第14話 くらやみのなか
文字数 4,011文字
魔獣を狩ったあとは、すぐに血抜きをする。地面の傾斜に沿って仰向けに寝かせ、首の動脈を切断するのだ。
毛皮は、すでにかなり汚れてしまっているが、それでも、できるだけ血をかぶらないように気をつかう。
幸い、死ぬまでにずいぶん出血していたので、あまり血は出なかった。
それから、喉元から股間まで、ナイフで一直線に刃を入れる。
白い肉が、一気に露出する。
その線にそって、二人がかりで皮をはいでいく。
アーサーにとっては、はじめての作業である。フォスターの指示をうけながら、ていねいに刃を入れる。
うまくいかない。
刃の向きが悪いのか、皮と肉の間にうまく入らず、何度もひっかかってしまう。
「角度をつけろ」
言われて、刃を斜めにする。
入らない。
フォスターのほうを見る。さして力を入れているようでもないが、なめらかに刃が動いている。
しばらく、悪戦苦闘する。
手がかじかんで動かなくなるころ、ようやく、腹の皮が剥げた。
「よし、」
フォスターが、こちらを見て頷く。
ほっと安心して、顔をあげる。
そこに、エルの姿はなかった。
*
焚き火から少し離れると、もう足元も見えない。
さきほどまで月が出ていたはずだが。
エルは、よろよろと足を進めた。
気分が悪い。
つきあたった木の根本にうずくまって、嗚咽する。
解体作業など、珍しくもない。自分でやったことだって、何度もある。
血のにおいには慣れている。
だが……、
急に、胃の中のものが暴れだした。
こらえるいとまもなく、勝手に喉から逆流してくる。
地面に落ちる。
すえた匂い。
体の自由がきかない。
くそ。
じんわりと痺れたような嫌な感覚が、全身を這い回っている。
脂汗がひどい。
「大丈夫。治癒魔法の後遺症が出ているだけですよ」
ふいに、背後から女の声。
血の気がひく。
いくら暗闇だって、普通なら、足音か気配に気づいたはずだ。
私は、そんなに鈍っているのか?
「ルナ、……」
何も、言葉が出てこない。
ぐっと、手の先に布のようなものが押しつけられた。
「使って下さい。」
手巾であった。
*
「……なぜ、退魔師に?」
くらやみのなか、ぼんやりと座り込んだまま、エルは、巫女に問いかけた。
べつに、知りたいわけではない。
ただ、何か喋ろうと思っただけだ。
「夢を見たからです」
端的に返ってくる。
闇が深すぎて、距離がつかめない。すぐ隣にいるような気もするし、十歩ほども離れているような気もする。
「夢って、」
「かれが、──アーサー=ブルガナンが、アルセア王となる夢を。」
「そう、……」
それで、終わるはずだった。
だが、
次の言葉が、口をついて出てしまった。
「……それで、なぜ退魔師に?」
「それは、」
「アーサーを王にしたいのなら、それなりの方法があるでしょう。」
考えがあっての言葉ではなかった。
が、巫女は、
「そうですね、」
と、つぶやくように言って、
「それでも、この街で退魔師をすることには、意味があると思います」
「なぜ?」
「……でなければ、誰がとかげ鳥を倒すのです?」
いつのまにか、ルナの声は冷え冷えとして、するどい刃で刺すように触れてきていた。
闇のなか、姿は見えない。だが、嗤っているようだった。いや、エルには、そのように思われた。
「そんなこと、……」
あんたの知ったことか、と言ったつもりだったが、途中で消えていた。
ぞわり、と闇が動いた。
すっくと、立ち上がるような気配がして、まっすぐにこちらに向けた視線が刺さる。
顔はまだ見えない。
いや、
ぼんやりと、にじむように浮かびあがってくる、その姿は。
血に、まみれて。
(まさか──、)
眼窩から、こぼれ落ちんとする眼球が、こちらを見ていた。
「やめろッ!」
「……どうか、しましたか?」
巫女の声がする。
いいしれぬ悪寒が首筋を這う。
死霊術。
ききかじった単語が頭をかすめる。
呼吸を整えようとする、が、肺がいうことをきかない。
立ち上がる。
「エル=サラナ、あなたは、」
ろうろうと、呪文を唱えるように、巫女の声が響く。
死者の幻は、いつのまにか消えていた。
「とかげ鳥を倒すのは、誰であるべきだと?」
誰、だと。
「どういう意味、」
問い返したのは、理解できなかったからではない。
理解したくなかったから。いや、
理解するのが怖かったからだ。
「この街で、退魔師を名乗るならば、──」
「勝手なことを!」
振り払うように大声で叫ぶ。
思わず、剣に手をかける。
「何も知らぬくせに……!」
声がかすれる。
「思い出して下さい、エル=サラナ。あの日のことを。」
なぜ、そんなことをいうのか。
私は、
いや、我々アルセアの退魔師たちは、あの日、とかげ鳥に負けた。
それだけのことではないか!
