そろったメンバー
文字数 1,349文字
と陽気な挨拶から始まった自己紹介大会である。とても平和だ
━ささ、次は茉依だよ!
そう鹿野先輩に呼ばれて立った人は、とてもスラッとした黒髪ロングで、一瞬なにかのモデルかと勘違いするような美貌を持った人だった。
「1年生の皆、どうもよろしく。私は生野茉衣、真由と同じでアルトサックスやってます。これから一緒にがんばろうね!」
そう言って座り込んだ瞬間、「おおっ」と自分含め周りから小さな歓声が上がるのに少し頬を赤らめながら俯いた。可愛い。
━やっぱり茉衣はかーわいいねぇ!
━真由うっさい!そんなこと無いんだから!
先輩たちの他愛ない会話で、1年の緊張も解けたのか少しばかり自分含め笑みがこぼれる。
━お前らは笑うなぁ!!
うーんこの、溢れ出るツンデレ感。いいな。
「はーい!次は次は1年生ね!」
そして畳み掛けるかのような1年生へのフリ、さては鹿野先輩こういうの普段からやってるな?
━では、私から
そう言って1人が立ち上がる、首の根元辺りまでのショートカットが特徴的でどことなくクールさを感じさせる女子だった。
「初めまして、瀬野玲奈です。クラスは5組で、中学の時の担当楽器はバリトンサックスでした。これからよろしくお願いします。」
そう言って瀬野は綺麗にお辞儀した。
━それじゃあ次は私がっ!
と、勢いよく立ち上がったのは長い茶髪を後ろにまとめた子だった。
「山内菜々です!えっと、中学ではアルトサックスやってました。クラスは瀬野さんと同じで5組です!よろしくお願いします!」
彼女がストン、と綺麗に座った後しばらく沈黙が走る。残る面子は俺ともう1人、さっきの2人とはまた違った独特な雰囲気を放つ人だった。
━うーん、2人とも緊張かな?じゃあ私が指名するからね!はい、そこのあなた!!
鹿野先輩はそう言って俺ではなく、隣の人を指さした。
「えっと…前田莉子です。テナーサックスができます。クラスは2人と一緒で5組です。よろしく、お願いします。」
ぺこり、とお辞儀をしてゆっくりと座った。
…意図せずしてラストバッターになってしまった。さ、さて、皆と同じように、同じように…
「こ、こんにちは。西崎大地です。中学の頃はアルトサックスを、高校でもやりたいと思ってます。よろしくお願いします!」
普通な自己紹介が出来た気がする、ヘロヘロっと座ると
「以上が今年のサックスパートだよ!それじゃあ改めまして、皆様よろしくお願いします!」
そう鹿野先輩が言って自己紹介大会は幕を閉じた。
「あ、そうそう!担当楽器の割り振り発表するね!」
以下、サックスパート一覧である
アルトサックス
鹿野真由子
生野茉衣
山内菜々
西崎大地
テナーサックス
前田莉子
バリトンサックス
瀬野玲奈
以上6名
「という訳で、今日の部活はこれでおしまいかな?最後に学校の楽器を使う人がいれば、この学校の楽器庫に案内するけど…みんな自分の楽器持ってる??」
各々が頷く、先輩達はギョッとしたような目でこちらを一瞬見た後
━ブルジョワだ…
と小声でハモっていた。
「それじゃあ、特に必要は無さそうだから解散ね!明日から普通に部活あるから楽器を持ってきておいてね!ばいばーい!」
それぞれが教室を後にした