第1話
文字数 4,322文字
リア充?僕、桜井海人には恋愛なんて必要ない。「ずっと一緒にいようね!」なんだそれ?馬鹿馬鹿しい。守れない約束してんじゃねーよ。永遠なんてないに決まってるだろ?僕の親だって離婚した。僕が小学2年生の時、「二人とも離れ離れになっちゃ嫌・・」と小さな子供があれほど泣き叫んでお願いしたのに結局、離婚をした。あの時から僕は永遠なんてないと思っている。中学生になり、なんだか周りは恋愛だの告白だの好きだの色々盛り上がっていたが僕は全くの無関心だった。友達の中には、失恋をして泣いてる奴、喧嘩をして別れた奴の話を沢山聞いてきたが、「そんなに傷つくのが嫌なら、初めから誰かを好きにならなきゃいいのに・・」と思ってしまう。まぁ、そんなことは直接本人には言えないがな。きっと、親が離婚したあの日から、僕の心は歪んでしまっているのかもしれない。親が離婚をして僕は母方の祖母に預けられ育った。父とはあれから連絡もつかず一切会っていない。母は1週間に2回僕に会いに来てくれた。その時は仕事が忙しいから社宅で暮らしていると説明されずっと信じていたが、中学1年の春、下校途中に偶然、一人で立ってる母を見かけた。声をかけようとした瞬間、父ではない別の男がやってきて母と腕を組みその場から去っていった所を見てしまった。その時の母の表情は、僕と父と三人で暮らしていた時よりもずっと幸せな顔をしていた。かすかにあの日の記憶が蘇る。離婚する寸前に父が母に言った言葉・・「俺に何が足りなかった?なぜアイツなんだ・・?」と父は涙を流しながら聞いていた。これだけは僕の記憶から消えない。母は僕より男を選んだのだ。
「そっか・・あれはそういう意味だったのか。なんだよ・・仕事じゃなく結局浮気かよ」
それから僕は母が嫌いになった。週に2回会いに来てくれる母に対して冷たい態度で接する。母も僕の異変には気づいていたが何も聞いてこない。
中学の卒業式に祖母と母も来てくれたが、母とはほとんど口をきかなかった。
正直、母が浮気をしていたことは信じたくなかった。けど、僕が見た光景は幻ではない。そして女嫌いになったのもそのせいだ。親が離婚をしたあの日から確かに誰かを好きになるなど全くなかったが、女が嫌いになったのは母と知らない男が一緒にいたところを見てしまった時からだ。僕の中で女は簡単に他の男を好きになり、大切なものを簡単に捨てていく生き物だと思っている。だから僕は誰も好きにならない。好きになんかなれやしない。
正直、今まで女の子からの告白はあった。中学1年の夏、
「ずっと桜井君のことが好きでした」
「聞きたいんだけどさ、僕の何が好きなの?」
「えーっと、かっこいいし、サッカーがうまいところ!」
はい、きた。かっこいい?サッカーが上手い?んなのどこにっだっているじゃねーか。俺よりもかっこよく、サッカーが上手い奴いたらそっち行くだろ?ほんと女って単純。
「見た目じゃなくさ、中身で何を好きになった?」
「えーっと・・優しいとこかな?」
本当に女って嘘つき・・。優しいとこ?ってかお前と一回も話したことないじゃん。
「わかった。ありがとう」
「えっ?付き合ってくれるってこと!?」
「勘違いすんな。僕は君みたいな嘘つきが一番嫌いなんだよ。優しい?いつ僕と話した?」
「そっ・・それは」
「じゃ、僕いくね。」
こんな告白のやり取りが今までに何度もあった。正直、告白れるたびに気持ち悪い。
告白されるたびに母を思い出す。
そして僕は高校1年生になった。新しい生活が始まる。中学の頃の友達とはみんな別々の高校は。僕は私立「私立春乃坂高校」に入学した。私立で学費は高いが、春乃坂高校に入学してほしいとの祖母の希望で僕はこの学校を受験した。春乃坂高校はエリート高校で、母や父の母校でもある。母も学費が高くても春乃坂高校への入学は賛成だったらしい。正直、中学の奴らと同じ高校に行くのが希望だったが、お世話になった祖母の頼みを断れずそしてサッカー部があるという誘惑に乗せられ渋々入学した。