「幾人の退魔師が犠牲になったか。あなたの腹に傷を負わせ、息も絶え絶えにしたのは誰か」
なぜ、そんなことを知っている?
アーサーか、フォスターに聞いたのか。
どうでもいいことだが、無性に腹がたった。
「……あなたの師を殺したのは?」
そして、その決定的な一言を聞いたとき、
エルは、全身の血が逆流するのを感じた。
悪寒は消えていた。
すっと、自然な動きでかまえ、右手で剣を抜き放った。ほとんど無意識のうちに。
「それ以上言ったら、殺してやる。」
我ながら驚くほど、落ち着いていた。
死者の幻はもう見えなかったが、別の確信があった。
目の前にいるこの女は、人ではない。
鬼だ。
「殺しなさい。…それが、あなたが信じる道であるならば。」
女は、ぴくりとも動いた気配をみせなかった。
ジャスの生首が。
「あなたに、退魔師の誇りがあるならば、」
ついばまれるカルナーの屍体が、
「死した同胞を、魔獣にふさがれた街道を、そのままにできましょうか。」
そして、肉を切り裂く、とかげ鳥の牙と鉤爪が、夜に浮かんで、消えた。
「あかしだてをなさい。サラナ通りのエル。あなたが、まだ戦士であるのだと。」
エルは小さく呻いた。涙は出なかった。
気配だけを頼りに、二歩、踏み出す。
巫女はまだ動かない。
やはり、本当に鬼か、気狂いか。
剣を構える。
ぽん、と、胸を叩くような音がした。合図のように。
「いやあぁぁぁッ!」
無我夢中で、エルは体ごと剣を突きだした。何かに当たる。硬いものに刺さったようだ。
さあっと、風が吹いた。
月を隠していた雲が大きく動き、強い光がさしこんだ。エルは呪いが解けたように全身が軽くなるのを感じた。
剣のきっさきは木の幹に刺さっていた。
そして、その刃は、巫女の脇腹を裂き、地面に血溜まりをつくっていた。
鬼などいなかった。
「ルナ、……」
どうしていいかわからずに、エルはそうつぶやいた。
巫女は、うすい笑みを浮かべたまま、柄を握るエルの手にそっと自分の手をそえた。
「よくぞ、臆さず剣を振るわれました」
騎士の武勲を褒め称える貴婦人のように、
しずかに、力強く。
「退魔師とは、魔を祓うもの。あなたが、これからも退魔師を名乗るのなら──」
「……わかってる。」
かるく目を伏せて、エルは答えた。
本当は、ずっと分かっていたのだ。
*
解体をおおむね終えたころ、ようやく、エルが戻ってきた。
アーサーは声をかけようとしたが、できなかった。なんともいえない違和感があった。
「フォスター」
すこし高ぶった、硬い声で、エルはいった。
「話がある、」
フォスターは、かわらず落ち着いた表情で、肉を包んだ袋をアーサーに渡し、手を拭いた。
「聞こう」
エルは、しばらく目線をさまよわせて、
やがて、すっと息をはいて、言った。
「とかげ鳥を、狩るべきだ。」
そして、口からでた言葉を追いかけるように、もう一度、今度は早口で、
「退魔師の、私たちアルセアの退魔師たちの誇りを、取り戻すんだ。フォスター」
そう、まっすぐにフォスターの目をみて、言った。
復讐を、とは言わなかった。それは、彼女の矜持だった。
「わかった、」
