろ! てか王も王だ! 自分の娘が可愛くないのか!」
「別にいいじゃないですか。 こんな美少女が世話をしてくれるんですよ? 普通の人なら涙を流して喜ぶレベルですよ?」
「お前わかってるのか? 俺のメイドをやるということは俺の奴隷になるってことなんだぞ! もしかしたら俺に性的な意味で襲われるかもしれないんだぞ!」
「そんなこと理解しているにきまってるじゃないですか。 いつまでも駄々こねて早く部屋に行きましょう」

そう言うとシアは強引に優の腕を引っ張り、 部屋から出ていこうとした。
優はそんなシアの姿勢に何を言っても無駄だと悟り、 諦めた連れていかれることにした。
それには理由があり優は元から自身の奴隷となるメイドはこの国から雪や姉さんたちと一緒に逃げるための力をつけた後は、 その辺にでも捨てる腹積もりをしていたからだ。
また王の美人で縛ろうとする作戦も雪や詩織たちの最上級の美少女を普段から見慣れている優には全く意味をなしていなかった。
それと先ほどシアを脅す時優は性的な意味で襲うかもしれないと言っていたがそれはあくまで脅しにすぎなかった。
なぜなら仮にそんな事をしているのが雪達にばれたりでもしたら、 確実に自分の命はないと理解しているからである。
雪は普段はとても温厚な少女である。
ただし優が別の女の子と少しでも話しているとすぐに不機嫌になり、 目が虚ろになる。
優はそんな雪の目にひどく恐怖心を抱いていた。
因みに優と話していた女子だが次の日には学校を休んだ。
その女子が休んだ理由について雪が何かをしたのだろうと優は理解はしているのだが、 そのことについて聞いたら確実に雪が不機嫌になると理解しているので優は聞くことをしなかったため真相は闇へと消えた。
詩織たちの場合も眼が虚ろになる点は同じである。
しかし二人の場合、 被害が相手ではなく初めは優に来るのだ。
胡桃はまだ優しいレベルであり、 優が本音で話せばすれば何とかなる。
だが詩織のの場合は何を言っても無駄であり、 包丁などの刃物で刺そうとしてくるため、 優は詩織の前では極力別の女性と話さないようにしている。
そのため優は三人に弁明をしようと振り返ったのだが、雪と詩織と胡桃は笑顔で優をを見ていたのだが、 三人とも目が虚ろであり、 口パクで

「「「後で詳しく話してもらうから」」」

などと言っていた。
優はそんな三人の様子を見て冷や汗が止まらなかった。
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