さすがは私立高校。建物も綺麗で完備がしっかりしている。
勉強もなかなか難しいらしい。
僕は1年A組。教室に入るとすでにグループができていた。
空いてる席に座ると、
「よっ!俺、坂井尚樹よろしくー」
隣から茶髪で少しチャラそうの感じの男から声をかけられた。
「僕は、桜井海人」
「海人って呼ぶな!俺さ、知り合い誰もいなくてぼっち気分だったから海人友達になってよ?それとも、同中のダチとかいた?」
「いや、いないよ。なんで僕と友達になりたいの?」
「はははは!海人、なんだその質問!聞く必要なくね?友達になりたいからなってって言ってるんだよ!変な奴だなお前!」
そっか・・こいつは、初めて会ったばかりの僕とただ単純に友達になりたいだけなのか。きっと悪い奴じゃないかもしれない。
「わかった。よろしく」
「そうそう!深く考えずにさ、こういうのはさフィーリング?ってやつだよ!誰でもいいわけじゃないし」
「さっき、ぼっちの気分だったからぼっちそうにみえた僕に話しかけたんじゃないの?」
「いやー、まわり見てみろよ他にもぼっちそうな野郎いるぜ?でもさ、俺は隣に来る奴にかけてた!隣が、ぼっちで何となく話せそうな奴なら声かけようってさ!もし違ったら他をあたるつもりだった!ははは!」
「そっか。」
「まぁーよろしくな海人!」
「うっす」
まだ会ったばかりでなんとなくだが・・尚樹は話やすい。中学の頃の友達も話しやすかったが尚樹はそれ以上に話しやすかった。
昼食は尚樹と一緒に食べて、放課後は一緒に帰宅した。尚樹も僕と同じサッカー部を希望しているらしい。そして偶然にも自宅が近所だったのだ。僕の高校生活は尚樹のおかげで少し楽しくなった。
「んじゃ、また明日な海人」
「うっす。また明日」
尚樹と離れ、自宅まで歩いている途中、ふと寄り道をしたくなってしまった。
僕は祖母に預けられこの街に引っ越してきた。小学生の時からずっと通っていた駄菓子屋がありお気に入りの駄菓子はきな粉棒。
「あら、海人君。1っか月ぶり?くらいかしら」
駄菓子屋のおばちゃんが笑顔で出迎えてくれた。
「きな粉棒、たくさんあるから買ってておくれ」
おばちゃんは僕の大好物を知っている。
「ありがとう。じゃーまずは一本いただくよ」
「はいよ。そういえば、制服が・・そうか!海人君、高校生になったんだね」
「はい。おかげさまで」
「そうかー。早い。もう、高校生かい。海人君と初めてあった時まだこんなに小さくて、小学校2年生くらいの時だったかな?それがいつのまにかこんなにいい男になって」
「おばちゃん、一か月くらいしかまだ期間空いてないよ?そんな変わらないって」
「いやー、高校生になった海人君みて改めて思っただけだよ」
駄菓子屋のおばちゃんは優しく微笑みながら言った。
「すみませーん。きな粉棒一本ください」
女の声が聞こえた。
「はーい。あら見ない顔だね?可愛らしい娘だ」
「このあたりに引っ越したばかりで、歩いてたらたまたまここを見つけました」
どうやら、この街に引っ越してきたばかりらしい。
ここの駄菓子屋のきな粉棒は最高だ。ハマるに違いない。
「ほれ、きな粉棒一本まいど」
「ありがとうございます!うーん!!!美味しい!!」
「そうか!うれしいね!うちのきな粉棒は看板だよ」
おばちゃんは満面の笑みで言った。
「本当においしい。私、きな粉棒大好きで、今まで食べたきな粉棒の中で一番おいしいです!!」
「そうかい!これはあたしの手作りだからね!」
