銀杏の木の下にも埋まっている

文字数 831文字

 小学校の校庭には、大きな銀杏の木がありました。あの臭いがきつい実を落とす銀杏の木が。それで、その銀杏の木、秋になったら生徒は実やら落ち葉やらを掃除しなきゃならないんです。ひたすら人力で、臭いのを我慢して。

 臭い臭い言いながら一カ所に集めていた時なんですけど、泣き声が聞こえてきたんですよ。それも、小学生のではなくて赤ん坊の。そこに居た生徒全員が泣き声を聞いたけど、声の主は見つからない。動物の鳴き声かと誰かが言ったけど、鳴き声を出す生き物は見当たらない。

 葉の茂っている時なら見落とすこともありますけど、なんせ殆どの葉が落ちた時期。銀杏の木周辺には平らなグラウンドが広がっているだけ。結局、木の幹が擦れてそう聞こえたんだろうってその時はなったんだけど、その日は風も強くなかったし、泣き声がした時に揺らす人も居なかった。だから、どこか腑に落ちないまま、下校したんです。

 それから何ヶ月かして、銀杏の木は切られることになりました。枯れたとか腐ったとかではなく、プールを新しく作る為に場所を取りたかったから銀杏は邪魔になった。

 それで、先ずは銀杏をチェーンソーで切ったのですが、今度は悲鳴の様な音がしたのです。まあ、それはあくまで感じただけでしかなかったのでしょう。しかし、更に恐ろしいことがその後に起きたのです。木を切り倒した後は、根を掘り出さなければならない。その根を重機で掘り出した時、地面からは幾つもの白骨。それも、生まれたばかり、あるいはそれよりも小さな白骨が現れたのです。

 直ぐに警察が呼ばれ、調査がされました。しかし、どの白骨の身元も分からず、銀杏の木のあった場所からは以前より大きな泣き声が聞こえる様になったのです。その泣き声は、供養がなされ、プールの工事が始まるまで続きました。

 季節が巡り、プールの授業が始まると、新しい更衣室や温水シャワーに皆が喜んでいました。だけど、時折、温水シャワーの辺りから聞こえてきたのです、掃除中に聞いたあの泣き声が。
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