グリコのおまけ
文字数 306文字
男の子は
道端にいたせみをひろいあげ
まだかすかに動いている
そのせみをてのひらに抱きしめ
じっとそこに突っ立っていた
強い夏の日差しの中を
また夕立の中でずぶ濡れになりながら
そしてせみが
動かなくなったのを見届けた後
男の子はそっと樹の陰に
せみをかえした
強い夏の日差しを忘れ
雨のしずくに濡れることも忘れ
ある夏の日にこの星のどこかで
ひとりの男の子と
いっぴきのせみがめぐり会い
そのひと夏の
一日のわずかな時を共有し
見つめ合い、語り合い
ふたつの生命は生きた
別れゆくかなしみの涙も
永久の別れや孤独のつらさも
この星の上で
きみに出会ったことの
よろこびにくらべれば
みんな、グリコのおまけにすぎません
きみを好きになったことの
いとしさにくらべたら
道端にいたせみをひろいあげ
まだかすかに動いている
そのせみをてのひらに抱きしめ
じっとそこに突っ立っていた
強い夏の日差しの中を
また夕立の中でずぶ濡れになりながら
そしてせみが
動かなくなったのを見届けた後
男の子はそっと樹の陰に
せみをかえした
強い夏の日差しを忘れ
雨のしずくに濡れることも忘れ
ある夏の日にこの星のどこかで
ひとりの男の子と
いっぴきのせみがめぐり会い
そのひと夏の
一日のわずかな時を共有し
見つめ合い、語り合い
ふたつの生命は生きた
別れゆくかなしみの涙も
永久の別れや孤独のつらさも
この星の上で
きみに出会ったことの
よろこびにくらべれば
みんな、グリコのおまけにすぎません
きみを好きになったことの
いとしさにくらべたら