第1話

文字数 3,218文字

 ここ、NOVEL DAYSには、良識的で穏やかで賢明な作家さまが多い為、ここで読める作品は総じて気品があり、文章力も確かな骨太の力作が沢山投稿されている印象です。その分、良くも悪くも静かで大人しいサイトなのかもしれません。
 他サイトのように、見返り目的で星やコメントをばら撒く人もいなく、真摯に作品と向き合い、感動したら純粋な気持ちでレターや星を残していく、そんなクールでスマートなユーザーが多いと思います。だからこそ、星の動きはそれほど活発ではなく、一日に数個付くだけでランキング入りすることもあります。二桁ももらえた日には、一気にその日のトップ争いに躍り出ることもあります。
 つまり、ランキングのハードルはそれほど高くないのです。だからなのか……良識的な利用者が多いサイトとは言え、ごく一部、せっせと自作へ星を振舞う人も残念ながら存在しています。
 デフォルトとして、新規投稿で星2つ、作者お気に入りで1つ、作品お気に入りで3つ……「いいね!」を押さなくても、自分で6個は簡単に供給出来るのです。もっとも、自分や自作へのお気に入りなんて虚しいだけですから、しない人の方が多数派だと思いますが。
 でも、する人も確実にいます。が、それを否定するつもりはありません。そもそもが規約違反ではありませんので、やりたい人はやればいい、と思っています。
 更に、各エピソードにもセルフ供給が可能(これも規約違反ではありません)ですから、あくまで「たとえば」ですが、作品を投稿して、自分で自分をお気に入りに登録して、投稿した作品も自分でお気に入りに登録して、エピソード全てに「いいね!」を押していくと、合法的に自作品に「エピソード数+6個」の星を付けられるのです。
 もちろん、合法とは言え、大半のユーザーからは好意的に受け止めてもらえない可能性は高いでしょう。また、ここから発展した酷いケースだと、利用規約で禁じられている別アカウントまで取得して、もっと多くのセルフ供給を行う人もいます。(いや、いました。今はいないと信じることにします……疑わしい方はいますけど)
 ここまでやられると、もう狂気の沙汰としか思えません。

 しかし、ここのユーザーは色んな意味で「賢い」人ばかり。そういった「自作自演」での星の獲得は、直感的にも論理的考察からも経験則からも、敏感に(または容易に)見抜いています。
 また、賢明だからこそのスルースキルも身に付けており、わざわざ忠告などもせず、冷ややかに呆れ果てながら、時に憐れみさえ込めて静観しています。
 いや、静観だけならまだしも、もうその人の作品には目を向けない、と嫌悪感を抱く人もいるでしょう。
 つまり、星のセルフ供給なんて、ランキングに載ることと引き換えに、大半のユーザーにそっぽを向かれるという結果しか招きません。なので、PV数に対する星の割合が異様に高くなるのです。これは、簡単に言えば、大して読まれていないのに星は沢山もらえている……という、分かりやすい矛盾が起きているからです。同時に、自分は自分で星を入れてます! と宣言しているようなものです。もし、ご本人はバレていないつもりなら、裸の王様と同じです。
 こういったことを踏まえた損得勘定の結果、それでもセルフ供給を行っているのなら、それはそれで一つの選択肢として尊重しますし、これ以上何も申し上げることはありませんが、短絡的にランキングに載せる為だけで深く考えていないのなら、相当恥ずかしいことをやっているってことだけは自覚して欲しいと思います。

 当然ながら、作為的にランキング入りしたところで、決してその作品が良くなるわけではありません。良い作品だからランキング入りしたのではないのです。自分で星を入れただけってことは、本人が一番分かっているでしょう。
 そういう作品は、皮肉なことにほとんどのユーザーから敬遠され、結果的に読まれる機会も減るでしょう。前述しましたが、PV数と星がアンバランスになります。作者の人気と信用も失います。ただ虚しいだけであろう自己満足と引き換えに、全てを失うのです。

 しかし、このシステムを悪用して、恣意的に特定の作家の作品に集中して星をばら撒くとどうなるのでしょうか?
 言うまでもなく、その人の作品がランキング上位に停滞することになるでしょう。もし、数日に渡って継続すると、傍目には上記したようなセルフ供給をしているアカウントのように映る可能性も否定出来ません。
 いや、もっと言うならば、そう見せ掛ける為に故意に星を付けまくることも可能なのです。

 さて、それが目的なのかどうかは分かりませんが……この一週間弱の間に、私の全作品に計240個以上もの星が付きました。
 この間の更新は、一度だけです。なのに、毎日数作品がランキングの上位に表示され、ノベルデイズを開く度に星が増えていました。
 実は、七月にも同じことがありました。その時も、今回ほどではないものの、やはり異様なペースで星が増え続けました。
 ただ、今回と決定的に違うのは、当時はちょうど連載中でもあったので、「なんか毎回星が多いなぁ……」と疑問には思いつつ、嬉しくもあり、不正かどうかの判断が出来ませんでした。
 しかし、それから数日後、やっぱりおかしかったんだ、と判明する出来事が起きました。数日掛けて、百個ぐらいの星が次々と消されていったのです。かなり精神的に堪えました。そして……そう、それが目的だったのだと気付きました。つまり、星を大量に消す為に、星を大量に入れておかないといけなかったのです。数学的には差し引きイーブンなのですが、心理的な恐怖と負担は大きかったです。

 今回降ってきた大量の星は、この後どうなるのかまだ分かりません。でも、星を消す作業もなかなか大変でしょうし、星が激減するショックを与える嫌がらせは、そう何回もやらない気もします。
 そもそも、七月の時と同じ方がやっているかも断定出来ません。それに、なんとなくですが、今回は恣意的にランキング上位に停滞させ、不正アカと思わせることが目的なのかな、と思っています。もちろん、真相は分かりませんが。
 たまたま誰かが好意でやってくださった可能性も、全くないとは言えません。ただ、詳細は省きますが、理論上は一つのアカウントでは絶対に不可能なことは分かっているので、その可能性は極めて低いと言えるでしょう。

 ということで、本作を投稿後、他の全作品を順次非公開に切り替えていくことにします。星をばら撒くのも回収するのも、最後の機会になりますよ。もう、好きにしてくださいな。本当は一作だけ残して、もう少し星の動きを観察しようと考えていましたが、もう面倒臭くなってきました。
 本作のみ、いつまでとは言いません(と言うか私にも分かりません)が、ここに残します。この一週間ぐらい、私の複数の作品がランキング上位に居座っており、不審に思われた方、目障りに感じた方などもいらっしゃると思います。私が自分でセルフ供給を行なっていたのか否か、どうぞお好きなように受け止めてください。私からは、あえて否定も肯定も述べ控えます。
 もう怖いものなしなので、ノベルデイズ利用者への注意喚起や警告として、機会があれば続編も書くかもしれません。

 ただ、最後に勘違いして欲しくないので追記させていただきますが、私は今でもノベルデイズは大好きなサイトですし、作品は消しますが、一読者として、これからも色んな作品に触れ合いたいと思っています。また、こちらでお近付きになれた何人かの作家様とは、これからも変わらずにお付き合いして欲しいなぁ……と心よりお願い申し上げます。

 ファンレターは閉じさせていただきます。またいつか、小説を書きたくなったら、戻ってくるかもしれません。それまでに、ノベルデイズの仕様が少しでも改善されていることを期待しています。
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