第8話 茶番
文字数 1,472文字
やったー! 作戦成功♪
近衛師団本部の共用トイレ内で俺はガッツポーズをした。
うん◯はどうしたって?
出ねえよ、朝飯食ってないもん。
全てはサツマ様に俺を監禁するとロクでもないと印象付けるための茶番。
人としてのプライドを捨てた人間だけに許された作戦だった。
さすがの俺も部屋の中で脱糞しないとは冷静に考えれば分かるだろうけど、あいつクソ真面目(クソだけに)で馬鹿だから、今頃ドン引きしてるに違いない。
何はともあれ、これで昼に外出もしやすくなった。
俺はソコロフとの会談に行く気満々であった。
別に奴を信用している訳ではない。ただ、味方に引き込めば、サツマ様よりは確実にあてになりそうだし、サツマ様以外の人間からルサンチマン王国やサツマ様について聞きたいと思っていた。
ソコロフはものっそい頭が切れそうなので、騙されたり手玉に取られる危険性はある。
ただ、一方で奴が利用するつもりであろうと、俺を必要としているのも感じ取れた。
ならさ、乗ってみるのもいいんじゃない?
どうせ自己陶酔厨二クソロン毛はやる気もなければ、おつむも足らなくて役に立たないだろうし。
利用されるの込みで、俺もあわよくば利用させていただけたら、と割り切っていくしかないじゃん。
まあでも、クソロン毛と似ているのは見た目だけで、俺は奴より大分賢く、正常な理性を持った人間だとアピールしときたかったので、若干賢ぶってみた。
一度見ただけの地図を暗記したふりをしたり、密会の場所を記したメモをあえて返して、
元公安刑事の親父から受け継いだ知恵、ではなく、全部スパイもののアニメで仕入れた知識だけど、あの時の俺はCV櫻◯孝◯さんって感じには見えたに違いない。
異論は認めん。
さてと、部屋に帰ったら、俺を舐めてたら痛い目に遭うと分かったストーカー気質ロン毛に朝飯と小遣いをせびり、街に繰り出そう。
せっかくトイレに入ったので、踏ん張ってみたけど、昨晩から何も食べていないため、空振りだった。
師団長室に帰ると、サツマ様はソファに座り、虚空を見つめていた。
俺に気付いていないのかと思ったが、こちらには目もくれず、キザな態度で呟く。
「暇だな、テレビがないと。静かだ」
かっこつけてる割には中身スッカスカな感想ありがとう。
そりゃうちに来てから、男の空想の中の暇な専業主婦のおばちゃん並みにテレビばっか見てたもんな。朝のニュースからスタートして、朝ドラ→ワイドショー→昼ドラ→昼寝→夕方のドラマ再放送→夕方のニュース→バラエティ→ドラマ→ニュースの黄金コースをほぼ毎日こなしてたのを俺は知っている。
人が汗水流して働いている時に。
喫茶店で働くようになって、自堕落な生活も多少改善されたが、それでもテレビは常についていた。
俺は根が典型的な意識高い系こじらせサブカルクソ野郎なので、よくもまあ飽きもせず、くだらない情報を延々と受容し続けられるなと感心したものだった。
「一日中テレビ見てたもんな」
「ああ。俺は一体何をしていたのだろう。貴重な時間を無為に過ごしてしまった」
嫌味を言ってやったのに無視された。自分の世界に行ってしまわれてる。
異世界転移から戻ってきて、ようやく一息つき、思うことも多々あるのだろう。
だが、俺は空気なんて読まないので、思索モードのサツマ様の横に立ち、尋ねた。
「ねえ、この世界の食パン1斤っていくら?」
近衛師団本部の共用トイレ内で俺はガッツポーズをした。
うん◯はどうしたって?
出ねえよ、朝飯食ってないもん。
全てはサツマ様に俺を監禁するとロクでもないと印象付けるための茶番。
人としてのプライドを捨てた人間だけに許された作戦だった。
さすがの俺も部屋の中で脱糞しないとは冷静に考えれば分かるだろうけど、あいつクソ真面目(クソだけに)で馬鹿だから、今頃ドン引きしてるに違いない。
何はともあれ、これで昼に外出もしやすくなった。
俺はソコロフとの会談に行く気満々であった。
別に奴を信用している訳ではない。ただ、味方に引き込めば、サツマ様よりは確実にあてになりそうだし、サツマ様以外の人間からルサンチマン王国やサツマ様について聞きたいと思っていた。
ソコロフはものっそい頭が切れそうなので、騙されたり手玉に取られる危険性はある。
ただ、一方で奴が利用するつもりであろうと、俺を必要としているのも感じ取れた。
ならさ、乗ってみるのもいいんじゃない?
どうせ自己陶酔厨二クソロン毛はやる気もなければ、おつむも足らなくて役に立たないだろうし。
利用されるの込みで、俺もあわよくば利用させていただけたら、と割り切っていくしかないじゃん。
まあでも、クソロン毛と似ているのは見た目だけで、俺は奴より大分賢く、正常な理性を持った人間だとアピールしときたかったので、若干賢ぶってみた。
一度見ただけの地図を暗記したふりをしたり、密会の場所を記したメモをあえて返して、
わかってる
感を演出してみたのだ。元公安刑事の親父から受け継いだ知恵、ではなく、全部スパイもののアニメで仕入れた知識だけど、あの時の俺はCV櫻◯孝◯さんって感じには見えたに違いない。
異論は認めん。
さてと、部屋に帰ったら、俺を舐めてたら痛い目に遭うと分かったストーカー気質ロン毛に朝飯と小遣いをせびり、街に繰り出そう。
せっかくトイレに入ったので、踏ん張ってみたけど、昨晩から何も食べていないため、空振りだった。
師団長室に帰ると、サツマ様はソファに座り、虚空を見つめていた。
俺に気付いていないのかと思ったが、こちらには目もくれず、キザな態度で呟く。
「暇だな、テレビがないと。静かだ」
かっこつけてる割には中身スッカスカな感想ありがとう。
そりゃうちに来てから、男の空想の中の暇な専業主婦のおばちゃん並みにテレビばっか見てたもんな。朝のニュースからスタートして、朝ドラ→ワイドショー→昼ドラ→昼寝→夕方のドラマ再放送→夕方のニュース→バラエティ→ドラマ→ニュースの黄金コースをほぼ毎日こなしてたのを俺は知っている。
人が汗水流して働いている時に。
喫茶店で働くようになって、自堕落な生活も多少改善されたが、それでもテレビは常についていた。
俺は根が典型的な意識高い系こじらせサブカルクソ野郎なので、よくもまあ飽きもせず、くだらない情報を延々と受容し続けられるなと感心したものだった。
「一日中テレビ見てたもんな」
「ああ。俺は一体何をしていたのだろう。貴重な時間を無為に過ごしてしまった」
嫌味を言ってやったのに無視された。自分の世界に行ってしまわれてる。
異世界転移から戻ってきて、ようやく一息つき、思うことも多々あるのだろう。
だが、俺は空気なんて読まないので、思索モードのサツマ様の横に立ち、尋ねた。
「ねえ、この世界の食パン1斤っていくら?」