フォスターは、にやりと──本当に、似合わぬほどのはっきりした笑みを浮かべて、応えた。
「ならば、そうしよう」
待ちかねていた、とでもいうように。
*
ずいぶん遅いな、とアーサーが思いはじめたころ、木のかげでがさごそと音がした。
「……ルナ?」
声をかけると、もごもごと小さな返事が返ってきた。
目をこらして見る。白い肌が目に入り、あわてて目をそらす。
「何してるんだ!」
「……少し、汚れてしまったので」
アーサーは眉をひそめた。汚れてしまった、だって? こっちは血まみれで獣を解体したっていうのに!
しばらくして、着替えおわったルナがこちらへやって来た。ひどく、疲れた顔をしていた。
ひとこと言ってやろうと思っていたが、なんとなく口を開けなかった。
「……治癒魔法を受けた奴は、寝ちまえ。見張りは俺たちがやる」
フォスターがそう言うと、エルと、なぜかルナも頷いて、はい、と返事をした。
いつのまにか、ルナの頭上の魔法球は、2つに減っていた。
*
しらじらと、夜が明けはじめていた。
フォスターは、ちらりと横を見た。見張りをしていたはずのアーサーは、座ったまま寝息をたてている。
懐から一枚の布紙を取り出して、かるく息をつく。
それは、とかげ鳥の営巣地の地図。
かれが、カルナーから受け継いだ、たったひとつの遺産であった。
毛皮は、すでにかなり汚れてしまっているが、それでも、できるだけ血をかぶらないように気をつかう。
幸い、死ぬまでにずいぶん出血していたので、あまり血は出なかった。
それから、喉元から股間まで、ナイフで一直線に刃を入れる。
白い肉が、一気に露出する。
その線にそって、二人がかりで皮をはいでいく。
アーサーにとっては、はじめての作業である。フォスターの指示をうけながら、ていねいに刃を入れる。
うまくいかない。
刃の向きが悪いのか、皮と肉の間にうまく入らず、何度もひっかかってしまう。
「角度をつけろ」
言われて、刃を斜めにする。
入らない。
フォスターのほうを見る。さして力を入れているようでもないが、なめらかに刃が動いている。
しばらく、悪戦苦闘する。
手がかじかんで動かなくなるころ、ようやく、腹の皮が剥げた。
「よし、」
フォスターが、こちらを見て頷く。
ほっと安心して、顔をあげる。
そこに、エルの姿はなかった。
*
焚き火から少し離れると、もう足元も見えない。
さきほどまで月が出ていたはずだが。
エルは、よろよろと足を進めた。
気分が悪い。
つきあたった木の根本にうずくまって、嗚咽する。
解体作業など、珍しくもない。自分でやったことだって、何度もある。
血のにおいには慣れている。
だが……、
急に、胃の中のものが暴れだした。
こらえるいとまもなく、勝手に喉から逆流してくる。
地面に落ちる。
すえた匂い。
体の自由がきかない。
くそ。
じんわりと痺れたような嫌な感覚が、全身を這い回っている。
脂汗がひどい。
「大丈夫。治癒魔法の後遺症が出ているだけですよ」
ふいに、背後から女の声。
血の気がひく。
いくら暗闇だって、普通なら、足音か気配に気づいたはずだ。
私は、そんなに鈍っているのか?
