3 ❀ 長いものに巻かれろ

エピソード文字数 1,164文字

信楽焼のタヌキももえちゃんがふっとび、庭の盆栽は跡形もなく燃え尽くされた。


祖父が刺客を差し向けたので、は倍返しだ。

結芽…おまえはなんちゅーことを…

悲しみか、怒りか、プルプルとふるえ、祖父はがくっと肩を落としたが。

ぃ…やあ、よく帰って来たな!! 結芽ちゃん、地平さん。父さんはかんげいするぞぉ
なんと満面の笑みだ。
(この変わり身の早さは一体…なに!?

父さんはこの日を待ちわびたぞ。

おまえ、死んだ母さんに似てきたなぁ

あらあら、うふふ。

良かった~、お父さんに似てなくて~。

(お母さん、怒ってるわね…。まだなにかやる気じゃ…)
萌栄ちゃん、はじめまして。本当に結芽の子どものころとソックリや。おじいちゃんです、よろしくなぁ。わしの名前は、だかうんすいくもみず、と書くんじゃ。グランパって呼んでもいいんだよ。ちょっとあこがれていたんじゃ。
グ、グランパァ!? ちょっ…はずかしい)
話にきくと、萌栄ちゃんは優秀らしいねぇ

そうなんですよ、村長さん

俺、こっそり学校の萌栄ちゃん、見に行ってましたやろ

萌栄はぎょっとした。

功が盆栽の消火からもどり、縁側に正座していた。となりに父の地平もいる。

試験はいつも学年トップで、文武両道。

正義感もあり、男のイジメっ子たちにプロレス技をお見舞いしておりました

見事なものだ。さすがわしの孫。なにより重畳(ちょうじょう)

実はこの話、まだつづきがあるんですよ。


プロレスで負かされた男子が、萌栄ちゃんのカピバラマスコットを二階から窓の外に投げたんですけど。


萌栄ちゃんったら窓から飛び出してマスコットを空中キャッチ無傷で地面に着地したんです。


反射神経、動体視力、人並み以上ですよ。勇気もあります

( いつ、どこで見ていたのよ! ストーカーじゃん!! )

聞けば聞くほど、この村にぴったりの子じゃないか。

――功。早速、へ案内してやりなさい

かしこまりました
あ、あの、ってなんですか!?

忍塾じゃよ。

なんじゃ、この子には、まだ話しておらんかったのか

忍者ってことは話したわ。

でも萌栄が信じてくれなかったから、それより先の話ができなかったのよ

まぁ習うより慣れろ。行って同じ年端の(わっぱ)から見聞きするのが一番だよ、萌栄ちゃん
功が手まねくが、萌栄はその場から動かない。
ちょっと待って。わたし、行くなんて言ってないわ!

萌栄、郷に入っては郷にしたがえという言葉があるわ。

人は住んでいる土地の風習にしたがわなくてはならないの。

だから、四の五の言わずに行きなさい

そんな…わたしの話も聞かないで、勝手に決めて!
萌栄、長いものには巻かれろって言うだろ? お母さんには逆らわない方がいいぞ
だって!
まぁまぁ萌栄ちゃん。そんな警戒せんでも、結構楽しいとこやし
さぁ行った行った

玄関まで追い立てられ、萌栄はしぶしぶ外に出た。


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登場人物紹介

日高萌栄 (ひだか・もえ


中学2年生、13才の少女。

カピバラをこよなく愛する。

重黒木 鋼じゅうくろぎ・はがね


中学2年生、13才の少年。機械いじりが得意。

椎葉 発(しいば はつ)


中学2年生、13才。

萌栄の友達。花火師の孫。

黒木 殿下(くろき でんか)


萌栄のライバル

那須 雨音(なす あまね)


殿下の友達。

黒木 媛(くろき ひめ)


殿下の妹

日高 結芽(ひだか ゆめ)


萌栄のお母さん

日高 地平(ひだか ちへい)


萌栄のお父さん

日高 雲水(ひだか うんすい)


萌栄の祖父

重黒木 功(じゅうくろぎ こう)


鋼のお父さん

重黒木 理玖 (じゅうくろぎ りく)


鋼のお母さん

椎葉 康次(しいば やすじ)


発の祖父。花火師

黒木 智子(くろき ともこ)


殿下、媛のお母さん。

黒木 未夏 (くろき みか)


クラスメイト

中武 陽(なかたけ はる)


クラスメイト

那須 貴也(なす たかや)


クラスメイト

那須 由子(なす ゆうこ)


クラスメイト

お殿様。


西方の里を治める、お殿様。

南朝の忠臣、その子孫。

忠平(ただひら)


お殿様が助けた忍者。

加藤清正に仕えていたが、毒殺の濡れ衣をかけられ、逃げてきた。

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