第3話天使に会っちゃった

文字数 1,330文字

俺たちは洞窟にあったデカくて観音開きになった扉の前にいる。明らかにヤバい感じがする。

「なあ、これって、開けちゃダメって感じしないか」頭の中で、優菜と話す。

「如何にもトラブルイベント発生って感じだね」

「・・・よしっ。見なかったってことで」そう言って来た所を戻ろうとしたとき、声が聞こえた。

「誰か、そこにいるのか?」男の声だったが、何故か弱った感じの声だった。「やっぱり、避けられないようだね」「そのようだね・・・」優菜も納得する。仕方がないので、渋々扉を開けて中に入った。中は神殿の様になっていて、ギリシャにある{アテネ神殿}の様な柱が2列に並んでおり、その最奥には、大きな鳥の羽をつけて、両腕を鎖で繋がれ、下半身は壁と同化した状態の男の姿があった。見た目{天使}のようだが、明らかに違うのは、その羽の色である。普通{天使}の羽と言えば、白色だが、その男の物は黒だったのである。

「堕天使!?」思わず言葉が出てしまった。「でも、すごく、綺麗!」優菜も思わず声を出した。「オイオイ旦那の前で惚気るなよ」「あら、やきもち?。大丈夫。心は貴方だけよ。ウフフ」そうこうして、話していると、奥の者から、語り掛けてきた。

「1人かと思っておったが、2人いたのか。」「「・・・??」」

「何故2人だと、わかったのですか」

「気配は1人であったが、声は2人であった。男女の声だったかの」

「私の声が聞こえるのですか?」優菜が、嬉しそうに尋ねる。やっぱり、他の人とも話したいよね。

「我の能力の力かも知れぬがな。どれ、自己紹介としよう。我が名は、ルシファー。大天使ルシファーじゃ。まあ、今では元が付くがな」そう、挨拶されて、僕達も、慌てて挨拶を返す。「すみませんでした。僕は、田原良一です。」「妻の優菜です。」

「仲が良いなっと思っていたが夫婦であったか。しかし、2人は変わった状態なのだな」そう言われて僕達は、ここまでの経由を離した。

「なるほど、異世界転生か?珍しい事だな。まあ、我の最後の話し相手が異世界人とは、いい思い出になるわ。」「「最後って、どうしてですか?」」

ルシファーさんは、思い返す様に話だした。「我は、ここに幽閉されて400年が経つのだ。如何に天使といえど、寿命だと言うことだ。」そう言って、眼を閉じる。しばらくの沈黙のあと、優菜が「あの~、さっき私と話せるのは、ルシファーさんの力だと、仰ってましたが、その力があれば、私も普通に話せるのでしょうか?」っと尋ねた。「うむっ。魔力の高い者なれば可能じゃろう。じゃが、授けることは我でもできぬ。我の力を吸収し、引き継げる者なら可能だろうがな」そう言われて、俺はグラトニーを思い出した。

「あのう~、言いにくい事なのですが。・・・私には、食ったその者の能力を吸収する力があるのです。貴方は先ほど寿命で長くないと言われましたが、貴方の力、私に託して貰えませんか。その代わりに貴方の最後の望みを引き受けますから。」そう言うと、しばらく考えて、「最後の望みか。そうだ、この指輪を、ニーナと言う魔族の少女に渡してくれ。」そう言って、繋がれた手に光る緑の指輪を眼で指示し。俺が受け取った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み