「すごい!きな粉棒手作り!だから他と違うんですね!あっ!あなたもきな粉棒食べてるんですね!美味しいですよね!」
彼女はどさくさに紛れて僕に話しかけてきた。
「うん」
僕はそっけなく返事した。
なんだよ、話しかけてくるな。僕の女嫌いは発動した。
「この子は海人君。うちのきな粉棒の常連さんだよ」
「ちょっ・・おばちゃん。勝手に僕の名前・・」
「海人君っていうんですね!私は、杏南!よろしくね!またどっかですぐ会えるからその時はよろしくね海人君」
「はぁ・・?どういうこと?」
彼女は僕をみて微笑んだ。
「おばちゃん、またくるね!ごちそうさまでした!じゃ、またね海人君」
そういって彼女は駄菓子屋を後にした。
「なかなかいい娘だったね海人君」
「おばちゃん、僕ももう行くよ。また来るね」
「そうかい。気を付けて帰るんだよ」
僕は駄菓子屋を後にした。
久々に女と話した。告白される時以外はなるべく話すのを避けていたから。
「でも・・彼女のあの感じ。何となくだが尚樹に似ている」
とふと思った。それでも、僕は女が嫌いだ。だから、次どこかでまた彼女を見かけてもシカトする。
この時、僕は彼女が言っていた・・
「またすぐどっかで会えるからその時はよろしくね!」という言葉の意味を分かっていなかった。
ー次の日ー
「みんなさん、おはようございます。昨日の入学式には参加できなかったみなさんの新しいクラスメートを紹介しますね」
そういえば・・昨日、僕の前の席には昨日誰も座っていなかった。
「なぁー海人。女の子かな?それとも野郎かな?かわいい子なら大歓迎だけどな!」
「僕は興味ない」
「んだよー。釣れねーな!」
尚樹はややいじけている様子。
「新入生のかたどうぞ教室にお入りください」
新しクラスメート?正直、僕には全く関係のない話だ。
「なぁ海人!やばいぜ。めちゃめちゃかわいい!」
尚樹がはしゃいでいるということは女か。
「どうでもいいよそんなの」といい黒板のほうを見た瞬間・・
「はじめまして。霧島杏南です!昨日は入学式来れなくてすみませんでした。これから一年間よろしくお願いします」
そこにいたのは昨日のきな粉棒の彼女。
「まじかよ・・」僕は動揺した。その時頭から浮かんできたのは・・
ー「またすぐどっかで会えるから!その時はよろしくね」ー
と言った彼女の言葉。
「おーい。海人?どした?」
尚樹が心配そうに問いかけてくる。
「それでは、杏南さんの席は後ろから二番目の空いてる席なのでそちらにお座りください」
「はい!」
彼女がこちらに向かってくる。そして僕のほうをみて・・
「やっぱり会ったね!きな粉棒の海人くん!」
と言い微笑んだ。
僕は、女が大嫌いだ。単純で平気な顔をして嘘をつき大切なものを簡単に手放す。あの日の母のように・・。
「そっか・・あれはそういう意味だったのか。なんだよ・・仕事じゃなく結局浮気かよ」
それから僕は母が嫌いになった。週に2回会いに来てくれる母に対して冷たい態度で接する。母も僕の異変には気づいていたが何も聞いてこない。
中学の卒業式に祖母と母も来てくれたが、母とはほとんど口をきかなかった。
正直、母が浮気をしていたことは信じたくなかった。けど、僕が見た光景は幻ではない。そして女嫌いになったのもそのせいだ。親が離婚をしたあの日から確かに誰かを好きになるなど全くなかったが、女が嫌いになったのは母と知らない男が一緒にいたところを見てしまった時からだ。僕の中で女は簡単に他の男を好きになり、大切なものを簡単に捨てていく生き物だと思っている。だから僕は誰も好きにならない。好きになんかなれやしない。
正直、今まで女の子からの告白はあった。中学1年の夏、
「ずっと桜井君のことが好きでした」
「聞きたいんだけどさ、僕の何が好きなの?」
「えーっと、かっこいいし、サッカーがうまいところ!」