「ルナ、……」
何も、言葉が出てこない。
ぐっと、手の先に布のようなものが押しつけられた。
「使って下さい。」
手巾であった。
*
「……なぜ、退魔師に?」
くらやみのなか、ぼんやりと座り込んだまま、エルは、巫女に問いかけた。
べつに、知りたいわけではない。
ただ、何か喋ろうと思っただけだ。
「夢を見たからです」
端的に返ってくる。
闇が深すぎて、距離がつかめない。すぐ隣にいるような気もするし、十歩ほども離れているような気もする。
「夢って、」
「かれが、──アーサー=ブルガナンが、アルセア王となる夢を。」
「そう、……」
それで、終わるはずだった。
だが、
次の言葉が、口をついて出てしまった。
「……それで、なぜ退魔師に?」
「それは、」
「アーサーを王にしたいのなら、それなりの方法があるでしょう。」
考えがあっての言葉ではなかった。
が、巫女は、
「そうですね、」
と、つぶやくように言って、
「それでも、この街で退魔師をすることには、意味があると思います」
「なぜ?」
「……でなければ、誰がとかげ鳥を倒すのです?」
いつのまにか、ルナの声は冷え冷えとして、するどい刃で刺すように触れてきていた。
闇のなか、姿は見えない。だが、嗤っているようだった。いや、エルには、そのように思われた。
「そんなこと、……」
あんたの知ったことか、と言ったつもりだったが、途中で消えていた。
ぞわり、と闇が動いた。
すっくと、立ち上がるような気配がして、まっすぐにこちらに向けた視線が刺さる。
顔はまだ見えない。
いや、
ぼんやりと、にじむように浮かびあがってくる、その姿は。
血に、まみれて。
(まさか──、)
眼窩から、こぼれ落ちんとする眼球が、こちらを見ていた。
「やめろッ!」
「……どうか、しましたか?」
巫女の声がする。
いいしれぬ悪寒が首筋を這う。
死霊術。
ききかじった単語が頭をかすめる。
呼吸を整えようとする、が、肺がいうことをきかない。
立ち上がる。
「エル=サラナ、あなたは、」
ろうろうと、呪文を唱えるように、巫女の声が響く。
死者の幻は、いつのまにか消えていた。
「とかげ鳥を倒すのは、誰であるべきだと?」
誰、だと。
「どういう意味、」
問い返したのは、理解できなかったからではない。
理解したくなかったから。いや、
理解するのが怖かったからだ。
「この街で、退魔師を名乗るならば、──」
「勝手なことを!」
振り払うように大声で叫ぶ。
思わず、剣に手をかける。
「何も知らぬくせに……!」
声がかすれる。
「思い出して下さい、エル=サラナ。あの日のことを。」
なぜ、そんなことをいうのか。
私は、
いや、我々アルセアの退魔師たちは、あの日、とかげ鳥に負けた。
それだけのことではないか!
「幾人の退魔師が犠牲になったか。あなたの腹に傷を負わせ、息も絶え絶えにしたのは誰か」
なぜ、そんなことを知っている?
