公園の都市伝説

文字数 2,095文字

ここって、2年生の教室じゃないか。
そうですよ。被害者と目撃者、うちの学校の生徒なんですから。
ラッキーですよこれは。
で、でもまずいだろ。
上級生相手に…。
ちゃんとアポ取ってありますし、私は同学年ですよ。
えっ。麻矢さんって…
2年生ですけど、どうかしましたか?
あぁ!
同い年だと思ってたから、普通にタメ口使ってたけど、歳上だった。どうしよう。
ってところですね!
気にしないでいいですよ。私あくまで部活の後輩ですから。
そ、そうだよな、もちろん、わかってるさ!
あぁ!何も心配なんかしてないよ!
ですけど、私以外の歳上目上の方には、ちゃーんと敬語使ってくださいね。
当然!
じゃ、教室入りますよ。
3組の麻矢です。志賀くんと富士見くんいますか?
あぁ、どうも。志賀です。
今日はわざわざすみません。
あちらが富士見くんですか?
富士見はものすごく人見知りだから、慣れるまでほっといていいから。
とりあえず俺が話すよ。
そんで、えっと?そこの彼は?
どうも…
うちの部長の神楽坂くんです。
彼も人見知りみたいなので、とりあえず私達だけで。
それでは、あの公園で何があったか、聞かせてもらえますか?
あの日は富士見と学校帰りに寄ったんだ。
時間は、5時くらいだったかな。
あの公園、子どももほとんどいないからたまーに2人で遊ぶんだよ
公園には誰かいましたか?
いいや、案の定誰もいなかった。
で。2人でブランコしてた。
なんか昔から俺好きなんだよね。ブランコ。
童心に返る、とかっていうより、単純に好きなんだよな。
確かに楽しいですよね、ブランコ。
それで、どうなりました?
30分くらいして、帰るかーってなって。
帰ろうとしたら、砂場に人影があるのに気づいたんだ。
見た瞬間に思ったよ。なにせ小さい頃から知ってる噂話だから。
ツチコさんだ!って。
ご存知だったんですね。
私はこっちの出身じゃないので、あまりピンとこないですけど、やっぱり地元の皆さんには知れ渡った名前だと。
自分が本物に会うのなんて初めてだったけどね。
なにかわかったかい?
悪いね、本題はこれからなんだ。
君も混ざる?
遠慮しときます
ああ、そう。
で、なんだっけ。
あぁ、ツチコさんだ!ってとこまでだったね。
富士見に言ったんだよ。
おいあれ、見ろよ!って。
そしたら、富士見が、近づいてみようぜって。
富士見くんからですか?
あいつ大人しそうに見えるけど、結構アレなんだ。
余計なことに首を突っ込むというか、興味本位で動くもんだから。
あぁ、すみません。脱線させてしまいました。
それで、お二人はツチコさんに近づいたんですね?
俺はちょっと距離取ってたけど、富士見がガンガン進んでって。
スイッチ入ると、人見知りとか関係なくなるんだ。
で、いきなり話しかけやがった。
なんて言ったんですか?
砂場で何してんすかぁー?って。
バカにしたような感じ。
焦って止めに入ったよ。
ツチコさんからリアクションはありましたか?
言葉は返ってこなかったよ。
ただ、ゆっくりとこっちを振り向いたんだ。
わりと美人だった。
顔を見たんですか?
面倒だからネタばらししちゃうけど、ツチコさんはただの人間だったよ。

えぇ!?
富士見は被害にあったって騒いでるけど。
ただ頭から砂のぎっしり詰まったバケツ被せられただけだもん。
超常現象でもなんでもないよ。
えーっと、なんだか拍子抜けですね。
都市伝説なんてこんなもんじゃないの?
で、やべぇ怒らせたって思った俺は、富士見引っ張って逃げ帰ってきたってわけ。
うーん、そうなると、聞くこともあまり…。
あ、ツチコさんの顔見たんですよね?どこかで見た事のある顔ではないですか?
いやぁ、それがね。
美人だったっていうのは覚えてるんだけど、それがどんな顔だったのか、っていうのがぼんやりしちゃってて。
もしかして、顔が無かったんじゃないのかな。
神楽坂くん、敬語。
…顔が無かったんじゃないですかね。
タメ口でいいよ。
顔が無かったんだ!!
顔を見たのに?
すみません。ちょっと落ち着きのない子なんです。
気にしてないよ。
あとは何か聞きたいことある?
あの、僕まだ
おぉ。喋んのか?
富士見くんも聞かせてくれますか?
と、とにかく。
僕からは一言だけ。
あいつは人間じゃない。
何故そう思うんですか?
目を見て、直感的にわかったんだ。
志賀は少し離れてたからわからなかったかもしれないけど、間近で見た僕にはわかる。
あれは人間の目じゃない。
なるほど。そうですか。
人間の直感は案外バカに出来ないからね。
とりあえず、そしたら私達はこれで。
お話ありがとうございました。
あぁ。
う、うん。
もう行くのかい?
そうだ、最後に一つだけ。
バケツ、被せられたんですよね?
そのまま公園から逃げたんですか?
どこかに捨てました?
いやぁ、俺も無我夢中というか、必死だったからよく覚えてないや。
多分、途中で捨てたんじゃない?
記憶は無いけど。
わかりました。
ありがとうございました!
それじゃ!行きますよ、神楽坂くん!
わ、そんなに引っ張るなよ。
ち、近…!
…俺達も帰るか
あの子、可愛いな…
麻矢さん?
わりとタイプだな俺。
ずーっとニコニコ笑ってたな。
ああいう明るい子好きだっけ?
はーあ、仲良くなりたい。
とりあえず人見知り直さねーとな
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登場人物紹介

麻矢由香里

恵西高校の2年3組
超常現象は肯定派。

神楽坂浩二

恵西高校の1年1組。
超常現象は肯定派。

ツチコさん(?)。


公園の砂場に現れる女、という都市伝説。

地下に現れた謎の女性。
桜田と名乗っている。

魚田先生。

FBI部の一応顧問。興味が無いので最低限しか部のために働かない。

木浦
1年1組の図書委員

板垣。

1年1組。FBI部の幽霊部員その1

羽鳥。

1年1組。FBI部の幽霊部員その2

坂井。

1年1組。FBI部の幽霊部員その3

蔦凪百合子さん。

フラワーショップ蔦凪の店長さん。

おばさん。

いろんなおばさん。(使い回し)

モブ学生。

モブの学生

狐山博人。

3年3組。入部希望者、

マスター

喫茶『エル』のマスター。

少年。

とある場所で発見された少年。

少年。

とある場所で発見された少年。

麻矢由香里?

神楽坂浩一。

神楽坂浩二の兄。

恵西高校の三年生。

探偵部の部長…?

西園寺・ドラグノフ・桜子

2年3組の転入生。

モブ女子

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