はい、きた。かっこいい?サッカーが上手い?んなのどこにっだっているじゃねーか。俺よりもかっこよく、サッカーが上手い奴いたらそっち行くだろ?ほんと女って単純。
「見た目じゃなくさ、中身で何を好きになった?」
「えーっと・・優しいとこかな?」
本当に女って嘘つき・・。優しいとこ?ってかお前と一回も話したことないじゃん。
「わかった。ありがとう」
「えっ?付き合ってくれるってこと!?」
「勘違いすんな。僕は君みたいな嘘つきが一番嫌いなんだよ。優しい?いつ僕と話した?」
「そっ・・それは」
「じゃ、僕いくね。」
こんな告白のやり取りが今までに何度もあった。正直、告白れるたびに気持ち悪い。
告白されるたびに母を思い出す。
そして僕は高校1年生になった。新しい生活が始まる。中学の頃の友達とはみんな別々の高校は。僕は私立「私立春乃坂高校」に入学した。私立で学費は高いが、春乃坂高校に入学してほしいとの祖母の希望で僕はこの学校を受験した。春乃坂高校はエリート高校で、母や父の母校でもある。母も学費が高くても春乃坂高校への入学は賛成だったらしい。正直、中学の奴らと同じ高校に行くのが希望だったが、お世話になった祖母の頼みを断れずそしてサッカー部があるという誘惑に乗せられ渋々入学した。
さすがは私立高校。建物も綺麗で完備がしっかりしている。
勉強もなかなか難しいらしい。
僕は1年A組。教室に入るとすでにグループができていた。
空いてる席に座ると、
「よっ!俺、坂井尚樹よろしくー」
隣から茶髪で少しチャラそうの感じの男から声をかけられた。
「僕は、桜井海人」
「海人って呼ぶな!俺さ、知り合い誰もいなくてぼっち気分だったから海人友達になってよ?それとも、同中のダチとかいた?」
「いや、いないよ。なんで僕と友達になりたいの?」
「はははは!海人、なんだその質問!聞く必要なくね?友達になりたいからなってって言ってるんだよ!変な奴だなお前!」
そっか・・こいつは、初めて会ったばかりの僕とただ単純に友達になりたいだけなのか。きっと悪い奴じゃないかもしれない。
「わかった。よろしく」
「そうそう!深く考えずにさ、こういうのはさフィーリング?ってやつだよ!誰でもいいわけじゃないし」
「さっき、ぼっちの気分だったからぼっちそうにみえた僕に話しかけたんじゃないの?」
「いやー、まわり見てみろよ他にもぼっちそうな野郎いるぜ?でもさ、俺は隣に来る奴にかけてた!隣が、ぼっちで何となく話せそうな奴なら声かけようってさ!もし違ったら他をあたるつもりだった!ははは!」
「そっか。」
「まぁーよろしくな海人!」
「うっす」
まだ会ったばかりでなんとなくだが・・尚樹は話やすい。中学の頃の友達も話しやすかったが尚樹はそれ以上に話しやすかった。
昼食は尚樹と一緒に食べて、放課後は一緒に帰宅した。尚樹も僕と同じサッカー部を希望しているらしい。そして偶然にも自宅が近所だったのだ。僕の高校生活は尚樹のおかげで少し楽しくなった。
「んじゃ、また明日な海人」
「うっす。また明日」
尚樹と離れ、自宅まで歩いている途中、ふと寄り道をしたくなってしまった。
僕は祖母に預けられこの街に引っ越してきた。小学生の時からずっと通っていた駄菓子屋がありお気に入りの駄菓子はきな粉棒。
「あら、海人君。1っか月ぶり?くらいかしら」
駄菓子屋のおばちゃんが笑顔で出迎えてくれた。
「きな粉棒、たくさんあるから買ってておくれ」
おばちゃんは僕の大好物を知っている。
「ありがとう。じゃーまずは一本いただくよ」
「はいよ。そういえば、制服が・・そうか!海人君、高校生になったんだね」
「はい。おかげさまで」
「そうかー。早い。もう、高校生かい。海人君と初めてあった時まだこんなに小さくて、小学校2年生くらいの時だったかな?それがいつのまにかこんなにいい男になって」