アーサーか、フォスターに聞いたのか。
どうでもいいことだが、無性に腹がたった。
「……あなたの師を殺したのは?」
そして、その決定的な一言を聞いたとき、
エルは、全身の血が逆流するのを感じた。
悪寒は消えていた。
すっと、自然な動きでかまえ、右手で剣を抜き放った。ほとんど無意識のうちに。
「それ以上言ったら、殺してやる。」
我ながら驚くほど、落ち着いていた。
死者の幻はもう見えなかったが、別の確信があった。
目の前にいるこの女は、人ではない。
鬼だ。
「殺しなさい。…それが、あなたが信じる道であるならば。」
女は、ぴくりとも動いた気配をみせなかった。
ジャスの生首が。
「あなたに、退魔師の誇りがあるならば、」
ついばまれるカルナーの屍体が、
「死した同胞を、魔獣にふさがれた街道を、そのままにできましょうか。」
そして、肉を切り裂く、とかげ鳥の牙と鉤爪が、夜に浮かんで、消えた。
「あかしだてをなさい。サラナ通りのエル。あなたが、まだ戦士であるのだと。」
エルは小さく呻いた。涙は出なかった。
気配だけを頼りに、二歩、踏み出す。
巫女はまだ動かない。
やはり、本当に鬼か、気狂いか。
剣を構える。
ぽん、と、胸を叩くような音がした。合図のように。
「いやあぁぁぁッ!」
無我夢中で、エルは体ごと剣を突きだした。何かに当たる。硬いものに刺さったようだ。
さあっと、風が吹いた。
月を隠していた雲が大きく動き、強い光がさしこんだ。エルは呪いが解けたように全身が軽くなるのを感じた。
剣のきっさきは木の幹に刺さっていた。
そして、その刃は、巫女の脇腹を裂き、地面に血溜まりをつくっていた。
鬼などいなかった。
「ルナ、……」
どうしていいかわからずに、エルはそうつぶやいた。
巫女は、うすい笑みを浮かべたまま、柄を握るエルの手にそっと自分の手をそえた。
「よくぞ、臆さず剣を振るわれました」
騎士の武勲を褒め称える貴婦人のように、
しずかに、力強く。
「退魔師とは、魔を祓うもの。あなたが、これからも退魔師を名乗るのなら──」
「……わかってる。」
かるく目を伏せて、エルは答えた。
本当は、ずっと分かっていたのだ。
*
解体をおおむね終えたころ、ようやく、エルが戻ってきた。
アーサーは声をかけようとしたが、できなかった。なんともいえない違和感があった。
「フォスター」
すこし高ぶった、硬い声で、エルはいった。
「話がある、」
フォスターは、かわらず落ち着いた表情で、肉を包んだ袋をアーサーに渡し、手を拭いた。
「聞こう」
エルは、しばらく目線をさまよわせて、
やがて、すっと息をはいて、言った。
「とかげ鳥を、狩るべきだ。」
そして、口からでた言葉を追いかけるように、もう一度、今度は早口で、
「退魔師の、私たちアルセアの退魔師たちの誇りを、取り戻すんだ。フォスター」
そう、まっすぐにフォスターの目をみて、言った。
復讐を、とは言わなかった。それは、彼女の矜持だった。
「わかった、」
フォスターは、にやりと──本当に、似合わぬほどのはっきりした笑みを浮かべて、応えた。
「ならば、そうしよう」
待ちかねていた、とでもいうように。
*
ずいぶん遅いな、とアーサーが思いはじめたころ、木のかげでがさごそと音がした。
「……ルナ?」
声をかけると、もごもごと小さな返事が返ってきた。
目をこらして見る。白い肌が目に入り、あわてて目をそらす。
「何してるんだ!」
「……少し、汚れてしまったので」
アーサーは眉をひそめた。汚れてしまった、だって? こっちは血まみれで獣を解体したっていうのに!
しばらくして、着替えおわったルナがこちらへやって来た。ひどく、疲れた顔をしていた。
ひとこと言ってやろうと思っていたが、なんとなく口を開けなかった。
「……治癒魔法を受けた奴は、寝ちまえ。見張りは俺たちがやる」
フォスターがそう言うと、エルと、なぜかルナも頷いて、はい、と返事をした。
いつのまにか、ルナの頭上の魔法球は、2つに減っていた。
*
しらじらと、夜が明けはじめていた。
フォスターは、ちらりと横を見た。見張りをしていたはずのアーサーは、座ったまま寝息をたてている。
懐から一枚の布紙を取り出して、かるく息をつく。
それは、とかげ鳥の営巣地の地図。
かれが、カルナーから受け継いだ、たったひとつの遺産であった。