「おばちゃん、一か月くらいしかまだ期間空いてないよ?そんな変わらないって」
「いやー、高校生になった海人君みて改めて思っただけだよ」
駄菓子屋のおばちゃんは優しく微笑みながら言った。
「すみませーん。きな粉棒一本ください」
女の声が聞こえた。
「はーい。あら見ない顔だね?可愛らしい娘だ」
「このあたりに引っ越したばかりで、歩いてたらたまたまここを見つけました」
どうやら、この街に引っ越してきたばかりらしい。
ここの駄菓子屋のきな粉棒は最高だ。ハマるに違いない。
「ほれ、きな粉棒一本まいど」
「ありがとうございます!うーん!!!美味しい!!」
「そうか!うれしいね!うちのきな粉棒は看板だよ」
おばちゃんは満面の笑みで言った。
「本当においしい。私、きな粉棒大好きで、今まで食べたきな粉棒の中で一番おいしいです!!」
「そうかい!これはあたしの手作りだからね!」
「すごい!きな粉棒手作り!だから他と違うんですね!あっ!あなたもきな粉棒食べてるんですね!美味しいですよね!」
彼女はどさくさに紛れて僕に話しかけてきた。
「うん」
僕はそっけなく返事した。
なんだよ、話しかけてくるな。僕の女嫌いは発動した。
「この子は海人君。うちのきな粉棒の常連さんだよ」
「ちょっ・・おばちゃん。勝手に僕の名前・・」
「海人君っていうんですね!私は、杏南!よろしくね!またどっかですぐ会えるからその時はよろしくね海人君」
「はぁ・・?どういうこと?」
彼女は僕をみて微笑んだ。
「おばちゃん、またくるね!ごちそうさまでした!じゃ、またね海人君」
そういって彼女は駄菓子屋を後にした。
「なかなかいい娘だったね海人君」
「おばちゃん、僕ももう行くよ。また来るね」
「そうかい。気を付けて帰るんだよ」
僕は駄菓子屋を後にした。
久々に女と話した。告白される時以外はなるべく話すのを避けていたから。
「でも・・彼女のあの感じ。何となくだが尚樹に似ている」
とふと思った。それでも、僕は女が嫌いだ。だから、次どこかでまた彼女を見かけてもシカトする。
この時、僕は彼女が言っていた・・
「またすぐどっかで会えるからその時はよろしくね!」という言葉の意味を分かっていなかった。
ー次の日ー
「みんなさん、おはようございます。昨日の入学式には参加できなかったみなさんの新しいクラスメートを紹介しますね」
そういえば・・昨日、僕の前の席には昨日誰も座っていなかった。
「なぁー海人。女の子かな?それとも野郎かな?かわいい子なら大歓迎だけどな!」
「僕は興味ない」
「んだよー。釣れねーな!」
尚樹はややいじけている様子。
「新入生のかたどうぞ教室にお入りください」
新しクラスメート?正直、僕には全く関係のない話だ。
「なぁ海人!やばいぜ。めちゃめちゃかわいい!」
尚樹がはしゃいでいるということは女か。
「どうでもいいよそんなの」といい黒板のほうを見た瞬間・・
「はじめまして。霧島杏南です!昨日は入学式来れなくてすみませんでした。これから一年間よろしくお願いします」
そこにいたのは昨日のきな粉棒の彼女。
「まじかよ・・」僕は動揺した。その時頭から浮かんできたのは・・
ー「またすぐどっかで会えるから!その時はよろしくね」ー
と言った彼女の言葉。
「おーい。海人?どした?」
尚樹が心配そうに問いかけてくる。
「それでは、杏南さんの席は後ろから二番目の空いてる席なのでそちらにお座りください」
「はい!」
彼女がこちらに向かってくる。そして僕のほうをみて・・
「やっぱり会ったね!きな粉棒の海人くん!」
と言い微笑んだ。
僕は、女が大嫌いだ。単純で平気な顔をして嘘をつき大切なものを簡単に手放す。あの日の母のように・・。